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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
11日の答えです。 14日夕方、全校生徒が下校した後、一人の女性が玄関靴箱前にいた。女性の足下には大きなダンボル箱が十箱ほどある。彼女はそれを抱え、一つ一つの靴箱へ入れて行った。 この男子校の近くに女子校がある。そこの売店員から一通の電話があった。 「ちょっとぉ、今年も余っちゃったのよ。皆、学校の売店なんかでチョコレート買わないのよ」 「やっぱりそうなの?」 「これ業者の人に引き取ってもらう前に、どう? どうせもう売れないし。只でいいわよ」 「そうねえ......」 売店員は少し悩んだ末、 「全部ちょうだい」 と答えた。 そして、他の学校にも連絡する。近辺の知り合いの売店員へ。そして、なんとか生徒分のチョコレートがそろった。十分の一の値段で買い付けたそれらは業者に引き取られてメーカーに戻されて処分を待つだけのチョコレートたちである。 さて、真相を突き止めた生徒たちは、この事実に愕然とした。売店員の鈴木さんは五十九歳で、最近お孫さんが生まれたということで、正真正銘おばあちゃんとなっていた。 それでも、鈴木さんのささやかな優しさにひとときでも幸せを感じたそうだ。
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