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2005年06月30日(木)  コンニチワ



お父さんは不在です。
2005年06月29日(水)  生かしちゃおけない
仕事が終わって、終電の時間までいくらかあったので、同僚とラーメンを食べに行った。
0時近くにラーメンってデブの近道なのだけど、腹が減っているので仕方ない。昼ごはんだってろくに食べていないのだ。

で、お店に入って席に通してもらう途中、私は見ちゃったのだ。
壁を這うゴキブリを。
そんなに汚い店ではないし、どちらかと言うとちょっとお洒落なお店で若いお客さんがいっぱい来るような所なのだ。ゴキブリがいそうなお店ではないのに、ゴキブリは壁をちょろちょろと這っていたのだ。

あ!ゴキブリ!
と、私は叫びそうになったけど、食べ物屋さんだしねぇ。
満席の店内には、美味しそうにラーメンをすするお客さんがいっぱいいるからねぇ。
ゴキブリが出たと発言するには、ちょっと躊躇してしまった。

席についてラーメンが出てきても、ゴキブリは我が物顔で壁をちょろちょろ、ちょろちょろっと行っては進み、止まってはまた進みを繰り返している。
ああー、あれを叩いてしまいたい。
なんとかしてやっつけてやりたい!
目の端でちょろちょろされるとすごく気になるし、見つけてしまったら生かしてはおけない。
いつか、あれが飛んでしまったら、店内はパニックだろうなぁ。
一緒にいた同僚の女の子に、「ゴキブリは苦手?」と聞いたら、(まあ、得意という人はいないだろうけれど)彼女は、「ぜったいいや。ぜったいいや」と言うので、彼女にはあそこにゴキブリがいることを教えてあげないようにした。だって、ゴキブリの存在を教えたら大声で叫ばれ、それこそ店内パニックかもしれないもの。

学生の頃、友達の家に遊びに行ったらゴキブリが出て、私が退治してやった。
大学の教室でゴキブリが出て、女の子がキャアキャア行ってる側で、私は新聞紙を丸めて追い回して、とっちめた。
自分の部屋でゴキブリを発見してしまって、アレをやっつけるまでは眠れないと思い、深夜3時くらいまで追いかけっこを繰り返して、しとめてやった。そのあとぐっすり眠れた。

ゴキブリを見たら、生かしてはおれない。
キャーキャー言う暇があったらやっつける。
このように、私は逞しい女性でありたいと思うのであります。


ラーメン屋で同僚がお会計をしている最中、まだまだ這い続けるゴキブリを見上げていたら、同僚が「どうしたの?」と私の視線の先を追いかけて、
ぎゃー!ゴキブリ!と指差してしまった。
ちょうど壁の前のカウンターの席に座っていた人がゴキブリを見て、うわあと声をあげ、店員さんがすかさず、ホウキを持って壁を掃っていた。
ちょっとしたパニックになったけど、私はアワアワ言ってる同僚の背中を押して、そそくさとお店をでて、終電に向かって走った。
2005年06月28日(火)  でんでけでけでけ
ねえねえ、やっぱり東京に住んでると、芸能人とか見かける??
ねえ、見たことあんの??

と、地元の友だちが私に言った。

ないね。
あるにはあるけど、見てよかったと思う人には会ったことがないね。

まず、青山辺りでオトコ組にいた高橋という人を見かけたことがあります。
歩道にベンチが置いてあったのだけど、やけに前を歩く人たちがそのベンチを避けて歩いてるなぁと思いながら、ちょうどベンチの前を通ったときふとその男の顔を見たら、彼だった。
すっごいニヒルな笑顔を振り撒く彼と目が合ってしまったので、なんだか怖くて目をそらした。

堂本光一がドラマのロケをしていたところを自転車で横切ってしまった。
ものすごく背が低かった。

大木ボンドがJR大塚駅にいた。

神田うのがクラブで騒いでいた。

m-floのバーバルがクラブでラップをしていた。

アークヒルズで森光子を見た。

六本木ヒルズで武田真治を見た。

会社の打ち上げパーティーで電撃ネットワークを見た。
すごい間近で見た。
これはけっこう嬉しかったかも。
でんでけでけでけ でんでけでけでけ
彼らと一緒に踊りながら、危ないパフォーマンスを一番最前列で見た。


これくらいかなぁと、地元の友だちに言ったら、
ふーん、東京に住んでるからってたいしたことないんだね。
と言った。
ないね、ない。
別に東京にいるからって、芸能人に出会えると思ったら大間違い。
2005年06月27日(月)  彼女から仕事を奪うということ
きゅうきゅうになりながら、働いております。

派遣業は、法律に守られた商売です。ただ、その法律のせいで制約が生じることもあって、歯痒いときもたまにあるけど、派遣法という法律に守られて、私は仕事をしてお給料を貰っている。

派遣法の勉強をしていたり法律のすぐそばで仕事をしていると、何事も「モノは捉えよう」「裏を掻く」ということが段々とわかってくる。そして、弁護士なんかはそんな方法を駆使して商売をしているんだなと思い始めた。

だけど、人間は法律の前では強い。
人の感情は、法律などで押さえつけることは出来ないし、屈することはない。

派遣の仕事は、要は期待されるパフォーマンスに応えられるかどうかということである。
だけど、発揮するパフォーマンスが低い人は、そこでおしまいなのだ。
正社員なら、何とかその人にあう仕事が、その人に出来る仕事が与えられるだろう。会社側から一度はそういう機会を与えられるものだろう。それでもダメなら、解雇も厭わないのかもしれないけれど。

あなたは期待されるレベルのお仕事が出来ていないですね?
それでは、契約を一ヵ月後に終了させますので、了承して下さい。
だけど、彼女は、納得しない。
自分自身では、望まれるレベルの仕事をこなしていると思っているからだ。
もう一度、何を望まれているのか、お互いに確認する。
そして、彼女自身の成果がどれくらいのものかを確認する。
猶予を置いて、再度チャレンジしてもらう。
それでも出来なければ、そのときはおしまい。

契約の終了を言い渡す。
あなたのパフォーマンスは低いのだと、本人に理解してもらう。

ありふれた、営業担当としての対応だけれど、彼女にとっては、自分の生活を支えていた仕事なのだ。失えば生活がしていけない。次の仕事がすぐ見つかるかもわからない。


法律の前で、彼女の仕事を失えないと思う必死な気持ちは強いのだ。
2005年06月26日(日)  スピーチデビュー
さてさてさて、親友の結婚式当日。
早起きして、近所の美容室に行って髪の毛をまとめてもらい、家に帰って服を着替えて荷物をまとめて、羽田空港へ。
タクシーをつかまえてホテルに直行。その後またすぐにタクシーをつかまえて、結婚式会場へ。

ああ、友人代表のスピーチをする日がとうとう来てしまいました。
一応、読む文章は書いてありますですが、なかなかこれうまく言えないねぇ。
やっぱり恥ずかしいでしょう。
だって、「中学時代の○○さんは、面倒見のいい優しい女の子でした。だから、△△(新郎名)さんきっと幸せにしないと許さないですよ☆てへ。」みたいな、スピーチをしろと、「女性のためのスピーチ」という本には書いてるけど、今さらそんなことを親友の前で言うのも恥ずかしい。そりゃ、人前で話さなきゃいけない恥ずかしさもあるけど、今さら仲のいい人間の前で、そんなこと、言えやしない。

とは言いつつも、恙無く式を進めるためには、ちゃんとスピーチをしなきゃいけないわけで。
恋人の前で2回、深夜の残業中に同僚の前で1回、スピーチを披露し練習台になってもらい、これで大丈夫かしら?と周りの意見を取り入れ、なんとかスピーチを書き上げました。
練習台の皆さん、どうもありがとう。

その場で神前式を行い、新郎側の友人代表のスピーチがあり、そのあとご歓談をして私のスピーチの番だそうです。
ご歓談のあとってことは、これ、誰も聞いてないんじゃないのかしら。
あら、これって誰も聞かないじゃん。
そら、そうだ。自分だってご歓談中のスピーチなんて誰のも聞いてなかったじゃないか。
なんだなんだ、結構いい状況じゃないの。こら、誰も聞いてないだろうからリラックスして話せるじゃないの。
と、自分も友人達とご歓談をし、ワインを沢山飲んで、「では、スピーチどうぞ」と会場のスタッフの人に言われた頃には、憂鬱だったスピーチもなんだか気分が良くなって、新郎新婦のそばでお話をするぞと立ったときには、そりゃ皆さんビールを飲むのに忙しくだーれも聞いちゃいなかった。
それでも、新郎新婦はちゃんと聞いくれているようで、ちょっと新郎なんかはハンカチで目頭を押さえていましたよ。
そんなに泣くほどかしら、と思ったけど、もう気が大きくなっているので、せっかく書いたスピーチの文章もあんまり読まず、その場で思いつくまま喋り捲り、ご結婚おめでとうと結んで終わり。

いやぁー、それにしても花嫁の両親への手紙と言うのは誰の結婚式でも泣けちゃうね。
みんな、シクシク泣いていました。
新郎側の招待客で出席し、新婦のことなんてちっとも知らないのに、どの結婚式でも新婦の手紙と言うのは泣けてしまいますね。不思議だなー。

それにしても二次会は大盛り上がりで、朝になるまで飲み騒ぎ、ホテルに戻っても2時間くらいしか眠れず、そのまま空港へタクシーを走らせ羽田行きの飛行機に飛び乗り、無事帰京。

なんだか慌しい結婚式ではありましたが、もう二度とスピーチなんぞはしません。
2005年06月25日(土)  ナイーブ
お肌の曲がり角がとうとう来ちゃったかしら!
と、思いながら、これは下地を変えてみようと思い立ち、
下地を変えてみると、あら、すこぶるお化粧のノリがいいじゃないのと
喜んでいたのもつかの間、
早々とお肌が荒れてしまいました。
ちっちゃーいブツブツが顔中にできて、痒いのなんのって、
それでボリボリかきむしってしまうから、赤くなる。
んもう、この肌質どうにかしてもらいたい。
ヤになるね。

どうして、すぐかぶれるの。
どうして、お肌にあうものが少ないの。
もう、私ってナイーブだからさあ。
心もナイーブだけど、お肌もナイーブなわけ。
どうしようもないよねぇ、そんな体に生まれちゃったからさあ。

ナイーブだからサァ、私って。
と、ずっと恋人の横に座って鏡をのぞきながら言っていると、
あなたは図太い人ですよ。
と彼は言う。
あら、どうして、私はナイーブですけど。
と答えたら、
これを見なさい!
と彼は立ち上がり、
ソファーの上を指差した。

ソファーの上には、月曜日のスーツ、火曜日のスーツ、水曜日のスーツが転がっている。その上には、先週の土曜日に洗った洗濯物がこんもりと盛り上がっており、そのソファーは最早座るものではなく、洗濯物もしくは洋服置き場になっている。

繊細な人が、こんなに部屋を荒らすものではない。
と、恋人がいい、
私は、正座で洗濯物をたたむ。
スーツにブラシをかけてハンガーにかける。

はぁ〜、こんなんじゃ恋人にも嫌われちゃうよ。
2005年06月24日(金)  女の修羅場
こんばんは。
女の修羅場真っ只中の私です。

派遣会社の営業をしている私が担当する某社には、当社の派遣社員の女性が2名働いていますが、近頃、この彼女たちの仲がすこぶる悪いらしく、AさんBさんそれぞれから毎晩のように愚痴&告げ口&ヒステリックな叫びのお電話がはいっております。
AさんBさんともに、とっくに30歳を過ぎた大人の女性ではございますが、やってることは小学生以下。もう私などはあきれ返ってしまい、ただただ彼女たちのヒステリック振りに感心するばかりです。

Aさんは、Bさんの悪いところを色々と挙げ、私に何とか彼女を指導しろと言うのですね。
「私、人のことを告げ口するみたいなのは嫌いなんですけど」と前置きしつつも、あなたBさんの悪口で1時間ずっと喋りっぱなしでしたよ。
Bさんといえば、終始ヒステリックに叫びながら、「Aをどうにかしなさいよ!あんた派遣会社なんだから!」ともう、叫び声で声が割れて途中は何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。

ちょっとの愚痴くらいなら聞いてあげられるのだけどね。
ほら、女性って一方的にガーッと喋ってすっきりする人もいるじゃないですか。
そんな人なら、いくらでも聞き役に徹しますけど、愚痴を言いっぱなしだったり感情的になられると、逆にあなたの神経を疑いますよ。だって、私だって人間だもの。私は、あなた方の言うことを聞かなければいけないサービスマンではないのです。

なんとか、部署異動をしてもらいお互いを引き離しはしましたが、まだまだ続く女の修羅場。


このように、みのもんたの人生相談以上に、様々な人たちの濃い側面を垣間見れる派遣会社の営業というものは、まあ飽きないよね。どれほどの人生勉強よりもタメになるものでございます。
さあ、就職活動中の若者よ、キミも派遣会社に入社しないかい。
2005年06月23日(木)  飛ばしてタクシー




出張でした。
最終ののぞみにギリギリセーフ。
これに乗れなかったら、どこかホテルをとらなきゃいけなかったけど、今だと万博してるのでどこのホテルも満員だとタクシーのおじさんに教えてもらいました。
だったら、おじさん飛ばして!
タクシー飛ばして!
のぞみに乗って私は私は、池袋の部屋のベッドで眠るのー!

ういろうを一本買って無事帰京。
2005年06月22日(水)  今年は花火は観れません



前に住んでいた部屋からは、としまえんの花火が見えました。
雨上がりの夕陽に、物干し竿にぶら下がった雫がキラキラ光っていました。
2005年06月21日(火)  メロン




実家から送ってきたメロン、5個。
これから食すのである。
2005年06月20日(月)  もうすぐ着くからという嘘
そろそろ携帯電話を買い換えたいのである。

F505i mova ってダサイのである。
コレが欲しい。
901isのパナソニックが欲しい。シャープの表面のアルミはすぐ潰れちゃうんだってね。
ビックカメラとかヨドバシカメラをのぞいたら、2,3万はするらしいよ!機種変更でもそれくらいするんだってさ!
高いねぇ、買えないよ。
あ、そういえば、DOCOMOのポイントでいくらか安くなるんだよね。
でも、私はいくつポイントが溜まってるのか知らんけども。

テレビ電話ってあるでしょう。
あれのどこが便利なのか、私はちっともわからない。
だって、電話っていうのは“嘘”がつける、便利ものなわけでしょう?
「今どこにいんの!?」
って聞かれて、まだ家をでたばっかりなのに、
「も、もうすぐ待ち合わせの場所に着くから!」って嘘つけるじゃん。
「今なにしてんの?!」
って聞かれて、どこぞの男の子といちゃいちゃしていたのに、
「んー、家でテレビ見てたー」とかって嘘つけるじゃないですか。

そういう嘘が丸わかりだよね。テレビ電話って。
GPSとか付けられたら、あーた、大変ですわよ。
ホント、今まで嘘ついて頑張ってきたことがばれちゃうじゃないの。

けど、そろそろFOMAに変えたい。
携帯でミュージックを聴きたい。
2〜3万って高いなぁ、高いなぁ、どうしよう、買おうか買うまいか。
まだまだ検討中。
2005年06月19日(日)  今日は何の日
今日は、7月7日。今日は7月7日。
なのに、私が書いている日記と言えば、6月19日。
6月19日と言えば何日前なのでしょうか。
18日前ですね。
2週間と半分前のことなど、おぼえているわけもなく。

何をしてたかなー、何をしてたんだっけかなーと。
私は会社用の手帳に、私用も書き込むので開いて見てみましたが、何も書いておらず、携帯のスケジュールにもなにも書いておらず、なので、6月19日と言う日に私は何をしていたのか、さっぱりわかりません。

最近、まったく日記を書いていませんが、そのうち写真をイッパイとって、アップするんだから、焦って書こうとしなくても大丈夫と、思い込んでいましたが、その写真すら一枚も撮っておらず、もうほんとにさー、どうなってんの。

あー、思い出した。
この日は、友だちとものすごくたくさんのお酒を飲んで、友だちがゲロを吐いてしまった日でした。
やっと思い出した。
あと、せっせと来週の友人の結婚式のスピーチを考えていたのだ。

よしよし、この調子で日記を書くぞ日記を書くぞ日記を書くぞ。
2005年06月18日(土)  天体観測
見えないものを見ようとして望遠鏡をのぞき込んだ。


ラジオのDJがその曲名を言ったとき、私は、聞きたい!と叫んで、彼はラジオだけつけて車のエンジンを止めた。さわさわと海がざわめいていて、たまに暗闇の中に跳ねた白い波が見えた。

私は見えないと思うと、それがすっごく気になって、背伸びしたり飛び跳ねたりして、どうにかして見てやろうと思う。
そこにオバケがいるよ、と言われたって最初は怖がりながらカーテンの影に隠れようとも、恐る恐る足を進めてしまうだろう。森の奥で大きな樹が倒れたよ、と聞いたら、スニーカーをはいて勇んで出かけるだろう。

私はそんな人間になりたい。

気分転換をしに行こうよと恋人が言って、夏の風が耳の下をくすぐった。
私はその感覚が大好きで、周りがアスファルトだらけの海でも、高層マンションに囲まれた狭い浜辺だって、海に行けば気持ちがすっとして夏が訪れたことを嬉しく思う。

ごめんねと伝えるタイミングは難しい。
好きだ好きだとバカの一つ覚えみたいに言うよりも、
これ以上をどんな風に伝えればいいのか私はそればかりをぐるぐると考える。
言葉はもう言い尽くされてしまったのかもしれない。

だけど、もしかしたらまだ誰も使ったことのない言葉があるかもしれない。
気持ちを伝える言葉はまだこの世に残っているのかもしれない。
だから、望遠鏡を担いで私は夜の原っぱに出かけるのだ。


知らないものを知ろうとして望遠鏡をのぞき込んだ。
2005年06月17日(金)  真っ黒な足
陽が照っている。

首の辺りがぬるぬると汗で濡れているのがわかる。
重いバッグを持ち替えて、私は俯いて歩く。
そのうち頬から汗が滴り落ちるかもしれない。

電車がすべての音を掻き消して頭上を走っていく。
高架下の影に私は素早く逃げ込んで、首の汗をぬぐった。

茶色がかったダンボールがいくつか並んでいて、
もう原形をとどめていない自転車がガードレールにもたれかかっていた。
黒いといっていいほどの布切れが、電車の騒音で揺れていて、
ダンボールの隙間から、真っ黒な足が見えた。

私は、涼しい影の急な暗さに立ちくらみがして、
真っ黒な足を一瞬見逃してしまった。

彼は死んではいない。
眠っているのだ。
真っ黒な、真っ黒なその男は、足も腕も顔も髪の毛も真っ黒で
骨と皮だけの体を、冷たそうなアスファルトに横たえていた。

私は無意識に息を止めて、彼の側を通り抜ける。

彼の脇をスーツの上着を肩にかけた男が歩き、
制服姿のOLがふたり通り過ぎた。
また、スーツの男が歩いていき、女が歩いていった。
黒い男は、周りが何も見えないかのようにただじっとその場で寝そべり
体を横たえている。
開いた目だけが白い。

陽が照っている。

彼は優雅だ。
私はこんなにも汗をかいているのに
彼は何にも動じず、ただ自分の脇を通り抜ける足ばかり数えることが出来る。

高架下に涼しい風が通り抜けた。
2005年06月16日(木)  シーソー
はっと顔をあげたら、終電の5分前だったので、
恋人に電話して迎えに来てもらおうか、それともはじめての会社にお泊りをしてみようかとも考えたけど、やっぱりだーれもいない数十回建てのビルでひとりで眠る勇気はないので、下手下手に出ながら恋人に電話した。

本当に申し訳ないので、コンビニで缶コーヒーを買ってビルの前で立って待っていた。

深夜のドライブはとても好きだ。
東京の道路はジェットコースターのように上へ下へとくねっている。

最近、誰とも話をしたくない。
仕事以外で誰かと話すことが億劫になってきた。

私のシーソーには、左側に仕事や家族の問題が乗っかっていて、
その反対側には恋人が座っている。

仕事がだんだん重たくなると、恋人の力が必要になってくる。
唯一、彼と話すことだけが私の鬱憤のはけぐちで、仕事の愚痴や仕事の話なんかをするわけではないけれど、ただ居てくれさえすれば私は何となく落ち着きを取り戻せる気がするのだ。

こんな状態になってしまって、私は怖いと思う。
恋人という存在を、できれば仕事の真逆におきたくはない。
だけど、人間はそんなに器用ではなく、私は誰よりも不器用な人間だと自分で思う。

電車に乗り遅れて迎えに来てくれることだけを期待しているのではない。
ただ、顔を見たい、声を聞きたい、一緒に過ごしたいと思うことが、仕事やいろんな問題に比例して強くなってしまうのだ。
けっして、自分でこういう関係を望んでいるのではないのに。

恋人と恋人でいつづけることは、とても難しく、
仕事を一人前にこなせるには、まだまだ遥かに時間がかかる。
もっと大人になりたい。
2005年06月15日(水)  まず形から入る
ということで、親友の結婚式でスピーチをしなくてはならない。

どうにかなるでしょう、と思いつつも、今さら中学時代のエピソードを思い出そうとしてもなかなか思い出せない。彼女との、あんなことやこんなこと、誰にも言えそうにもないそんなこと、そういうのはたくさん思い出せるのに、結婚式で話せる気のきいたエピソードなどまったく記憶にない。
これは困った、と数人の中学時代の友だちにヘルプメールを出すと、素晴らしいことにみんなのご協力を賜り、いくつか話せそうなエピソードを思い出せた。
がしかし、どんな風に書けばいいのかしら。

ということで、ジュンク堂に走り、冠婚葬祭の本棚の前でアレでもないコレでもないと本を選ぶことにした。

スピーチ本ってたくさんあるのね、マナー本なんかも立ち読みしてしまいました。
やっぱり友人には3を包むのがいいんだってね。3かぁ、きっついなぁ。

と、そこへ、金髪で短パンでのびのびのTシャツを着た、いかにも遊びまくっていそうなお兄さんがやってきて、マナー本の一冊を手に取るとすっごく真剣に読み始めた。
偏見ではあるが、ものすごく不釣合いな情景である。
へぇー、こんな格好をした人でも、マナーに興味があるのね。
どれどれ、どんなページを読んでいるのかしらと、後ろから覗き込んでみると、『結婚式でのスピーチ』というページを読んでいたので、「私は負けない!こんなちゃらちゃらした男に、スピーチで負けるわけにはいかない!コイツよりぜったいいいスピーチしてやる!」と、ライバル心が芽生え、勇んで「女性のためのスピーチ」という本を買って、家路に急ぐ。


しかし、未だ一行も書いていない。
結婚式まであと数日。
2005年06月14日(火)  偏見とコンプレックス
「僕は、中学までしか出てませんから」という派遣スタッフの男の子がいる。
私より、ふたつ年下だったと思う。

大昔のことなら、最終学歴が中学校という話などよくあったことかもしれないけれど、80年代に生まれた人が、中学までしか学校に行ってなかったということは、どういう事情があったのだろうかと、誰しも想像してしまいがちである。

世の中に学歴の偏見があるのかと言われたら、少なくなってきたのかもしないけれど、まだあるのかもしれない。あまりそういうことに拘らない環境に生きてきたので、実感がない。それはたぶんきっと幸福なことなのかもしれない。

学歴はその人を表すひとつのファクターではあるけれど、それはただのひとつにしか過ぎないと私は思う。大学へ行くのは、ただ学生期間を引き延ばすためだけの時間のようにも思えるし、学生でいられる環境であるのなら、私は出来るだけ学生で居たほうがいいように思える。選んで社会に出る必要などなく、学生でいるうちに社会人の時には過ごせない時間を得られればいいのに、と思う。一度、社会に出てしまえば、その先は嫌になるほど長いのだから。

中学までしか出ていない彼は、ことあるごとに「僕は中学出ですから」と言う。
彼が言うには、学歴でいろいろな辛い目にあい、苦労したそうだ。
だからこそ、彼はこれまで実力主義の企業で働くことが多く、そして成功してきたという。
また、大学受験に挑戦するので派遣の仕事で自分の時間と両立できる仕事を探したいとも言った。

そんな彼の働き振りを見ていると、私は痛々しくて見ていられないと思う。
彼の姿から感じることは、「一番に学歴に偏見を持ち、コンプレックスに思っているのは彼自身だ」ということだ。
何か悔しいことがあれば、すべてを学歴のせいにし、上手くいかないことがあれば、結局は中学出だからという理由に行き着く。
私はそんな彼の話を聞いていて、かけてあげられる言葉がない。
もっと、冷静に自分を見られないのだろうか。
もっと、冷静に仕事を振り返られないのだろうか。
彼の気がすむためには、早く大学の受験を受けて入学すればいいのにと思う。好きなだけ勉強をして、最終学歴に早く大学名を刻めばいいのにと思う。


彼を見ていたら、もしかしたら私だって、自分の学歴にコンプレックスはあるのかもしれないと思えた。音楽大学を出たのに、どうして音楽の仕事をしてないでこんな営業の仕事をしているんだろうって。後悔と言えるほどはっきりした感情ではないにせよ、まったく違う方向の仕事をしてしまっているなぁと苦笑が漏れる程度ではある。でももし、その感情が学歴に対するコンプレックスで、後悔と呼ぶ感情の一種であるのなら、私のような誰かが言うだろう。「だったら、これから音楽のプロになって音楽家と言う職業につけばいいじゃないの」と。
だけど、そういう話しではないのだ。
私の音大の話しも、彼の中学出のコンプレックスと最終学歴の話も。
そういうことではないのだ。
自分自身が一度感じたコンプレックスは、事実を塗り替えたからといって、果たして解消されるものではない。コンプレックスは感情の問題なのだ。


社会に出た経歴ははるかに私より長いのに、まだ年齢も若く、実力だけに頼った社風の会社で勤めてきた彼は、今にも切れてしまいそうな危うさがあって、私は不安を感じる。高いプライドと自信にみなぎっているけれど、すっかり凝り固まってしまって誰の言葉にも耳を傾けない。普段から話す言葉も意識してかビジネス的な口調を使い、肩肘張って強がっているような気がしてならない。


これもひとつの偏見なのだろうか。
私が、彼に対しそんな不安を感じるのも、ひとつの偏見なのだろうか。
プライドの高い自信家の中学しか出ていない彼。
そんな彼に、私は不安を隠しきれない。
彼はこれからどうなってしまうのだろうか。
2005年06月13日(月)  雨を見上げる
アスファルトから照り返してくる熱気が、生ぬるく足を撫でる。
私は自転車をこぐ。
信号を超えて、交差点を渡って、高速道路の下をくぐって、私は自転車をこぐ。

風がスカートを揺らして、太ももが顕わになる。
懸命にペダルをこぐ自分の太ももを眺めていたら、その上に大粒の雨が降ってきた。大粒の雨は、そのうち道路を黒く染め、私は自転車ごと雨宿りが出来る場所へと急いだ。

屋根を見つけ、私は自転車を支えたまま空を見上げる。
私の足首はすっかり濡れてしまい、Tシャツが体に張り付いていた。
髪の毛から雫がたれ、肩が冷たかった。


そんな空を見上げながら、あの人はどうしているだろうと思う。
むしょうに彼に会いたくなったけれど、
もう会えないという事実は、言葉に表せないほど悲しい。
そう思ったら、この大雨に打たれて自転車をこいだほうが幾らかマシなように思える。
2005年06月12日(日)  突然の休暇
出張・深夜残業続きということで、超過勤務を言い渡され、こうして強制休暇をとっている私です。勝手だねぇ、会社って。けど、仕方がない。所詮、駒に過ぎず、サラリーマンでしかないのだから。

土日を含めて、4日間の休暇が急に手に入り、さてさて何をして満喫してやろうかと企んではいたものの、やっぱり一日目は終日眠り、二日目は誰も居ない恋人の部屋でDVDを見て、土日はまったりゴロゴロしながら過ごしてしまった。
なんて、不健康なんでしょう。プールにでも行けばよかった。

だけど、たっぷり眠ったのでお肌の調子がすこぶるよい!
お腹の調子もすこぶるよくって、クマもなくなった!
なんて、素敵なんでしょう。


恋人がマンションの前で車を洗っているのを、ベランダから見ていた。
気持ちいい風が吹いて、車がキラキラ光っていた。
2005年06月11日(土)  骨粗しょう症
今日はすごいことを発見した。

ベッドにまっすぐ寝そべっていると、左側の足が右足より外側に倒れてしまうのだ。
いくら、リラックスして真っ直ぐ寝そべって、足を伸ばしても右より左足のほうが外側に開いてしまう。

最近、骨盤矯正で足が長くなったとか、細くなったとか、よくテレビでやっているけれど、骨盤矯正ってのは気持ち良さそうだね。痛そうだけど、その分すっきりしそうじゃない。一度やってみたいのだけれど、出かけるのが面倒だし時間もないしで、まったく行く気配がないけど。

で、左足がやけに外側に開いちゃっているので、これは骨盤がおかしいのかしらと思って、腰をひねったり内股にして腰を鳴らしたりしていると、すごい、左足が内向きになって外に倒れなくなった。でもその分、右足が外に開いたように見えるので、今度は右の腰をごりごりひねっていたら、こちらも真っ直ぐになった。

すごい、人間の骨ってすごいね。
ねぇ、すごいね!?と恋人に言ったら、それってただベッドの凹みで外側に倒れてたように見えただけでしょう?と一蹴された。
ものすごくがっかり。
2005年06月10日(金)  何度も読み返す
こう出張を何度も重ねていると、2時間や3時間の移動など、どうってことない、という感覚に陥ってくる。新幹線では眠り飛行機の中でも眠り、知らない街を迷いながら歩いては、いろんな人に道を聞いたり、電車の乗り方を聞いてまわる。

その地元の支社の人たちが、美味しいものを食べさせに連れて行ってくれるけど、あんまり美味しくない。どちらかというと、早くホテルに帰って早く一人になりたい気分だ。

ホテルに戻ってぼんやりと鏡を見る。
携帯電話を開いてメールを送信すると、返事が返ってきて、私は何度かその返信を読み返してベッドにもぐる。

出張は旅行じゃないから、どんなに素敵な場所に来てもちっとも楽しくない。仕事での得られるものや課題はあるけれど、それは仕事の範疇を超えない。遠くに出かけて美味しいものを食べたり、きれいな場所を見るのは、仕事を置いて誰かと来たほうがはるかに楽しい。

私が、写メールで撮ったその土地の写真を恋人に送ったら
今度、休みが取れたら一緒に行こうねと返信が帰ってきた。
私は何度かその返信を読み返してベッドにもぐる。
いつの日か、きっと一緒に来られたらいいのにと思う。
2005年06月09日(木)  青い空青い海
なんかもう疲れちゃった。いろんなことに疲れちゃった。
どんなに手を尽くしてもどうにもならないことって、実際にあるんだね。

どこかに行ってしまいたいという気持ちと
どこにも出かけたくないと言う気持ち

ひとりでいたいという気持ちと
ひとりじゃ淋しいと思う気持ち

泣きたい気持ちと
怒り喚きたい気持ち

矛盾した気持ちがお互いに引っ張り合うので、私は一体どうしたらよいのか決めかねている。


沖縄にでも行きたいなぁ。
2005年06月08日(水)  ヘヘヘのかっぱ
恋人が、「ヘヘヘのかっぱ」と言い、その言い草にとても腹が立ったので、辞書で引いてみました。へのかっぱを。

へのかっぱ
何でもないこと。簡単にやってのけること。河童の屁。
(引用 goo辞書)

では、河童の屁とはなんぞや?

――の屁(へ)
取るに足りないことのたとえ。へのかっぱ。〔「木端(こつぱ)の火」の転とも、河童は屁を水中でするので勢いがないからともいう〕
(引用 goo辞書)

なに?
河童の屁は勢いがないのですか。
水中でやってしまうオナラほど、勢いがあって破壊力があるものだと私は信じて止まなかったのですが。だって、あんな大きな空砲で空中に発射され、しかも臭いなんて、かなり威力があることだと思うのです。真面目に。空砲というより実砲により近いんじゃないでしょうか。


オナラについて。
私は大笑いすると、出ちゃいます。
気が緩んでブッと出てしまいます。
あとは、オールナイトで遊んだ明け方ごろ、出ちゃいます。
なんかお腹にガスが溜まりまくるのです。
本当にゴメンと思うのですが、これはこれで仕方ないと思います。
私はそんな私を責められないと思う。真面目に。

ところで、恋人同士、どれくらい付き合った時期から相手の前でオナラできるようになるか、という話題が良くありますね。私は、早い時期にオナラすることをお勧めします。ただし、布団の中では禁止。
ちなみに、私の恋人は、オナラをいつでもどこでも出すことが出来るようです。
ブッブ、ブッブ、本当によく出します。
病気じゃないの?ってくらい出続けたこともあります。
最初のうちは初々しく大笑いしていましたが、最近じゃ、「ブッ」と大きな音をたてても誰も何も触れません。そのうち、「オナラするときはベランダに出てやって」と冷たく言い放つようになりました。
マンネリの証拠かしら。
もうクスリとも笑えなくなりました。
しかし、私以外の人前ではオナラをしたことがないようです。
私の前だけでオナラするなんて、嫌がらせでしょうか。

へへへのかっぱと叫び、オナラをブッブブッブする、男31歳。
彼のスペックをこうして書いてみると、なんとなく男前な気がするのはきっと私だけ。
2005年06月07日(火)  死んだら化けて出るぞ
オバケについて考えましょう。

私は霊体験というものはあまりないのですが、兎角「金縛り」によくあった時期がありました。あれは、科学なのか医学なのかよくわかりませんが、ちゃんと何かの理論で立証されるらしいね。よって、霊体験ではないと言えるそうです。
頭は起きてるけれど、体が眠っている状態、たとえば頭がいくら「右手動け!」と指令を出しても体は眠っているので動かない、それが金縛りということだそうです。
たぶん、そうだったような。

ただしかし、私はひとつだけものすごく怖い体験をしたことがあります。
いやー、これ怖いな。書いちゃっていいのかしら。

金縛りにあっている最中、誰かが私の体にのしかかって、首を絞めました。

きゃーーっ!

と、いう恐怖体験。
翌朝起きて、母に「お母さん、昨日の夜中、私の首絞めた?」と、自分の母親に朝から物騒なことを聞いたのですが、せめてあのとき母に「うん」と言ってもらえれば、私の恐怖はかなり減っていたはずですが、母が肯定するわけもなく、とても怖ろしい体験をしたのです。ただ、金縛りの最中だったこともあったので、何かの幻覚・幻想だよねぇ、そうだよねぇ、ということで無理やり自分を納得させましたけど。

あ、そういえば、もうひとつ怖い体験を思い出しました。
怖かったことは言葉にして誰かに聴いてもらうことで、怖さは私だけのものじゃなくなりますからね、どんどん言っていくことにします。この恐怖をあなたにもおすそ分け。

これもまた、金縛りにあっている最中、ベッドのある部分がすごくへこんでいる感覚があるのです。私の足元あたり、誰かがそこに思い切り体重をかけているようなへこみを感じるのです。そう、たとえば、そこに誰かが座っているような。
瞼を開けるのにとても苦労しました。ものすごい重力が体全体にかかっているようで、瞼が開かないのです。だけど、思い切り力を入れて目を開いたら、やっぱいたよ。
私の足元に誰かが座っていたよ。
悲鳴を上げようにも、声も出ず、かすれ声しか出ず、そのまま意識を失うように眠りに吸い込まれました。というか、本当に意識を失っちゃったのかもしれないけど。

ぎえーーーっ!

ということで、誰かが私の眠っている間に遊びに来てくれていたみたいでした。
ちゃんと相手になって遊んであげられなかったことが、唯一後悔することです。
嘘です。

そういえば、一度、恋人と眠っているときに金縛りにあったことがありました。そのとき、わき腹に強烈な痛みを感じたのです。肋骨と肋骨のあいだに細い鉄の棒をねじ込まれているような痛みでした。それを避けようとしても体は動かず、イライラしながらこの重力を解いてやろうと必死になって金縛りを解いたのです。(もうすでに金縛りに慣れきってしまった私は、金縛りを解くという技を身に付けました)
そうしたら、恋人の肘鉄が私のわき腹をグイグイ押しているのに気づき、腹が立ったので耳たぶを思い切り噛んでやりました。

ひぇーーーーっ!

この恐怖をあなたにも。
2005年06月06日(月)  お肌の曲がり角
お肌のお肌の曲がり角
焚き火だ、焚き火だ 落ち葉焚き
曲がろうか 曲がろうよ
今年で26 来年27

なんか最近、お肌の質が変わってきたことに、薄々気づいてはいたものの、いやー春だからでしょ?梅雨だからでしょ?疲れてるからでしょ?という理由にこじつけ目をそらせてきたものの、「とうとう来たのねー!」と、確実にお肌が変わってきている様子。
私は、ほとんどお顔に気を使わないので、口紅すら塗って出かけないこともあったり、池袋の駅デパに帽子を目深にかぶってスッピンで行ったりする。すっぴんで出かけることで周りのすれ違う人には多大な迷惑と不快感を与えているのかもしれないけれど、私は私の顔を見れるわけじゃないので、気にしない。

そういえば、「気にしない」という感覚、及びその姿勢がオバサンへの第一歩だという話しをどこかで聞いたことがありますが、それはそれでまた別の話し。

私はね、管楽器を演奏していたものですから、そもそも口紅なんかを塗るという行為に習慣がなかったのです。演奏会の帰りにちゅちゅっとリップクリームを塗るくらいで、学生時代に口紅を持っていたという記憶があまりありません。それを社会人になった今でも引きずっている。
そして、仕事の忙しさにかまけ、一日中、メイクを直すことすらおろか油さえとらないこともほとんどという始末。

ということで、どんな風にお肌の質が変わってきたかというと、ムラが出るようになってきたのです。ファンデーションに! 夜、会社を出るときトイレに行って鏡を見たときの驚きったらありません。なにこれ!なにこの顔!誰の顔よ!と鏡をバリンと叩き割ってしまいたくなるほど、ムラムラ。最近、ノリが悪いなぁと思ってはいたものの、これほどムラが出てしまうと、もうビックリ、誰の顔よ、と思いたくもなります、私の顔ですけど。

ということで、下地を変えてみることにしましたが、
何を買えばいいのかさえわからない。
今までアイラインすら入れたことのない、マスカラさえしたことのないこの私が、化粧品に詳しいか?いやまったく知らない。プラウディアしか思い浮かばない。
お肌の曲がり角に大変有効な下地を探したい。
そして、これ以上曲がらないように、出来るだけ化粧をしないこと、従ってスッピンでいること、ということで、休日は池袋に出かけようが表参道に出かけようがデートをしようが、スッピンでいることを心がけると、誓います。

だいたい、なんで女性は化粧をしなくちゃいけないのか。
私は未だにこの点において、納得がいきません。
男の人が羨ましい。何も気を使うこともなく、顔さえ洗ってヒゲを剃ればそれでいいわけでしょ。羨ましいことこの上ないよね。
女性がスッピンでいることに抵抗のない世の中が来ればいいと思う。
そうすれば、朝だってもう少しゆっくり眠れるのにさ。
2005年06月05日(日)  大雨
いつのことだったか忘れてしまった。
それが夜だったか、昼だったかさえも。

雷が地響きのように鳴り、雲が何かから逃げるように素早く流れていった。
窓をあけ、遠くを見上げると、不吉な予感を漂わせるカラスの羽根が一枚ひらひらと散っていった。

目の奥をつくような光が、空を一瞬照らし、私はそっと窓を閉めた。

私はいつも眠りからさめる瞬間を味わいたいと思っているのに、気がつけばその一瞬はいつも過ぎ去ってしまっている。

誰かに恋をすることは、雷が鳴ることに似ている。
嵐が訪れることに似ている。
大雨が地面を叩きつけるのに似ていて、空が眩しく光ることに似ている。

迷路のような恋人の浮き出た血管を、私は潜り抜けるように指先でなぞる。
出口のないその迷路を、私は出口などないとわかっているはずなのに
行ったり来たり、私は指でなぞり続ける。

暗闇に光るのは、煙草の火だけで、それは時々強くなったり弱くなったりする。

誰かが私の耳元で「時間は止まってはくれないんだ」と、囁いた。
私は一度目を開いたけれど、誰が囁いたかはもう知ろうとも思わない。
2005年06月04日(土)  引き算
去年頃から、うちの会社の新卒採用の担当者と一緒に仕事をする機会がある。
学生の最終面接ってどんな風にしてるんですか、と聞いてみた。

女子学生のうちの何人かが泣いて帰るそうだ。稀に男の子もいるそうだけど。
タフな人間を採用したいという欲が、学生の面接時に「あなた、うちの会社に向いてないんじゃないの?」という質問に変換されるのが、いまいち虚しい点ではないかと思う。
泣いて帰った子が、その後辞退してきたか、若しくは不採用通知を受け取ったかはわからない。
泣いたことが減点材料になるわけではないだろうけれど、新卒の採用は引き算の連続なんだと感じる。


まだ内定をもらえない学生と話しをする機会があった。
彼の結局の不安点は、自分が何に向いているのかわからない、ということだった。
どうして、「何に向いているか」という発想になるかが不思議だった。
何をしたいか、という発想にならないことが残念だと思う。

それでも、22歳で何をしたい、何が出来る、何に向いているなんて決断するには、あまりにも情報が少なすぎるし、選択肢が多すぎる。だからこそ、学生の就職活動にそれほど人生の重きを置くことなど不必要なのではないだろうか。
そうは言っても、その理屈が就職活動中の学生に通じる言葉だとは思わない。

私は、学生の就職活動をいうものを一切経験したことがない。
アルバイトで努めていた会社に、卒業と同時に入社したためだ。
格好よく言えば、インターンシップみたいなものだけれど、所詮、最初の入り口は「アルバイト」のつもりだったため、仕事を探したのはアルバイト情報誌からだった。そのときは、まったく何も考えず、たとえば将来のこととか、自分が何に向いているかとか、真剣に選んで決めたという記憶はあまりない。面白そうだったから、というただそれだけの理由でそれを選び、いま普通に企業に勤めていることを思えば、異様な緊張感を漂わせるその学生の肩をさすってあげたくなる。


分岐点なんて、いつも毎日そこここに転がっていて、就職活動で企業を巡るよりも、もっと大切な分岐点がそばにあることを見逃さないで欲しいと思う。

そしてそれは、全く同じことを私にも言えることだし、誰にでも言えることなのだ。
2005年06月03日(金)  OUT IN
誰かと食事をする。
ちっとも楽しくないけれど、向かい合って食事をする。

私たちの頭の上には電球がぶら下がり、テーブルの真ん中にその光を真ん丸く映していた。

この男は、先ほどから私に何かを発信している。
発信し続けているけれど、受信はしてくれないようだ。
異様に喋り続けるこの男は、一体、私に何をわかって欲しいのだろう。
何を求めて発信しているのだろう。

事前に、何を発信すればインプットしてもらえるのか、その情報収集能力に著しく欠けている。そういう人間と話しをするのは、いやそういう人間の話を聞くのは、非常に疲れてしまう。
質問する間も与えず、彼はいつまで話し続けるのだろうか。

欲しくない商品をなぜ売ろうとするのか。
欲しいと思わせるにはどんな売り方をすればいいのか。
最終的に誰がどれだけ欲しがっているのか
掛け算と足し算を組み合わせて確率を出す、計算機。
原因と動機、転換と方法、及びその情報。そして調達ルート。

彼の言葉が右から左へ流れていくので、私はこっそりと頭の中で歌をうたうことにした。


気が済んだのか、彼はやっと話を終え、私に聞いた。
どう? ねえどう思う?
どうも思いませんと私は答えた。
2005年06月02日(木)  まいった!
週末の夜、携帯電話がピロピロ鳴っていたけど、「ああ、誰だろう。面倒くさいからとらないでおこう」とベッドに寝そべって9時のドラマが終わるまで携帯電話の着信表示を見ることもせず、ほったらかしにしておく。が、こういうことをしていると、友だちが段々少なくなってくるので、要注意。

ドラマが終わったので、携帯を開いてみると、6月に結婚式を挙げる地元の女友達から電話。あら、何の用事かしらとかけ直してみると、

友「結婚式でさー、私の友人代表でスピーチを……」
な、なにー?!
ああ、電話をかけなおさなきゃよかった。
ずっと無視してれば良かった。
結婚式で「ああ、そういえば電話くれてたね?何用だったの?」って言えばよかった。
かけなきゃ良かったー!

ア「あ……、ああ、ああああ、そう、スピーチね」
友「あいちゃんは、こういうのイヤかなとは思ったんだけど……どう?やってくれない?」

んんー、イヤです。だって、なんで誰も聞かないであろう友人代表のスピーチをこの私が!
恥ずかしいし、面倒くさいし。というか、誰も聞かないでしょう。虚しいよ。
でも、ここでイヤですと言えるわけもなく。
だって、なんだかんだで長い間友だちをやってきたわけです。中学時代の同級生で、これまでずっと友だちだったわけで、いわゆる親友なわけで。私がここでイヤって言っちゃったら、彼女ねぇ傷つく思うし、結婚式の準備なんてたくさんあって大変なんだから、私がここで断ったら、また誰に頼むかって他の誰かにお願いしなきゃいけないわけだし、手間をかけさせちゃ可哀想だしね。

ア「はあ、スピーチね。なるほどなるほど、私があなたたちへスピーチをすればいいんだ」
友「そうそう、お願いできる?」
ア「うん、まあ、いいよ」
友「頼むよ。」
ア「あれでしょ?あのー、友人代表のスピーチっていうのは、とにかく、新郎新婦を褒め称えればいいわけでしょ?」
友「いや、そういうことじゃないと思うけど……」
ア「なるほどなるほど。あれでしょ?あなたの生い立ちから作文にしていけばいいわけね?」
友「あんた、私の生まれたころのことなんて知らないでしょ」
ア「知らないね。中学生以降のことしか知らないけど、ほら、こう、情報収集して、立派な原稿作るから」
友「あはは」
ア「『Aちゃんは、3000グラムで生まれ……、お父さんお母さんの手を煩わせることもなくすくすくと育ち……』」
友「いいねぇいいねぇ」
ア「あっ、それか、もうお芝居みたいな寸劇書く。『そこでA子はこう言った。』って言って回想シーンで紹介していくの。『「私、高校を出たら専門学校に行くの!」しかし、父親は大反対。「やめなさい!専門学校じゃなく、大学に進みなさい!」しかし、A子の意志は固く東京の専門学校へ進んだのであった…つづく』みたいなさぁ」

もう、自分でも何を言ってるんだかさっぱりわからなくなってきたけど、とにかくもう開き直って、結婚式の準備で大変な彼女を安心させてやろうと(安心できるかどうかはわからないけど)、寸劇の一部を語って聞かせてあげたのだ。
なんて、素敵な友情でしょう。

ア「そういえばさぁ、私、結婚式当日に地元に帰るんだよね」
友「前の日、仕事だもんね」
ア「そうそう、でさあ、たぶん飛行機の時間がギリギリなの」
友「え?そうなの?間に合うの?」
ア「たぶんギリギリ、間に合うか間に合わないかくらい」
友「だめじゃん」
ア「たぶん、間に合う。たぶん、だけど」
友「じゃあ、結婚式の服装のまま飛行機にのってくるわけ?」
ア「そう…そうなるね」
友「あはは、ひとりだけラメラメした服着てる人が、飛行機に乗ってるわけだ」
ア「そうそうそう」
友「じゃあ、荷物もそのまま会場に持ってくるの?」
ア「ああそっか、そうだよね。荷物あるんだもんね。いやー飛行機の時間、失敗した」
友「まあ、預けられると思うから」
ア「そういえばさぁ、髪の毛セットしてもらうの、どこか美容室ないの?」
友「もっと早く来るんだったら、私と同じ美容室に予約しといてあげるんだけどね」
ア「そうだよね、じゃあ東京出るとき、頭もセットしてから行かなきゃいけないわけだ」
友「あははーー!飛行機でひとりだけすっごい頭がてっかてかにセットされた人が乗ってるわけね。『どちらへお出かけ?』みたいな人が」
ア「そうだねぇ。角隠しかぶった人が、ひとりだけ目立っちゃってるわけだよね」
友「アイは、角隠ししなくていいから」


というわけで、明日、本屋へ言って「結婚式でのスピーチの仕方」という本を買います。
こりゃ、まいった!
まいったけど、ある意味面白くなってまいりました。
2005年06月01日(水)  けけけ結婚式について
とまあ、私の恋人は、むかし結婚しようかと思っていた人がいたよ、という話を聞いて、じっとりと落ち込んでいたのですが、1日たつと、「はぁはぁはぁ、そういえば自分もあるわ」と思い当たることもあり、自分も結婚しようかとすごく真剣に考えたこともあったのに思い当たり、「はぁはぁはぁ、そういえば自分もそうじゃないの」と思ったので、これでイーブン。
もう、『私の恋人は、むかし結婚しようと思った人がいた』ということもまったく気にならなくなりました。んー自分勝手。

今日から6月でしょう?
今月結婚します、という人を私は3人知っています。
呼ばないで呼ばないで、ご祝儀がご祝儀が。
呼ばないでねオーラを充分に発散させ、おめでとうと言っています。
ただ、もっとも長い友人がこのたび結婚式をあげるので、高知に帰るのだけどね。
飛行機代とホテル代とご祝儀とねぇ。
意地汚いのは、親友が結婚するのに「オメデトウ!」という気持ちより、お金の心配ばかりしている自分ね。おめでたいは、おめでたいんだけど、人の結婚って嬉しいかな?みんなは嬉しいね嬉しいね、と思うものなの?おめでたいとは思うけど、おめでたいと思ってるのは本人とその家族じゃないの? その周りの人間もおめでたいと思うものなの?正直言って、私はあんまり思わないけど。
結婚式に呼ばれるのだって、花嫁姿を見に行くだけで、めでたいから盛り上げに行こうよとか、めでたくて嬉しくて嬉しくて結婚式に参列するってわけではないのだけど。
なんだろうねぇ。

たとえば、友だちが
「私、結婚するの」
って言っても
「あ、そうなんだ」
で、会話が終わっちゃうんだけど。
「えぇ〜〜そうなの?そうなのそうなの?いやー、おめでとう!おめでとう!よかったねぇ」
っていうテンションが必要なのかしら。

ま、行くけどね。行くけど。高知まで帰って出席するけどさ。
別に特別なことしなくていいんじゃないかなとは思うよね。
「引越ししました」みたいなスタンスで「結婚しました」っていうお知らせでいいんじゃないかしら。世間的に、「結婚のご報告」というのは「引越ししました」と同等のテンションでいいんじゃないかしらね。そういう提案を私は世間にしていきたいと思っています。

というような話しを恋人としていたら、
おまえって淋しい人間だね、と言っていました。


とにもかくにも、今月結婚される方、おめでとう。
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