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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
今朝、自室のゴミを片付けようとしたら、なくしていたピアスが出て来た。すごいお気に入りな分、うれしかったです。たとえ、ゴミ箱から出て来たとしても。自室なだけに生ゴミとか入ってないから大丈夫ですよ。(何が?) リースリーズ。私の名前、とされている。本来の名前はあったけど、リースリーズでいいや。 私はレイムの中に潜んでいる。人間の中にいないと私は存在できない。 「リースリーズって、まだレイム君の中にいるんだよね?」 「ああ、そうだよ」 「出てこないのかな?」 「さあ」 今、出てくるつもりはない。しばらくこの子、イザリアの中にいたけれど、彼女は全く気づかなかった。私もその辺は配慮したつもり。この子の意識や注意を一瞬奪って物を盗ませたのだから。盗んだ物は私の空間に置いておいたから見つかるはずもない。 「さあって、リースリーズが暴れたりしたらどうするの?」 「そん時はそん時だ。でも、今のところはまだ大人しいだろ」 「そんな、のんきな......」 彼女はとても心配そうにしていたけれど、レイムの言う通り私は今のところ動くつもりもない。盗みもするつもりない。今は満たされている。貪欲に思い出を盗って来た結果、私は百年くらい食いだめしたようだ。 「結局、リースリーズってなんだったんでしょうか?」 リューが言う。この子からは懐かしい匂いがする。私がまだリースリーズに取り憑く前に会ったドラゴンの匂い。残念ながら彼女にはその記憶がない。 「思い出を糧にする、無害な魔族だよ」 「でも、盗むのはよくないです」 便宜上、魔族と名乗ったけれど、本当のところ妖精の一種だ。妖魔といってもいい。本当は思い出だけあればいいけれど、盗みをするようになったのはリースリーズの影響があるのかもしれない。彼女は、盗族なのだから。 ウォルティアはずっと黙っている。街を出てから、特にステルブと別れてから元気がない。仕方がない。彼女が好意を持った男が、あんな跳ねっ返り娘の夫だったんだから。彼女には慰めの言葉もない。思い出を食べてしまおうとしたが、あいにくお腹はいっぱいだった。いや、少し余地はあるけれど、彼女がステルブと築いた思い出は少し大きすぎた。 そんなウォルティアと別れ、リューと別れ、フォーランズに寄り、そしてジョウロフェンツァに着く。 「いろいろありがとう、レイム君」 「ああ。こんな結果になってしまったけど」 行く先々で、盗まれた物が戻って来たが、あまり喜びがなかった。私がおいしく思い出を頂戴したからだ。 「いいよ、仕方がないもの」 物わかりのいい子は好きだ。少なくとも私は。 「それに私にはすごくいい、忘れそうにもない思い出と品が出来たんだから」 確かにね。 「このワンピース。着れなくなっても大事にとっておくね」 「じゃあ、今度立ち寄るときは、花嫁衣装がいいか?」 「作ってくれる?」 「もちろん。ただし、高いぜ」 「期待するわよ」 「じゃ、イザリア、いい医者になれよ」 レイムは一人になった。そしてやっと私に話しかけてくれた。 「なあ、ここで髪飾りを盗む時、お前は誰に取り憑いていたんだ?」 「ああ、それはあの子のお父さんよ」 「あ、納得」 あの子のお父さんに取り憑いて、麻酔薬を流し髪飾りを盗んだ。その後、私がひっこんだだけ。リースリーズが死んでから、いや、今までいろんな人に取り憑いてきたけれど、私が取り憑いているということを本人が知っているのはレイムだけである。
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