一年に一度の新刊の発行。 今回もひとつひとつのお話が独特で、しかも懐かしいような世界。 冬の雪の原の中に春の世界が見える『春と嘯く(うそぶく)』がすき。 昔読んだ童話の中にもこういうのがなかったかしら。 継母に真冬に春の草をとってこい、と言われたような話で。 そして私がまだ小さかった頃は確かに存在していた 冬の寒さ。春の暖かさ、闇の深さ。光の暖かさ。 そんなものをこの作品は確かに捕らえている。 自分の中のそういう思い出が(昔話の中の記憶も含めて) よみがえってくる感じが心地よい。 読みながら先週末に行った、白川郷の風景を思い出すなあと思っていたら そのものずばり、裏表紙の帯の見返しに、作者の白川郷の思い出が書かれていた。
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