この作品は、雑誌では読んでいなくて、コミックスが出るたびに買って読んでいた。 全7巻で、一巻目は昭和62年7月。最終巻は平成2年の12月に出ている。 古本屋で見つけた全巻セットを人に送ろうと思って出して、読み始めて最後まで読んでしまった。 (遅れてすみません、明日送ります。) お話は『ムーンライティング』の続編というか、ムーンライティングの主人公の子供時代の話。 『ムーンライティング』が月夜に変身してしまう友達を持ったDDのドタバタを描いたコメディーだとすると こちらは、お気楽に見えたDDのヘビーな生い立ちを、いかに彼が克服するか、というお話。 話は複雑で、一筋縄ではいかない。DDの空想の中の話も並行して進む。 登場人物はみな、いろいろなものを抱えている。 読みなれていない人にはなかなか入れないかもしれない。もう、こんな作品を描く人はいない。 でも読んでいくうちに、三原順の世界にどっぷりひたる幸せをしみじみ感じてしまう。 癖があって理屈っぽくて一筋縄ではいかなくて、それでもどこかまっすぐなところのある作品。 登場人物たちの確かな存在感。ペシミスティックに見えて、最後の最後は暖かい。 DDの一番言ってほしかった言葉を、言ってもらえた瞬間のコマが素晴らしい。 私は、ウィリアムが好きだな。大人のくせにDD相手に本気になってしまうところが。 他の人には完璧にバリアをはっているのに。 はみだしっ子のいろいろな場面が形を変えて現われる。少し経験をつんで洗練された形で。 三原さんは同じテーマを追っていたが、作品ごとにきちんと大人になっていった。 ほんの少し私たちの先を歩いていた。そのあとについて行くことは、大きな楽しみだった。 繰り返しになるけれど、ずっと見ることができなかったのが残念だ。
|