TOP 最新の記事 戻る≪ I NDEX ≫進む


漫画関連ファイル


2002年12月31日(火)
萩尾望都『バルバラ異界』

『バルバラ異界』が再開された。掲載誌は「フラワーズ」で、『秘密』とは違う雑誌だが
同じ時期に、この内容ではどうしても関連させて語りたくなってしまう。
『秘密』は死後の脳の記憶を機械を使って犯罪捜査に限定して探るものだが、
『バルバラ異界』は人の夢を探る。 
どちらも個人的な領域をのぞき見る作業なので、担当者は周囲の人間に非難される。

今月号の『バルバラ異界』は、説明的な場面が多くて、立ち読みの私は
あとでゆっくり読もうなどと思いざっと流して読んだだけだが、
これまで萩尾さんが描かれてきたいろいろな作品を思い出させる
キャラクターや設定がてんこもりで、しかも全然違う場所に着地しそうな
感じがするので、とても楽しみだ。
そして読んでいてとても論理的なストーリーの組み立て方のように思った。
清水さんのお話が無機的なものを感じさせる話でありながら、
着地する場所はいつも情緒的な場面であるのと対照的だ。
『銀の三角』のような話になるかもしれないね。

どうして今、人の精神の中を犯罪がらみの事件で他者がのぞきみるような
作品が描かれるのか?ちょっと気をつけて読んでいこうと思っている。
前回の『秘密』の掲載時に、掲示板でSF作品などとの関連も話題になった。
そのへんを詳しく書いてくれるレビューはないかしらん。



2002年12月29日(日)
清水玲子『秘密 2003』

『秘密 トップシークレット』は一年に一度メロディに掲載されている。
今回の作品も、それなりにおもしろいのだけれど、何か言いたくなるのはいつもと同じ。
きっと最後の場面を思いついて、そこからストーリーが組み立てられているんだろうな。
だからそのプロセスに関わる人々は、結果を作り出すための駒に過ぎないわけで
読んだ後に寒々としたものが残る。でも、最後の絵はとても美しいの。
ご本人がよく言われているとおり、漫画の絵のお手本は文月今日子さんだったのだろう。
文月さんと清水さんの絵には共通点がある。
やわらかくて美しい描線。漫画的に整った絵。
だから清水さんの作品を読んで、文月さん的世界を期待してしまうのだが
読み進むうちに、全然違う冷たいものや暗いものを発見してとまどってしまう。
LALAでデビューされてごくごく初期のうちに、あ、この無機的な感じはちょっと苦手
と思ってしまって、代表作もきちんと読んでいないのだが、
『秘密』だけは、チェックしてしまうんだな。うーん・・・

同じ雑誌に、よしながさんの『愛すべき娘たち』第二作が載っていた。
まるでシェ−ンコップとヤン(よしなが版)のようだ。
しかしこの内容で少女誌でやっていけるかどうか心配。(笑)



2002年12月26日(木)
『ビギン・ザ・ビギン』

以前違う出版社から『ビギン・ザ・ビギン』と『てかてかアイランド』という書名で
出版されていた坂田靖子さんの作品が、潮出版社から文庫本4冊にまとめられて出版された。
これまでの単行本に収められていなかった、最終回までの13回分も収録されている。
未収録分を収録して完全版になったシリーズは、同じ文庫から出た
『水の森奇譚』に続いて二作目で、ファンとしては大変うれしい。
もともとの単行本はA5版で紙質もよく、とても素敵な本だったので
文庫サイズはちょっとさみしいのだが、それでもきちんと最後まで読めることと
新しい読者の目に触れるチャンスが増えることはラッキーだと思う。

そして私は、この『ビギン・ザ・ビギン』が大好きである。
どこだかわからない南の島に、イラストレーターのマウント・シーサイト君が住み着くお話。
静かな島のはずだったが、なんだかわけのわからないものが湧いて出て
どんどんにぎやかになっていく。
ゼリービーンズのような目をした神サマ。(残神のグレックの目と同じ形なのにキャラが違うよー)
ミイラ男。原住民のふたご(だっけ?)。ペンギン、ねず坊ちゃん(ねずみの王子)、ワードプロペッパ。
ランプの魔人、ストーンヘンジ(返事をする石だ!)ストーンサークル。溶岩原人に溶岩ウシ・・・・
最終回では、アンゴルモアが空から山ほど降ってきてほとんど焼けくそなノリである。
ノアの洪水の時代から、この島では神さま達がのほほんとしていたのかと思うと
なかなか楽しい世界観です。年末年始の息抜きにおすすめの4冊でした。

追記:最新刊の四巻を読んでいて、デジャヴな気がしてしょうがなかったが、
うちの下のチビがストーンヘンジにそっくりなのだ。
小さい頃からこのシリーズをくり返し読んでいたので
ダジャレのネタとタイミングがストーンヘンジそっくり・・・・



2002年12月22日(日)
『蟲師』第三巻 by 漆原友紀

『蟲師』の単行本はとてもきれいな本だ。
『テレプシコーラ』もそうだけれど、この値段でこういう本が作れるなら
他の本にもがんばってほしいと思う。
『蟲師』は独特のタッチで、自然の不思議を描いている。
蟲はいろんなところにいる。ギンコは蟲を寄せるので
ひとつところにとどまらずに、旅を続ける。
旅の先々で、様々な不思議に出会い、ある時はそれを払い、ある時は集め
またある時はどうしようもなくて、ただ見守る。
なぜギンコがギンコになったかというお話もこの巻には収録されている。
蟲はそんなにきれいじゃなくて、そんなに悪いものでもなくて、
意思はありそうで、なさそうで、捕らえどころはないけれど
どこか底の方に、明るいものがあるので、読んでいてほっとできる。
まだ読んでいない方にはおすすめの一冊。
一巻二巻が見つからなかったら、今出たばかりの第三巻から読んでも大丈夫。




2002年12月21日(土)
三原順秘蔵作品集「LOST AND FOUND」

三原順さんの未発表作品集が刊行された。
今日、宅配で届いたのだが、中身はまだ読んでいない。
連載の扉絵、予告カット、近況カット、単行本収録時に差し替えられた原稿の元原稿、
未発表作品のコンテ、単行本未収録作品、はみだしっ子の小説、などなど
盛りだくさんな内容だ。
感想は読んでから書くが、この装丁はいったいどういう趣味だろう?
見返しが銀色なのはなんか落ち着かないんだけれど。
カラーページの紙質や構成など、もう少しなんとかして欲しい気もするが
パラパラめくってみた感じでは、やはり見たことのない三原さんの原稿をみることは
感慨深く、うれしいことだ。

三原順秘蔵作品集「LOST AND FOUND」
www.fukkan.com/vote.php3?no=11944



2002年12月14日(土)
『グーグーだって猫である』2巻

欲しかった二冊をやっと買ってきた。
『グーグーだって猫である』の二巻と『百鬼夜行抄』10巻。

さて、感想を書こう・・・とネットにつなぎ、
千石銀さんの日記でグーグーの感想を読んでしまった。それ以上に語る言葉はないな。
彼岸と此岸の狭間に立って、しかも変わらず大島さんでありつづける大島さんと
同じ時間にいることを幸せに思います。私も12月を一緒にお祝いしたいと思います。

『百鬼』は別の意味でやはり狭間のお話で、
深みにはまる一歩手前でコメディにとどまってる感じ?



2002年12月13日(金)
いろいろ

『テレプシコーラ』(ダ・ヴィンチ一月号)がおもしろかった。
いろんな要素を組み込みつつ、ますます波乱の予感。
もしかして摂食障害でなんとかちゃんが出演できなくて代わりに六花ちゃんが
なんてことにならないかな?千花ちゃんはデビューか?

今市子さん『ある晴れた日に』(「コミックAQUA」2002年冬号 読み切り表紙カラー)
(オークラ出版/定価690円/A5判/季刊誌)
本屋で見つけて読んでみた。両親が離婚し、母が恋人と暮らすために出奔してしまったので
主人公の高校生が寮に入ったり、遠縁の家に居候したりする話。
遠縁のメガネの独身高校教師のキャラがおもしろい。
主人公も珍しく暴走タイプで。(いや、百鬼の女の子達が高校生になった感じ?)
これもシリーズにできそうなお話で、ほんとに引き出しがたくさんあるというか、
何を描いても安定しているのは、いろんな意味でテクニックが熟達しているせいかしら?
今月は『幻月楼奇譚2』も(「Chara」2月号12月21日発売 徳間書店/定価580円/A5判/隔月刊誌)
掲載されるので、とても楽しみだが、こういう雑誌に載っている作品は、
単行本収録がいつになるかわからないので買っておこうかどうしようか悩む。
ブックオフに必ず入るような雑誌じゃないし読みきり一本のために買うには高いし。うーん。

今さんの雑誌掲載予定を知るには、ふる〜るさんの妖の景
をいつも参考にさせていただいています。