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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
施設の手作りおやつです。 その場にいた者は理解した。この少女の剣は城では扱えず、少女も追い出されたのだろうと。捨てられた剣乙女だと。 剣乙女は剣と一心同体と言って良い。乙女が弱れば剣も脆く、乙女が死ねば剣も失ってしまう。 「酷いな、ちゃんと扱えよ」 青年はその刀を拾い上げた。その刀身をゆっくりと眺める。 「きれいだな」 「あなたは、大丈夫そうね」 ややして少女が語りかけた。 「ああ、まあ。実は俺の母親も剣乙女だったんだ。あんたと同じ、刀だったんだよ。さすがに妖刀じゃなかったけれど」 「そう」 少女はその言葉の続きを待っているかのように青年を見つめていた。 「なあ、これ、俺が扱わせてもらってもいいかな?」 少女はようやくにっこりと笑った。黒い刀身がまぶしい光を放つ。 「何? どうなったんだ?」 「悪しき妖刀から、良き妖刀に変ったの。あなたを主と認めました。私はキッカ、あなたの行く道どこへでもついて行きます」
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