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漫画関連ファイル


2003年08月30日(土)
『悪魔のような男』 by よしながふみ

この「漫画関連ファイル」は、私が書き散らしたものから
漫画関連のものだけ集めてある場所です。
だから、更新は不定期だし、日常的には手入れをしていないんだけれど、
最近アクセス解析を見たら、見に来て下さる方のほとんどが
検索でよしながさんの作品を追いかけて来られた方々のようです。

・・・・こんにちは。
お探しの情報は、見つかったでしょうか?
何の役にも立たないし、勝手なことばかり書いているので
申し訳ないですね。
同人誌のタイトルで検索される方が多いんですが
本が手に入らなくてあらすじとか知りたいと思っていらっしゃるのかな。
それとも、本の入手が目的かな。
どちらにせよ、ここには役に立たない感想もどきしかありません。
今回も、新刊の感想を少々。

『悪魔のような男』
このタイトルは、あまり正確に内容を表していないみたい。
魔性じゃない小野は悪魔じゃないし。
じゃあ、ちいか?というと、うーん・・
確かに最強だけれど、悪魔じゃないし。
一番人が悪いのは、こういう話を描く作者だと思う。
そして、橘・・・・橘はどうしていつも不幸なのだろう。
幸せになってくれって、それは橘に言いたいセリフ。
もう、ここまできたら、あとは橘が幸せになる話を
描くしかないんじゃないでしょうか。そうしたらやっと
『西洋骨董洋菓子店』は完結するんじゃないか。少女まんが的には。

小野をどんなふうに描くかというのは、とても難しいと思う。
前回の『永遠はありますか?』で、かなり読者に引かれてしまった感じがする。
自分の「魔性」を過信したとたんに、小野は「魔性」じゃなくなっちゃって
ただのずるい男になっちゃうんだろうな。
そのままの状態で、今回の本でちいの純愛(笑)に押し切られてしまった感じ。
小野は言われるほど不幸だろうか?そのへんに勘違いがないかしら?
小野以外の三人の方が、もっと不幸だ。その三人に甘やかされて
ただの人に戻るのは、まあ、かまわないけれど。
私としては、橘をあのままにしておくのは、片手落ちだと思うなー

ちいは、実は、一番大物か?という展開はおもしろかったです。



2003年08月20日(水)
『プライド』一巻by一条ゆかり

久しぶりに一条さんのコミックスを買った。
えーと、最後に買ったのは・・・『さらばジャニス』?
いや、『こいきな奴ら』だっけ。連載を定期的に読んでいたのは
『砂の城』の途中まで。その頃から24年組に傾倒して
その手の作品ばかり追っかけるようになってしまったのかも。
それから20年。夏休みで遊びに来た大学生の姪っ子が
「『プライド』はおもしろいよ。知らないの?」と言ったのだ。
今日、本屋さんに行ったら、ちょうど第一巻が発売されたところなので
立ち読みした。そしたらおもしろかったので、買ってしまった。
私が漫画を読み始めた頃、一条さんは最先端だった。
ちょっとお姉さんの世界、という感じで読んでいた。『風の中のクオレ』とか。
それから『デザイナー』や『5愛のルール』まで、とんがっている時代が好きだった。
しかし『こいきな奴ら』第一作は好きだけれど『有閑倶楽部』はどうだろう、
とマニア的に批判的な目で見るようになった。
『砂の城』は作者がエッセイで言っているとおり、主役がすごくヤな女なので
まじめに読まなかった。そのあと、雑誌を読まなくなったこともあり、
かなりブランクがあるけれど時々短編を読んで、
一条さんも丸くなったもんだ、とか思ったりしていた。

ここにきて『プライド』がこんなに面白いなんて思いもよらなかったな。
何より、絵がかわいい。長く描いていることの慣れとか癖が一時期はあったと
思うのに、なんだかシェイプアップしたような絵。
華やかでかわいいくて、少女まんが!
お話もこれまであった作品のようにシニカルぶることもなく、
言ってみれば典型的な悪女まんがなんだけれど、
素直で純粋なところもあったりして新鮮な感じがする。
文庫になったエッセイで読んだ一条さんの生家の話がだぶって見える。
どん底に落ちても、プライドを持って生きるたくましさ。
いろんなパターンが予測されるけれど、一条さんはどこに落とすだろうか。
予想を裏切っておもしろいお話を読ませてもらえたら、
こんなに嬉しいことはないな。



2003年08月10日(日)
『5愛のルール』by一条ゆかり

未完のため今まで単行本化されていなかった『5愛のルール』が
ついに文庫本になりました。集英社漫画文庫。8月8日発売。
文庫のあとがきには著者自身による、この漫画が未完である理由と
書かれなかった続編のあらすじがあります。
未完の理由は、「掲載誌(りぼん)の対象年齢にお話が合わなかったこと」だそうです。
たったそれだけのことで連載を打ち切るなんて、当時の編集部も見る目がないなあ。
連載当時、ものすごく楽しみにして読んだ記憶があるので。
でも、連載を中断して『こいきな奴ら』を描かせたくなる気持ちもわからないでもない。
その軌道修正がなかったら、一条さんはシリアス路線に行きっぱなしになっていたかもしれないし。

描かれなかった続編のあらすじは、聞いてみればなんとなくありきたり。
でも、カメラマンの立原さんの活躍をもっとみたかったかなあと思います。
広告代理店という舞台も、主人公のキャラクターもお話もあまりにも早すぎた・・・
という作品でした。

ちなみに私はこの作品の雑誌の切抜きを後生大事に保存していたので、
文庫化はうれしいような、悲しいような気持ちです。