『日々の映像』

2000年04月30日(日) 増える“半熟”睡眠人口

 朝出勤して、夕刻に帰れる仕事についている人は、比較的リズム正しい生活が出来るので幸せだと思う。人類の歴史は、地球上の昼と夜に合わせて一定のリズムが出来上がっている。「就寝時間は、午後11時前後が最も望ましい。なぜなら、それが人間の体内リズムによって、体温が下がり始める時間だから。睡眠と体温は密接に関わり、深い睡眠は体温が下がっていく過程で得られるものだからだ」(潮5月号)よく言われるノンレム睡眠(深い眠り、脳に休息を与える)は、体温が下る午後11時以降に訪れるという体温のリズムを自覚したい。
 
 この人間の睡眠は、ホルモンの分泌による側面があることは以前に記述したが、同じ論旨が出ていたので引用。「起床後15〜16時間経つと睡眠ホルモンのメラトニンの分泌が始まり、19〜20時間経ったところで分泌量は最高になる。例えば、朝7時に起床すれば、午後10時から11時にかけて眠くなり、午前2時から3時にかけて睡眠は最も深くなるわけだ」(4/15 日経)春たけなわの今、春眠暁を覚えずという心地良い眠りこそ健康にとって最も大切なことである。

 体内の生物時計のリズムが狂い、熟睡できない「半熟睡現象」に悩む人たちが多いという。「睡眠障害の三大要因は、ストレスと体内の生物時計のリズムの変調だ」(4/15日経から)詳しく記述する紙面がないが、先ず我々の体内に一定のリズムがあることを深く認識するべきである。ポイントは、体温の低下と睡眠ホルモンの分泌である。半熟睡眠の人は「メラトニンの服用」(4/15日経)も選択の一つである。

2000年04月23日(日) 納豆が脳梗塞を防ぐ  (3号に引用)

小渕前首相が脳梗塞で入院してから3週間余り経過した。小渕ファンでなくとも病気の行方を心配している国民は少なくないと思う。ここで少々不思議な現象がある。それは、小渕首相の病状について、医師団からの発表がないことである。この発表がないことに批判の論調もあるが、発表できない程深刻な症状なのだろう。「首相が脳内出血を起こし、昏睡状態にあり、人工呼吸器を付けているという発表だった。これは、脳出血によって、脳圧が高まり、呼吸中枢に携わる脳幹が歪み『脳ヘルニア』を起こしている可能性を示唆したものだ。脳幹が歪んで細胞が死ぬと自発呼吸が出来ず、やがて心停止に至る」(プレジデント5/1号)この医学的な推論によれば、人工呼吸器を付けていても2〜3週間程度で死に至るというものだ。小渕前首相は、すでに、人工呼吸器を付けたと発表されてから3週間余り経過している。まだ62歳と若い小渕氏は、現代医学の粋を集めた集中治療室で死線をさまよっているのだろうか。

小渕前首相が激務の中で、脳梗塞になったことは、「ストレス性循環器障害の〕怖さがクローズアップされた」(4/19日経)との指摘どうりだと思う。これは激しい競争にさらされているビジネスマン・家族にとっても他人事ではない。脳梗塞の危険因子は、血栓(血の塊)・高血圧・高脂血症・糖尿病などである。ここでは血栓を溶かすといわれる納豆の威力を記述しよう。

 98年6月6日納豆の威力と題して、この納豆の中に含まれている酵素のことを記述した。この酵素(SDD・・・スーパーオキシドジムターゼ)が活性酸素を分解するという。活性酸素は老化を引き起こす根本原因である。よって、この活性酸素の害を抑制する納豆を常食する人は、老化のテンポが遅いといえる。(98年6/6記述)
 
 納豆は活性酸素の害を防ぐだけでなく、脳梗塞の原因である血栓(血液の塊)を溶かす作用があるようだ。少々長いが、福山市短大の鈴木教授の説明を引用すると「納豆はネバネバしたものが出来ます。これは多糖類で、『ナットウキナーゼ』という物質が含まれています。このナットウキナーゼには、血栓を溶かす作用があります。この効果は、血栓予防薬の『ウロキナーゼ』より強く、しかも長続きすることが分かっています」と。すなわち、血栓予防薬「ウロキナーゼ」より、納豆そのものが効果があると指摘している。更に、「このナットウキナーゼを納豆から取り出したものを血栓症の治療に使うようになりました。そして、血栓が血管に詰まることによって起きる脳梗塞や心臓発作の防止に役立っている」という。

 毎月のように食薬一体であるとの視点で、食のことを取上げている。西洋型のカロリーの多い食事が、コレステロールや中性脂肪を増やす原因であることは広く知られている。もっと、日本の伝統食を見直し、食卓に取り戻すべきではないだろうか。納豆を常食している人は、食べない人と比べて脳梗塞になる確率が大幅に低下するようだ。

2000年04月07日(金) 血管の病気    5号に引用

小渕首相の脳梗塞は、改めて血管の病気(血液の病気との理解もある)の恐ろしさをまざまざと見せつけた。このような病気を回避するため、常識の範囲の知識は、身につける必要があると思う。血管の病気を回避する初歩的な知識は、自分の血液がサラサラかドロドロかの認識が必要なのだろう。今この血液の流れを測定する装置が開発されている。

 過日、麦茶を飲むと血液の流れが良くなることを記述した。今のこの血液を測定する装置(百マイクロリットルの血液が流れる時間を測定する)によって、血液の粘度を判別することが出来る。ドロドロの血液の状態が長く続くと血栓(血液の塊)が出来て、脳血管の病気を引き起こすことになる。「人間の血管は、心臓を起点に大動脈、動脈、毛細血管と巡り、末梢静脈から大静脈を経て心臓に戻る。心臓から心臓までの血管の全長は9万キロ、地球の2周と4分の1長さ」(4/4毎日 余禄から)ここに流れる血液のスピードは、前にも書いたようにすごいスピードである。健康を保っている人は、9万キロの血管に無理なく血液が流れていることになる。

 血液を測定できる装置の開発によって、血流を良くする食品などの紹介が時折ある。記憶に残っている食品は、麦茶、黒豆、酢、梅干、魚類、ニンニクなどである。ただし、この食品の中のどの成分が血液をサラサラにするのかは今の所、不明とのこと。
 

2000年04月04日(火) 小渕首相、脳梗塞で重態  (3号に引用)

 日本の古典文学には、人のはかなさを表現した名文が数多い。平家物語は「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」で始まる。平たく解釈すれば、人の世の諸々の行いは無常であるという意味だ。平家物語は、人の一生は春の夜の夢のようにはかないと語りかけている。
 小渕首相の脳梗塞は重態で、人生の無常をより強く感じさせる。「小渕首相が、2日午前1時ごろ首相官邸で、からだの不調を訴え・・・脳梗塞で重態に陥っていることが3日明らかになった」(4/4毎日から)昨日のラジオは、1時間置きに小渕首相の「人工呼吸による呼吸管理を行なっており、予断を許さない状態」であることを伝えていた。小渕首相は、自分の意識が失われたまま政権の幕を閉じる。
 首相の入院が22時間も公表されなかったことに対して、厳しい批判の論調がある。22時間が長いか短いか、私は許容の範囲ではないかと思う。それにしても、昨日まで健康で活躍していた人が、あっという間に重態になる脳梗塞のメカニズムを整理してみると(以下3/4 毎日)
 
1、心臓に出来た小さな血の塊が脳に運ばれ、最初の発作を起こす。
1、より大きな血栓(血の塊)が脳に運ばれ、主要な動脈を詰まらせ、症状が一気   に悪化する。
1、一度血流が止まった先の血管組織は死んでいるので、そこから出血する。
1、脳の出血による腫れが進んでいる状態だと手術は難しい。脳幹が圧迫され呼吸困難となる。
 
 明日から政界の激動が始まる。政界の一寸先は見えない。

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石田ふたみ