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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
まだそこにいたっていない。 田中学院 中等部2年 高山貴乃。オカルト研究部所属である。その日、可奈から今日の活動が中止となったことを知らされた。もともと休んでばかりいる部活だったので今更だが、可奈の機嫌が悪いので理由を聞いた。 「部長が怪我をしたの。階段から突き落とされて」 風が吹けば桶屋がもうかるという諺があるが、それは貴乃にも言えることだった。 「それってもしかしてっ……!」 可奈が人差し指を貴乃の口元に押し当てた。 「そうよ。部長を亡きものにしてガードを削っているのよ」 「いや、部長、生きてるでしょ」 「冗談よ。でも、敵も侮れないわ」 「じゃあ、もしかして野田くんも?」 「狙われるかもね。てか、また式神使っているの?」 「ちょ、ちょっとだけ。ほんと、ちょっとだけ」 「野田くんだって……そのうちバレるわよ」 野田晴仁がシンクタンクということは知っている。シンクタンクの活動内容は極秘扱いだが、彼女は式神を用いて少しだけ知っていた。部長、岡崎良介の兄、秀介がよくわからない『愛でる会』に付け回されていることを。 「それに野田くんには中野くんがいるから大丈夫よ、多分」 「それはそれで妬ける」 「男子に嫉妬してどうするのよ。あと式神使ってストーカー行為も禁止」 「自分だって使い魔いるくせに」 「あれは使い魔が勝手にやってることだもの。今日はとにかく帰りましょ」 貴乃も感じている。彼女が秀介のことが好きなことと中野春季に妬いていること。似たもの同士である。 そして可奈は貴乃の良き理解者だった。神社の家に生まれ、たまたま式神を操ることが出来たために幼いころから家業で夜な夜なゴーストバスター的なことをやらされていた。ある夜、ピンチの時に助けてくれたのは可奈だった。それ以来、彼女とは良き友として一緒に行動することになった。中等部に入った時に必ず何かの部活に入らなければならない時、どの部にも可奈が馴染めないでいたところに、岡崎良介と当時の部長、浜西紀夫が現れた。オカルト研究部という怪しげな部活があるんだと当初は思ったが、可奈はそれを初見で気に入り、その部に入部、仕方がなく貴乃も一緒に入部した。どう見てもちゃらんぽらんな部活だったが、入部一ヶ月後に良介から、オカルト研究部の真の目的を聞き、現在に至る。まだ解決出来そうもないが、普段は居心地がいいため用事のない時に部室へ行っている。 校門前までさしかかったところで、可奈は貴乃を突然突き飛ばした。 「なっ! 可奈!?」 「ぎゃああーー!」 可奈の悲鳴。彼女のどこからそんな声が出せるのかわからない。貴乃には何か淡い光が可奈の全身を覆っているように見えた。それも一瞬、可奈がその場に座り込んだので駆け寄った。 「どうしたの? 可奈」 「やられた。屈辱」 「へ?」 「封じられた」 「封じられたって、まさか!?」 貴乃は芯から震えた。彼女の並みならぬ魔力が封じられたのだ。きっとこの間に何かするのだ。そして、その報復の方が恐ろしい。 「必ず、仕返しするから。覚えてなさい」 この下校時間から少し外れた時間、他に誰もいなかったことだけは幸いかもしれない。弱った可奈を支えながら貴乃は思った。
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