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漫画関連ファイル


2002年06月29日(土)
山田ユギ「最後のドアを閉めろ!」第1,2巻

このごろきれいな男の人を描くのが上手になっちゃって、この本はきれいなのと、かっこいいのと、かわいいのと三人でてくるので、とってもお買い得でした。で、小悪魔斉藤が最高!最強キャラ。一番押しの強い三男坊がじつは一番ツメが甘いというのも、とっても納得できるオチでした。もしかするとBLというジャンルは、作者の資質が一番ストレートに現れるのかもしれないと思いました。山田ユギさんの作品はどれを読んでも、明るくて、健康的で、安心して読める。その上でせつなかったりする。シリーズ外の二編もおもしろかった。


2002年06月25日(火)
『銀の花びら』

以前も書いたけれど、私が初めて読んだ漫画は『ハニーハニーのすてきな冒険』だった。
最初に出会った少女まんがが、水野作品だったことはとても幸せなことだと思う。
最近水野さんの作品が次々文庫化されて、後書きにたくさんの漫画家たちが
イラストやエッセイを寄せている。それを読むと世代が5〜10年ほど上のようだ。
その世代になると『銀の花びら』や『星のたてごと』がリアルタイムになる。

リアルタイムではないけれど、私はこれらの作品を
小学生の時に読むことができた。
金沢の町なかの小学校に通っていた3,4年の頃。
ひろみちゃんというお友達がいた。
その子の家には親戚のお姉さんからもらったという漫画の入った本棚があった。
扉つきの内側に布のカーテンがついている木の本箱。
ひろみちゃんの家に入り浸り、私は『銀の花びら』も『星のたてごと』も
『茜ちゃん』や『島っ子』や『好き好きビッキ先生』や『金メダルへのターン』や
細野みちこさんの犬がでてくるお話の漫画を読んだ。
本はそれほど多くなかったかもしれない。
それでもひろみちゃんの家に行って、その本を読んだという記憶は
数十年たった今も残っている。古い町屋の部屋のくらがりと
すりガラスごしの光の柔らかさと、通りを歩く人の気配のする
ひろみちゃんの部屋は違う世界への入り口だった。

文庫を手にして、サンコミックスの装丁と手触りと違うと感じながらも、
本を開けば何十年も前にトリップした世界がある。
もう帰ってこないものと今でもそこにあるものと。
瞬間、私の足元が揺らぐ。

読んでしまうのがもったいなくて、机の上に置いてながめている。



2002年06月17日(月)
<ビデオ>『幽霊と未亡人』

ヴィゴの出ているテープを探して、近所のレンタル店の棚を
端から端まで見ているときに、思いもかけないテープを発見した。
『幽霊と未亡人』という、1947年の映画。私は長い間この作品が見たかった。

夫を亡くしたばかりのルーシーが子供と一緒に海のそばの家に引越してきた。
その家には船長の幽霊が出る。船長は自分の家を守るために
引越してくる人間を片っ端からおどかして、追い払ってきた。
しかし、ルーシーはこの家が気に入ったので、どうしても住むという。
そうして幽霊と未亡人の奇妙な友情が始まった。

私がこの物語を知ったのは、同じ話をテレビ化したものを
小学生の頃テレビで見たからだった。
地元のローカル局では、昼下がりの時間帯に、
白黒の映画を放送したり、海外のテレビドラマを流していた。

その時は続き物だったので、映画よりいろいろなエピソードがあったように思う。
一番よく覚えているのは、ルーシーが過去のガーデンパーティーに
タイムスリップする話だった。本当は船長が幽霊なのだが、そのパーティーは
船長が生きている時のパーティーなので、ルーシーが周りから見えないという
立場の逆転がおもしろくてロマンティックだった。

このお話はずっと私の記憶の中にあって、時々何かのおりに思い出したりした。

インターネットでいろいろな映画評のサイトを回るうちに
『幽霊と未亡人』というタイトルをたまたま見かけた。
これはあのテレビドラマと関係があるに違いない!と私の勘はぴんときた。
それ以来、いつか見ることができたらいいな、と思っていた。
なんたって船長役はレックス・ハリスンだし。

今日たまたま見つけてさっそく見てみた。・・・おもしろかった。
頑固で優しい船長。しっかり者だけれどかわいい未亡人。
脚本はよく練ってあって、長い時間をかけてふたりが
深く結びついていく様子を描いている。ラストシーンが素晴らしい。
昔の映画はこうでした。けっして派手ではないけれど、感動は深い。

映画を見ながらもうひとつ思ったこと。
1930年代〜1940年代の白黒の映画は、初期の少女漫画に深い影響を
与えているのだけれど、この映画を見て思い出したのは、『ポーの一族』でした。
最初の連載の『ポーの一族』の舞台背景を思い出させます。
部屋の中から窓越しに見える海。ルーシーの着ている衣裳。羽のついた帽子。
波打ち際を歩く女の人。
テラスから窓を開けて入ってくる船長。「20世紀なのよ」という言葉。
未亡人の一人娘が大きくなってから言うセリフ。
「昔は船長とお話できたけれども、そのうちできなくなってしまった。
私が大きくなったからね。」
そして最後は、船長が最愛のルーシーと手に手をとって去っていく。

ルーシーが現実の男の人にひかれているのを見て
船長は心悩ませながらも干渉はしない。
寝顔を見てもキスひとつせずに去っていく。
抑えた描写がかえって心に響くようだった。

「幽霊と未亡人」、50年の恋の物語
www.geocities.co.jp/Hollywood-Theater/4362/k-ghostandmrsmuir.html
幽霊と未亡人
www.sam.hi-ho.ne.jp/whiteriver/e12b.html
幽霊と未亡人
www.ywad.com/movies/128.html



2002年06月04日(火)
『ヒカルの碁』第17巻

少しでも早く読みたくて、ネットの書店に注文したのに、到着は明日の予定。
もう近所の書店の店頭に並んでいるというのに、なんてことだ。
それで、本屋で立ち読みする私って・・・!

『ヒカルの碁』佐為編の最終巻。
ヒカルとアキラがついに、念願の対局を果たします。
佐為の助けを借りずに、しかし、佐為の碁を自分の中に同化して
ヒカルはアキラと初めて最初から最後まで全力でぶつかります。
その中でふたりは、相手が自分にとって、生涯のライバルであることを
確認するのでした。

つらい時を乗り越えて、大人っぽくなったヒカルと
プロとしてますます力をつけてきたアキラ。
お話が始まった頃のかわいい少年達が、ずいぶんと大きくなりました。
そして、彼らの戦いも次の段階に移って行きます。
それを見ることは、読者としてうれしくもあり、少し寂しくもある。

最近読んだ『スラムダンク』も、『バガボンド』も
技を競う内に、倒すべき相手のことを理解し、勝敗以上に、
いかに競うかということに話の中心が向かうようです。
それがまるで恋愛のような様相を呈してくるのは何故でしょう。

作者も、大多数の男の子の読者も、そういうつもりではないかもしれない。(表面的には)
でもきっと自覚せずに、そういう状況を楽しんでる人もいるだろうなあ。
「男の友情」とか何とかいったりして。

でも、女の子たちは、そういう建前は蹴飛ばして、
こんなところに、こんな美味しいものが!と喜んでしまいます。
このごろ少女まんがの中にはこんなにわくわくするような物語はあんまりないし。
恋とか愛とか関係ないという顔をしているからこそ
ますます面白いという効果もあります。

そういう腐女子的感慨も抱きつつ、佐為の笑顔に涙しました。
これでお話が終わらず、始まったばかりの第二部を読めるのはとても幸せです。