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漫画関連ファイル


2005年03月23日(水)
中村春菊『Hybrid Child』

持ち主の愛情を糧に成長する人形の話。といっても、川原由美子の『観用少女』とは趣が違う。見て楽しむ少女の人形じゃなくて、主人に仕えるちょっと生意気な召使という感じ。三篇収録されているうち、第一話が一番好き。持ち主と人形がほぼ対等の関係だから。葉月のキャラがとても好き。第三話の人形を作る黒田の話は、木原としえさんの『紅に燃揺るとも』とか『愛は不死鳥のように』のあたりの読後感に似てる。今の読者には泣ける作品なんだろうか?



2005年03月21日(月)
夢路行『モノクロームガーデン』第三巻

もともと柔らかい作風の中にしっかりした骨のある作品を描く人だったけれど、今回はそれがむき出しになったような感じがちらほら。ううう。怖いよ。幽冥界との境界にただようようなお話ばかりで、ナイフを肌にあてられるようなヒヤリとした感触がする。あいかわらずギャグとおとぼけでくるんであるけれど、身近の誰かが亡くなられたのかなと思った。心から楽しむには、ほんの少しだけ重い。


2005年03月20日(日)
羽海野チカ『ハチミツとクローバー』第七巻

昨日長女のピアノのレッスンの際に、先生にのだめを強力にプッシュしておいた。「本屋に平積みになってますから10冊大人買いしてください。おもしろいから。」『20世紀少年』と『モンスター』を貸してくれた先生は、「わかりました。買いに行きます」と言った。長女を車に放り込んで、その足で実家へ向かったのだけれど、車中で姪っ子に「ハチクロって知ってる?」と聞くと知らないと高校二年生が言う。「読めばー?」と長女と次女が口をそろえていう。「なに、それ面白いの?」「面白いよ〜。でも何だね、あれだ。セイシュンなんだよ」・・・中学生にセイシュンの漫画って言われてしまうのもどうかと思うけれど、でも、やっぱり青春ど真ん中だと、新刊を読んで思った。
7巻は、竹本くんの自分探しの旅だ。あまりにベタな展開。あまりに恥ずかしい生真面目さ。デフォルメの強すぎるギャグ。そういうもので包み込んで油断したところに差し出される、繊細で透明な瞬間。私たちが日々の生活で時々出会い、とどめることもかなわずに過ぎていく瞬間を、こんなに見事に切り取ってみせてくれる作品も珍しい。夜の中を走っていく北斗星。転んで見上げる天の川。日本の果ての雨の終わる場所。そして帰ってきた竹本くんは森田と同じくらい強くなっていた。現在雑誌では、大人の顔していた先輩が青春に逆戻りしている。今後も楽しいハチクロだ。