日記のような語りのような。

2004年06月30日(水) 1年も半分が過ぎるというのに

どうなんでしょうこのていたらく。
今日〆切り絶対なものを、その存在すらすっかり忘れておりましたのよこの人は…!
ありえない。人としてありえない。けどそれでもありえてしまう私というのは本気でどうなんだろう…!
まぁそれは一応、予備の紙もらってその場で書いて写真撮ってきてどうにかなりましたが。やはりその辺抜かりないな。こういう事態もきっと予測済みだったんだろうな。本当にすいません。

というわけで、ご覧の通りに日記を変えました。
7/1付けつってたくせに書いてるのは6/30…。あのですね、エンピツのは編集が楽なので、これまでとは異なりちゃんと「日記」を書こうと思います。なので、今回から後はその日にあったことをその日の日付けで語ることになります。
(更新は同じく日付け変更後にすることになると思いますが/汗)

なんか知らんが足に虫刺されみたいのがぽつぽつ…痒くていやんな感じです。こういうとき、後先考えずにぼりぼり掻いちゃって泣きをみるのが常なのでなるべく掻くのは自重したいんですが、わかっててもやっぱり掻いちゃうんだろうなぁ…あぁもう私のバカバカ。

今日のアニプリ、跡部vs真田の手塚争奪戦だってんですって?
録画する気満々だったんだけど、先述のあれこれのせいで自分で録画できずに恥を捨てて母に頼んでしまいました…。いやもう、別に私がそういうの好きらしいってのはモロバレだから今さらなんだけどね。
……頼んだはいいが、15分遅れて録画したうえにスペシャルだということを知らずに45分で録画を終えてしまったらしいのであれこれどうしようです。実質30分ではあるのだけど…(汗)
手塚が出てる(萌える)シーンがたくさんあることを祈るばかりです。

前の日記に昨日書いた通り、『小さな家』内の『妄想代行者』企画は終了となりましたので、私の投稿した3作は展示室の方に移すことになります。
作業はこれからなんですけど(汗)
まぁ、リンク貼るだけだからすぐできますが。……あ、これを機に展示室も模様替えしようかなぁ。もう夏だし。


 ---追記--------

『小さな家』内、『妄想〜』企画の投稿作品を展示室にアップしました。
そして展示室の模様替えもあっさりと。
カントリー風から夏らしいものへ。
それと同時に素材サイトへのリンクも貼り替えました。削除したサイトさまは、閉鎖後にオープンされたらしいのですが、中身は異なるものですのでリンクを切らせていただきました。

展示室への直通路はこちら



2004年06月26日(土) 変えてみた。

『仔猫物語。』用のデザインを日記用に変えてみました。
エンピツの中でかなりオーソドックスなデザインではなかろうかと。
自分で色々いじくっても良かったんだけど、面倒だったのでデザインをそのままお借りして今に至るわけで。
だからそのうち変えるかもです。
簡単なテーブルだけ使って気分によって壁紙変えられるようなデザインがいいなぁ。

ご覧の通り、連載した『猫。』は消さないことにしました。
デザインが変わったので見やすくなったんだか見にくくなったんだかわからんところですが。

7/1付けでこちらに日記を書くことにしますね〜。
今の日記の方にも書くと思いますが。



2004年06月14日(月) どうもありがとうございました。

13日アップ分にて、約3ヶ月続きました『仔猫物語。』は最終回を迎えました。
思えば、ただの萌えから始まったこの企画、ここまで続くとは私自身思っておりませんでした。
実は、連載中に話を書けなくなりそうな時期もあったのですが、書きたいところを書き上げるため、そして時折や毎日覗いてくださった方や拍手をくださった方、応援してくれる友人のおかげでここまでやってこられました。
萌えの力はすごいなぁと思うと同時に、こんな私でも最後までやりとげることはできるんだということに驚いています。
中盤で多少勢いが落ちていますが、それでも書きたいことは書きつくしたと思っています。

この物語の今後についは、既にご覧いただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、『仔猫物語。』専用の部屋を作りました。
こちらになります。
あと、トップにある猫の足跡のアイコンからもリンクを張ってあります。

拍手にお礼SSとして小話が入っているほか、アンケートにお答えくださった方でアドレスを記入してくださった方にはもれなく猫たちのその後を綴った小説をプレゼントいたしますので、よろしかったら覗いてやってくださいませ。

それでは、月並みで申し訳ないのですが、今までお付き合いいただきありがとうございました。
どうぞ今後もよろしくおねがいします。


ちなみに、この日記はしばらく放置後、正式に日記として使用します。
それにあたってページ全体を改装する予定なのですが、そのときに『仔猫。』を削除するかどうかはまだ未定です。
フォントなどが変わってしまうし、専用の部屋だって作ってあるから消してもいいかなとは思うのですけれど、残しておきたい気もあり…。微妙なところです。

呟き…
もしかしたら、放置期間中もあれこれ書きこんでるかもしれませんこのページ…(苦笑)



2004年06月13日(日) 猫会議3 <最終回>

――みなさんそれぞれについてのお話を聞かせてください。

※ ラウについて

ロイ「あまり自己表現するのが好きではないようだな」
セイ「そうだね、僕はなかなか面白い奴だと思ってるけど、本人はそう思ってないみたいだ。もったいないことだね」
ロイ「……(お前に面白いといわれてもな、と思っている)」
セイ「あと、素直じゃないところも好きだよ」
ロイ「ああ、わかりやすいほどに素直じゃないな、あれは」


※ ロイについて

セイ「はっきり云って好きなタイプではないけど、彼のことは嫌いじゃないね」
ラウ「……いちいち騒がしいだけだろう?」
セイ「なにかと構うのが好きなんだろうね。君なんかお気に入りじゃないか」
ラウ「……(不本意そうにむっつり)」


※ セイランについて

ロイ「気があうというのだろうか、仲が良いわけでもないだろうけれど、一緒にいて退屈はしないな」
ラウ「……お前たちはな」
ロイ「おや、やきもちかい?」
ラウ「どうしてお前たちはそういちいち絡んでくるんだ」
ロイ「さぁ、なぜだろうね?」


――みなさんのこれからについては、いかがですか?

ラウ「……別に、なにも」
セイ「ないということはつまり、これから先もずっと一緒ということだね」
ロイ「ほう、それは嬉しいことだな」
ラウ「誰がお前たちのことなど……っ」
ロイ「ではやはり、ムウさんとのことなのか」
セイ「というより、それしかないんじゃないかな、彼の場合」
ラウ「……(また怒っているらしい)」

ロイ「そうだな、このまま平和に過ごすのもよし、多少の波があったとしてもそれはそれだ」
セイ「ヒューズさんとやらにも会えるし、って?」
ロイ「それもあるな(にっこり)」
ラウ「……正直すぎるのもどうかと思うがな……」
ロイ「それが私だ、案ずることはない」
ラウ「……」
セイ「ははっ、残念だねラウ、君の負けみたいだ」

セイ「これから、ね。またそのうち、別れるだの別れないだの騒ぐことになるだろうとは目に見えているけどね」
ロイ「ああ、そういえばそうか、お前だけはまだ『預けられている』段階だったな」
セイ「そう。期限が延期されただけで、まだ何も決まってはいない。それでも、あの人は喜んでるみたいだけどね」
ラウ「……物好きなことだな」
セイ「ランディがこの僕でいいという以上、最大限に使わせてもらうさ。でなければ飼い猫なんてやってられないよ。そういうものだろう?」


――ご協力ありがとうございました!
   これからもどうぞ、みなさんお幸せに!



2004年06月12日(土) 猫会議2

――前の飼い主のお話を聞かせてください。

ラウ「……あまり、印象に残るような者ではなかった。常に私を傍に置きたがっていたというくらいだろう。――なんであろうと、結局は身代わりでしかない」

ロイ「理想の一家、とでもいうのだろうな、彼らは。みなとても優しかったよ。その時間がずっと続くものだと、信じて疑っていなかった。――あの日、ヒューズの目を見るまでは。……それでも、不思議なものだな。悲しいとは思ったが、彼らを恨むような気は一切ないのだよ」

セイ「前の飼い主、ね。彼は……そうだな、対外的には明るく気さくな男だったようだけど、家の中ではそうでもなかったな。今の飼い主は裏表がないけど、彼はなんていうか……何もない内面をたぐい稀な社交性で隠してる感じかな。だからこそ、人からもらった僕を別の人間に預けてまで外に出たがったんだろうしね」


――今の飼い主はどうですか?

ラウ「……どうというものでもない。用がないのになにかとかまわれるのは迷惑だ」
セイ「その割に、嬉しそうに見えるけど?」
ロイ「何だかんだ云っても懐いてるなどということは、見ていればよくわかるな」
ラウ「……(なぜか怒っているらしい)」

ロイ「あいつはいいぞ。文句を云いながらも私の要望には一応きちんと応えるし、こまめに世話もするしな」
セイ「君も、なんとかいいながら今を楽しんでいるよね」
ロイ「もちろんだとも」

セイ「そうだね、最近やっと僕の生活パターンに慣れてきたようだよ。最初はあまりに生真面目でどうしようかと思ったけど、真っ直ぐな奴は嫌いじゃないよ」
ロイ「全く正反対の性質に見えるがな」
セイ「だからこそ、というのもあるのかもね。何かと不安定だったときもあったようだけど、今はだいぶ落ち着いてるみたいだし」
ラウ「飼い主だけとも思えなかったがな……」
セイ「――っから、それはもういいってばっ」


――つまり、大好きということですね。

セイ「そこからどうして『つまり』にたどり着くのかが全くわからないんだけど」
ロイ「ふむ、好きか嫌いかと云われれば『好き』なのだろうが」
セイ「そうだね。――というか僕は、嫌いな奴はまず意識から排除するから、そういった意味では至極単純な答えだと思うけど」」
ラウ「……」
ロイ「……ラウ?」
セイ「……ラウ、黙秘権は認められていないよ?」
ラウ「……………………嫌いじゃ、ない」



2004年06月11日(金) 関さん、お誕生日おめでとうございます!

というわけで、今回は仔猫の方はお休みです。
どういうわけだ、とか云わないでください(苦笑)

猫の代わりといっては何ですが、関さんのお誕生日祝い小説のようなものを書きましたので、よろしかったらご覧くださいませ。
私の、関さんと関さんキャラへの愛(笑)がたっぷり…かな?

こちらからどうぞ〜v

みんなでわいわい祝おう!
そんな感じ。



2004年06月10日(木) 猫会議

猫のみなさんに質問です。
黙秘権は認めませんので、正直に答えてくださいね。


――自己紹介をお願いします。

ラウ「名前はラウ。今はムウ・ラ・フラガという人間の家にいる」
ロイ「そういえばお前だけだな。元々どこにいたのか明確でないのは」
セイラン(以下、セイ)「前の飼い主をあまりよく思っていなかったらしいことはわかるけどじね」
ロイ「そうなのか? それは初耳だな」
ラウ「……お前たちには関係ない」

ロイ「私の名はロイ・マスタング。地位は大佐だ。ヒューズ家に捨てられ、ハボックに拾われた」
セイ「地位のある猫というのも珍しいね」
ロイ「何を云う、ヒューズとエリシアに与えられた由緒正しい地位だぞ」
ラウ「(ぼそりと) 私的に与えられた地位というのもな……」
セイ「拾われたというのはともかく、捨てられたと胸を張って云えるものではないよね」
ロイ「どんな事実であろうと、全てが私に繋がるものだ。誇りこそすれ恥じることはない」
セイ「(くすっと笑う) 君らしいね」

セイ「僕はセイラン。オスカーからランディに預けられて、そのままランディの家にいる。彼は確か3人目の飼い主かな」
ロイ「お前もなかなか面白い経歴の持ち主だな」
セイ「そう? 僕はただ流れに従っているだけで、他には何もしてない。まあ、周りの人間のことなんて僕には関係ないしね」
ラウ「……」
ロイ「どうかしたのか、ラウ?」
ラウ「その割に、寂しそうな顔をしていたようだが……?」
セイ「――っ、そんなこと、あるわけがないだろう? あの人が勝手に騒いでいただけだよ」
ロイ「ふむ、そういうことか」
セイ「そういうこともどういうこともないよ。……って、なに笑ってるのさ」
ロイ「(楽しげに) いや、別に?」

セイ「そういえば、どうしてわざわざ自己紹介なんてする必要があるんだろうね?」
ロイ「確かにな、ここまで読んでいるのならわざわざ私たちがこんなことを云う必要もなかろう」


――えぇとまぁ、こちらにも色々事情があるんですよ(汗)
  それでは、次の質問へGOですGO!



2004年06月09日(水) 君といつまで7 <ランセイ>

「例え結果は同じでも、望むなら心の底から望んだ方が断然いいに決まってるじゃない」
「オリヴィエ先輩……」
「どうせこれからも同じようなことで悩むんだったら、今ここで決意しちゃった方が自分にいいと思わない?」

そうだ、とランディくんは思いました。
もし、オスカー先輩の留学の話を最初から聞いていたのなら、今日のような葛藤がないままにセイランを預かることになっていたはずです。
その場合、きっとランディくんはまた同じように悩むのでしょう。
再びの別れが訪れたとき、わかりきったことを繰り返し悩むのでしょう。
オリヴィエ先輩が本当に心配していたのは、もしかしたらこの可能性だったのかもしれない、とランディくんは思いました。

「嘘をつくな。どうせお前のことだ、面白いから黙ってただけだろう」
「あは。バレた?」

オスカー先輩の鋭いツッコミも、オリヴィエ先輩は笑って流します。

「いいじゃない。これにて一件落着、結果オーライってね」

そう云ってウインクするオリヴィエ先輩と怒ったような呆れたような顔で笑うオスカー先輩に、つられるようにランディくんも笑いました。
オスカー先輩の腕の中から、セイランが顔を上げてランディくんを見つめます。
蒼い瞳が、ただランディくんだけを見ていました。

「――」

ランディくんは手を差し出しました。
オスカー先輩の腕の中にいる、セイランの目の前に。
気づいたオスカー先輩もまた、少しだけ前に手を出します。
セイランは一度オスカー先輩を見上げ、またランディくんに視線を戻しました。

そうして。

するり、となんでもないことのように腕の中に収まった蒼は、初めて会ったときより少し大きくなっているものの、その瞳の強さは変わらなくて。

「セイランさん」

ぴくり、と耳を動かしてセイランがランディくんを見上げました。
そんな些細なことが、何よりも嬉しいのだと知ったのはセイランと暮らし始めてからです。
子どものように離れたくないと一心に願った、初めての特別な『誰か』。
それがこのセイランであって本当によかったと、ランディくんは心から思いました。

「こらからも、よろしく。――セイラン」


今はただ、このぬくもりを信じて。



2004年06月08日(火) 君といつまで6 <ランセイ>

「俺な、向こうの大学に留学することにしたんだ」

いつもと変わらない声、いつもと変わらない口調、いつもと変わらないオスカー先輩がそこにはいました。

「実はな、向こうで知り合った教授が、是非留学してこいとうるさくてな」

そう云いながらも、オスカー先輩は嬉しそうでした。
今回の帰国は、両親の説得と留学の手続きのためのものだったと、オスカー先輩は云います。
急な展開についていけないランディくんは、頭の中で状況を整理するのに精一杯でしたが、やっと言葉をしぼりだしました。

「そう、だったんですか……」
「今回は数ヶ月だが、今度は年単位だ。今のところは1年の予定だが、もしかしたらもっと長くいるかもしれない」

オスカー先輩は、腕の中のセイランに視線を落しました。

「お前にこれ以上迷惑をかけられないから、新しい飼い主をどう探そうかと悩んでいたんだが、お前がそう云ってくれて助かったよ」
「はあ……」

にっこりと笑うオスカー先輩に、呆けたような返事しかできないランディくん。
――つまりは、これからもセイランと一緒にいていいということだろうか?
やっとたどり着いた結論は、ランディくんの望んだ通りのものではありましたが、あまりにあっさりとまとまってしまい、ランディくんは拍子抜けしてしまいます。
先程までとは異なる様子で呆然としているランディくんの肩に、オリヴィエ先輩がにやにやとわらいながら手を乗せてきます。

「良かったじゃないか、ランディ?」
「…………あの、もしかしてオリヴィエ先輩」
「オスカー先輩の留学のこと、知ってたんですか?」
「ああ、まぁね〜」

ひらひらと悪びれずに手を振るオリヴィエ先輩に、ランディくんは怒ったような声で詰め寄りました。

「だったらどうして教えてくれなかったんですか!オレ、ずっと悩んで……!」
「悩んで、そうして自分の本当の気持ちがわかったんだろ?」
「え……」

オリヴィエ先輩の思わぬ真剣な瞳に、ランディくんは胸を突かれました。



2004年06月07日(月) 君といつまで5 <ランセイ>

「オレ、これからもセイランさんと一緒にいたいんです」

ランディくんの突然の言葉に、オスカー先輩は少し驚いたようでしたが、次の瞬間にはすっと眼を細めてランディくんを見返しました。

「……俺はこいつを預かってくれと頼みはしたが、貰ってくれと云った覚えはないぞ」

それは、ランディくんが初めて見るオスカー先輩の顔でした。
怒った顔なら見たことがあります。
他人を軽蔑するような、見下すような顔も、自分に対してではないけれど見たことがあります。
けれど、この顔は。この表情は。
怒っているというものとは少し違う、冷たい目にランディくんはぞくりとしました。
これが、本気のオスカー先輩なのでしょうか。

「――っ、わかってます」

けれどランディくんは、怯みそうになる心を抑え、睨むようにオスカー先輩を見つめました。  

「わかっています。これはオレのワガママだって。こうなることは最初からわかっていたのに、約束を違えているのはオレの方だ」

ランディくんの隣で、オリヴィエ先輩がわずかに息を呑んだ気配を感じましたが、ランディくんはオスカー先輩を、そしてセイランを見ていました。

「それでも……それでもオレは、セイランさんを手放したくない。今まで暮らしてきて、今になって、やっとちゃんとわかりました、自分の気持ちが」

ずっと考えていたくせに、見ようとしなかった見たくなかった気持ちに、ランディくんはやっと向き合うことができました。
嘘のない気持ちは、なんの躊躇いもなく口から零れていきます。

「オレは、セイランさんと一緒にいたいんです」

オスカー先輩の目の冷たさは変わりません。
けれどランディくんは、引くつもりはありませんでした。
例え無理だとしても、セイランへの気持ちで負けることはないと、ランディくんは知っていたのです。

そして、どれほどの時間が経ったのでしょうか。

「ま、別にそれで構わないけどな」
「…………は?」

それまでと一変して、いつもの飄々とした表情となったオスカー先輩に、ランディくんはあんぐりと口を開けてしまいました。



2004年06月06日(日) 君といつまで4 <ランセイ>

「……あたたかいな、お前は」

そんな呟きが耳に入り、ランディくんははっと我に返りました。
オスカー先輩の背中は先刻と全く変わっていませんでした。
ただ、手が動いている様子なので、きっとセイランを撫でているのでしょう。
オスカー先輩が触れているであろうセイランの柔らかな毛皮を思い出し、ランディくんはテーブルの上で手をぎゅっと握り締めました。

「ランディ」

ふいに振り返ったオスカー先輩は、腕にセイランを抱いたまま真っ直ぐにランディくんを見つめます。

「今まで、迷惑かけて悪かったな」

オスカー先輩の真紅の髪、射るようなアイスブルーの瞳、そしてセイランの深い蒼は、絶妙なバランスでそこにありました。
他に何者の存在も許さない、それは既に完成した風景に見えて、ランディくんは泣きたくなりました。
――こんなに、近くにいるのに。
どうして自分が『そこ』にいないのだろうと、悔しいような泣きたいような想いが頭の中をぐるぐると回っています。

「……ランディ?」

オリヴィエ先輩の手が、きつく握ったランディくんの手に重なります。
驚いてオリヴィエ先輩を見て、初めてランディくんはオリヴィエ先輩の心配そうな目に気づきました。
そうしてやっと、わかったのです。
オリヴィエ先輩が、玄関で云った言葉の意味を。

『アンタ、大丈夫?』

それはきっと、こうなることを危惧して云ったことだったのでしょう。
ランディくんが気づいていなかった、いえ、気づかないフリをしていたことを、オリヴィエ先輩は見抜いていたのかもしれません。

『オレに止める権利なんて、ない』

わかっていた結末を、今になって否定したくなるなんてどうかしている、とランディくんは思いました。
セイランはオスカー先輩の猫で、ランディくんくんのものではありません。
けれどそれでも、想ってしまうのはどうしようもないことなのかもしれません。

「オスカー先輩、オレ……」

真っ直ぐにオスカー先輩を見据え、ランディくんはゆっくりと口を開きました。
ランディくんの頭の中には今、ひとつの想いしかありません。
これでもうサヨナラなんて、嫌だ――。



2004年06月05日(土) 君といつまで3 <ランセイ>

「よう、久し振りだな、ランディ」
「先輩……」

目を見開いたきり、ランディくんは口を開け放していました。
その呆けた顔に、オスカー先輩は肩をすくめてからかうような笑みを浮かべます。

「おいおい、久々に会った先輩にお久し振りの一言もそれはないのか?」
「……あ、いえはいっ、お久し振りですっ!」

反射的に気をつけをするランディくんに、オスカー先輩は声をあげて笑いました。

「ああ、お前も変わってないようで嬉しいぜ」

やっぱりオスカー先輩だ、とランディくんは思います。
女ったらしだけど、いつも自信たっぷりで強い、ランディくんの尊敬する人。
外国をまわったことにより、さらに自信をつけたように見えるオスカー先輩は、やっぱりオスカー先輩でした。

「あ、お2人とも上がってください」

せっかく訪ねてくれた先輩たちを立たせっぱなしだということに気づいたランディくんは、お茶でもどうかと二人を部屋に促します。
勧められ、まずはオスカー先輩が部屋に上がります。
続いて玄関に入ったオリヴィエ先輩は、鍵をかけるランディくんにだけ聴こえる声で云いました。

「アンタ、大丈夫?」
「え……?」
「いやうん、平気ならいいんだ。平気なら」

ごまかすように手を振り、オリヴィエ先輩はオスカー先輩に続いて部屋に上がりました。
キッチンでお茶や軽いお菓子を用意して、部屋に入ったランディくんがまず見たものは、オスカー先輩の背中でした。
窓の方に向かって膝をついている広い背中。
――その向こうに、いるものは。

「お前と会うのも久し振りだな……」

テーブルにグラスを置きかけた手がぴくりと揺れました。
その様子を間近で見ていたオリヴィエ先輩が心配そうに眉をひそめたのを、ランディくんは知りません。
ランディくんはただ、オスカー先輩の背中を見ていました。
そして、そのオスカー先輩が見ている存在。
今この部屋にいるのは、ランディくんとオスカー先輩とオリヴィエ先輩と、そして――。

「セイラン」

空や海の色よりもっと深く鮮やかな蒼を腕に抱き、オスカー先輩が振り返りました。
ランディくんは息を呑みました。
ランディくんにとってそれは、セイランとの決別を告げる瞬間だったのです。



2004年06月03日(木) 君といつまで2 <ランセイ>

セイランを抱きしめ、ランディくんはそのまま頭を抱えそうな勢いでうなだれていました。
頭の中で繰り返されるのは、先刻の電話で聞いたオリヴィエ先輩の声ばかり。

『オスカーが近々こっちに帰ってくるって』
『アンタたちのことも、アイツなりにずっと心配してたみたいだよ』

オスカー先輩が帰ってくる。
それはすなわち、セイランとの別れを意味していて。
けれど元々、セイランはオスカー先輩の猫なのです。
ランディくんは、外国に行ってしまったオスカー先輩の代わりにセイランを預かり育てていただけであって、セイランはランディくんの正式な飼い猫ではないのです。

「わかってたよ、そんなこと……」

いつか別れのときがくると、そんなことは最初から承知でした。
けれど、一番初めに覚悟したはずのそれがいざ目の前にくると、嫌で嫌でたまらないと思ってしまうのはなぜなのでしょう。

オスカー先輩の帰国は、純粋に嬉しいと思うのに。
オスカー先輩に会って、向こうでの話をたくさん聞きたいとも思うのに。

なのにどうして、再会の喜びよりも別れのつらさがより大きいと感じてしまうのでしょうか。
いつの間に、セイランの存在はランディくんにとってこれほど大きくなってしまっていたのでしょうか。


オリヴィエ先輩の電話があってから数日後のことでした。

「や、ランディ」
「……急にどうしたんですか?」

玄関の前で小さく笑って手を上げるオリヴィエ先輩に、ランディくんはただ驚いていました。
遊びにくるときは必ず連絡をくれるオリヴィエ先輩がなんの連絡もなしに訪ねてきたのです、驚かないわけがありません。

「いや……ちょっと様子見にね、寄ってみたんだけど」

いつもと違う歯切れの悪い物云いに、ランディくんはますます首を傾げます。

「あ……あのさ、ランディ」
「はい」
「実は、この下でばったり会っちゃってさ」

何と、と問うまでもありませんでした。
オリヴィエ先輩の横から現われた懐かしい顔。
燃えるような赤い髪、凍るように澄んだ青い瞳、男でも見惚れてしまうほどの整った顔立ち。

「オスカー……先、輩」



2004年06月02日(水) 君といつまで <ランセイ>

ランディくんの家には、月に数回、オリヴィエ先輩から電話がかかってきます。
ランディくんとセイランのことを心配したオリヴィエ先輩が、様子をみるために電話をしてくれるのです。
セイランとの生活にもすっかり慣れ、ご近所さんとのお付き合いも上手くいっているランディくんには悩みといった悩みはなく、いつもその電話はお互いの近況報告と世間話で終わっていたのですけれど。


「もしもし。――はい。お久し振りです、オリヴィエ先輩」

鳴り響く電話にセイランはふと顔を上げましたが、それがいつもの定期報告だとわかると元のように顔を伏せてしまいます。
そんなセイランを横目に見ながら、ランディくんはいつもと変わらぬ様子で電話をしていたのですけれど。

「え? ……あ、はい。そう、ですか」

突然声のトーンが下がったランディくんに気づいたのか、セイランは顔を上げずにランディくんの方を見つめました。
半ば固まってしまったランディくんは、セイランのそんな視線には気づいていません。

「わかりました。はい。……失礼します」

受話器を置いたランディくんの表情は、いつもとは違い少しだけ沈んでいるようでした。
しばらくの間、呆然と置いたままの受話器を見つめていましたが、一度深く息を吐きだし呼吸を整えてから、部屋の隅で丸くなっていたセイランに向き直りました。
セイランの傍らにしゃがみこんで、右手を差し出します。
右手とランディくんとを見比べたセイランは、少し迷ったようでしたが大人しくランディくんの手に前足を乗せました。
ゆっくりとセイランを持ち上げ、胸に抱くと、ランディくんはそのままぺたんと床に座りこんでしまいます。

「セイランさん、オレ、どうしたらいいですか……?」



2004年06月01日(火) こんな1日も 2 <ラウ>

同じベランダに黒と蒼と白が並ぶというのは視覚的にどうかと思わないでもなかったが、いつからかそれは自然とそこにあった。

「そういえば、ランディといったか、お前の飼い主の。最近はどうだ?」
「どうともしないね。気になる女の子がいるとかいないとか悩んでいるみたいだけど。どうせいつもどおりに玉砕だろうから、放っておいてるよ。そっちはどう? 中尉に昇進するとか云ってなかった?」
「ああ、昇進云々はデマだったらしいな。そもそも、こちらには研修に来ているだけでなんの功績も挙げていないのだから当然だろう」
「だろうね。やっぱりあの人が人の上に立つのはどうも想像がつかないよ。癖のある上司の下でこき使われてる方がイメージに合うくらいだ」

容赦のない物言いに、けれどここにはそれを咎める者はいない。
ぼんやりと濃く色づいた木々の葉を眺めながら、特に認識するでもなくただ耳に入る音たちがあった。
それだけのことだった。

「最近の缶詰は味は良いけど質が下がっている気がするよ」
「そうか? 私はそうとも思わんがな」
「同じ品でも少し味が違うんだ。以前好きだったものでも、今はあまり口にしないものもある。まぁその辺、一応あの人もわかってきてるみたいだけど」
「お前はな、それでいいだろうけれどな。私のところなどはハボックが好き勝手に買ってくるものだから選択肢も何もないのだぞ? ……まったく、旨くもない缶を食わせるくらいなら貴様の食べているものを寄越せとどれほど云いたいか」

なにが楽しいのか、彼らの話題は尽きないらしい。
もうそろそろ雑音に飽きてきたかと思い始めたころ、覚えのある音が耳に入り、思わず尻尾が揺れた。

「君のところはどうだい? ……ラウ?」

身体を起こし、首を傾げている蒼の横を通り過ぎると部屋に上がった。
玄関の向こうから、一定のリズムで階段を上がる音がしていた。

『ただいまー。お、ラウ、ちゃんと留守番できたか?』

開口一番に抱き上げられ、頭を撫でられる。
開け放したベランダの窓を見、奴はどこか納得したように頷いた。

『ああ来てたのか、ロイにセイラン。上がれよ、ミルクくらいはおごってやるぜ?』

沈黙は了承。
なんの遠慮もなく部屋に上がる姿もまた日常茶飯事で。
抱き上げられたままキッチンへと向かうことになった私に届いた言葉がいくらか。

「……結局は、めろめろということか」
「だろうね」


当然、そんな言葉を私が聞くはずがない。


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紗月 [MAIL]