気まぐれ日記
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2014年09月22日(月) 仕方がない

 記憶と現在知識を融合させて作った何かです。
 この日記のどこかかしこに『田中学院』が入っているのですが、探すの無理。
 最初からやると面倒なのでにまにまするところから始めます。




 田中学院 中等部2年 野田晴仁(はるひと)。 彼は東可奈と別のクラスだが幼馴染だった。彼女からの依頼と親友である中野冬季の兄、春季からの依頼はまったく同じものだった。
 最初は軽い気持ちだったが、それがとんでもなく難儀な依頼だった。本来なら通報としてもおかしくないと思われるのだが、田中学院理事長からストップが入った。理由は簡単。警察沙汰にするな、ということ。そして理事長からも依頼として申し込まれた。
 「って、知るかぁー! 何が『愛でる会』だっ! ただの変態の集まり? ふっざけんなっ!」
 ひとしきり怒鳴ってから、ため息をつく。心にもないことを怒鳴ったが、たまにこうでもしないとイライラがたまるばかりだった。そして普段の彼しかしらない連中なら驚くだろうが、特別許可を受けて使用している中等部のコンピュータ室の中には彼一人しかいない。
 こんな依頼、東可奈からでなければ、冬季の頼みでなければ、理事長からでなければ受けなかった。そして、この変態会の被害者が岡崎秀介でなければ受けなかった。
 晴仁にとって秀介は恩人でもあるのだ。彼のおかげで今こうして能力を活かすことができる。
 だからなんとしてもこの変態らのメンバーを突き止めたい。
  【『岡崎秀介を愛でる会』のメンバーを割り出せ。報酬はメンバー一人に付き……】
 もちろん、彼は学生ということで報酬はそれほど高額のものではない。
 簡単な仕事だと思った。しかし、どうにも進まない。怪しい人物はピックアップ出来たのに確証が得られない。
 「ハルー、いたー!」
 コンピュータ室に入ってきたのは中野冬季だ。入ってもいいか、という顔をしていたので手招きした。
 「部活終わったってことは、もうそんな時間なんだな」
 「うん、そろそろ下校だぜ。さっさと帰らないと、異空間に迷い込むぞ」
 田学には七不思議がある。その一つ、下校時刻を過ぎても学校にいると高崎麻代のようになる、と。高崎麻代は昔この学校にて行方知れずとなった女の子である。
 「そんなの迷信。でももう帰るよ」
 まだ調べたいことはあるが下校となればこの部屋も使えない。規則に従ってこそ、このコンピュータ室が使えると思えば、従うのみだった。コンピュータの電源を落とす操作をする。
 「……仕事、進んでいるか?」
 冬季の質問に首を振る。
 「そっかぁー。兄貴も無理しなくてい言っていった。奴らは兄貴の野生の勘でもひっかからないんだ」
 その野生の勘とやらがどの程度のものであるかわからないが、春季のものであれば当てになるものなんじゃないかと晴仁は勝手に思った。
 コンピュータ室を出て、職員室へ鍵を返して二人は下校することにした。校門近くにさしかかると、高等部方面から二人の女学生が現れた。二人とも同じ姿をしている。
 「あ、冬季じゃん」
 「お疲れ―晴仁くん」
 高等部2年 中野夏季と中野秋季(あき)。中野四兄弟の双子の姉妹であるがその見分けは親にすら困難らしい。
 「姉ちゃんズ」
 「……こんにちは」
 「ちょっと冬季、その呼び方やめて」
 「晴仁くん、うちの馬鹿弟がいつもいつもお世話になって、ごめんねー」
 「そんな、こっちが世話になってるから」
 「またまたーそんなこと言っちゃって」
 「うちのが、絶対世話になってるってー」
 「あ、冬季、うちら、屯田軒で夕方サービスタイムセット食べて帰るから」
 「お母さんに言っといてね。じゃあ、またねー。さっさと帰るんだよー」
 双子が去っていく。二人はちょっとため息をついた。情報屋の異名を持つ双子、そしてその双子をうまく使い、いち早く新聞として提供する高等部三年新聞部部長、浅野美也子。依頼の秘密を抱える晴仁にとっては脅威だった。冬季にとってもこの姉双子に振り回されている節がある。
 ふと、忘れ物をしたのを思い出した。傘だ。降るか降らないかあいまいな予報だったから一応持ってきたのはいいが、すっかり忘れていた。持って帰るか置いていくか少し迷っていたところで冬季が袖を引っ張った。
 「早く帰るぞ」
 「えっ?」
 「いいから。姉ちゃんズが、さっさと帰れって言ったろ」
 「……うん」
 急ぎ足で学校から離れ、自宅近くまで冬季は付いて来た。こんなに心強い親友は他にいない。
 「ハル、何調べてるか、誰にも言ってないよな?」
 玄関先で冬季は小声で尋ねた。晴仁は冬季にも依頼内容は言ってない。知っているのは彼と依頼人、そして理事長のみだ。
 「誰かいたの?」
 「なんかよくわかんないのがいた。姉ちゃんズも気づいた。兄貴にも言っておくから。もうやめた方がいいんじゃないか?」
 「でも、やんないと」
 「そんなに大事なことなのか?」
 「うん、これ春季さんだけの問題じゃないんだよ」
 「そっかぁ、ならしょうがないな。とりあえず今日は帰るよ。お前はなるべく一人で行動するなよ。人通りの多い道通るんだぞ」
 「うん。冬季、ありがと」
 「……あ、ああ、別に大したことじゃないからさ。とにかく気をつけろ」
 中野四兄弟がそろってそう言うのだからそうなのだろう。春季の勘も双子の助言、そして冬季の心配もなんらかの危険を察知しているということだ。
 「じゃあ、また明日」
 「おう」
 晴仁は玄関のドアを開ける前に、冬季の後ろ姿を見送った。
 
 
 
 
 


草うららか |MAIL

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