私季彩々
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2003年05月29日(木) 車中泊

  効率が悪いなと思いつつ、帰宅時間が大幅にずれ込む日が続いた。で、午前様になったのをいいことに、一番近いパーキングエリアで泊まってしまうことにした。
 車には一通りのものが積んである。車中泊なら寝袋なり布団なりがあれば十分だ。テントを引っ張り出すまでも無い。日が照りだすと一気に暑くなるのが車中泊なりテント泊なりの欠点だが、この時期はそんなことも無い。考え様によってはいい季節だ。

 1,2年前は頻繁に車中泊をした。フラフラとさ迷い、そのまま寝て、あまり寝られず白んだ空を眺めたりした。思いつきでパーキングエリアで休んでいると、いろんな車がやってきた。時間を持て余す運転手。長距離トラックのナンバーは様々。夜になると虚ろに光る電話ボックスに、目印のように若者が集まり、いつの間にやら消えていった。ゴミの籠には弁当、ジュース、雑誌が溢れ、なんとなくの虚しさが漂っていた。

 大きな国道沿いのパーキングエリアは、夜といってもそこそこの交通量がある。大きなトラックが点在し、室内は仄かに明るく、白い靴下がダッシュボードの上に見える。明かりの消えた車たちの中身も、さして変わらないだろう。久々にトランクから寝袋を引っ張り出し、後部座席で休む。足を折らなければならない狭さだが、まぁ十分である。車の風切音もすぐに気にならなくなる。だからといってすぐに寝れるわけも無く、部屋の猫の餌が切れていることなどを思いつつ、心配することがあるってのもいいものだと思ってみたりする。

 少しは寝たのかもしれないが、空が白んでくるのを眺めつつ、時計は3時を回っていた。5月も末。北海道の日はかなり早くなっている。それを見ながら、このままどこかの小山でも登ってみようかと思いつつ、ようやく本格的に寝入る。
 起床は6時半頃。すっかり明るくなって、鳥の声が爽やかだ。まだ残る車たちに親近感を覚えながら、余裕のある時間に周囲を走ってみることにした。
 この近郊はゴルフ場が多く、その周りにはのどかな風景が広がっているわけで、私の住処になるところがひょっとしたらないかと思っていたところだ。地理的には申し分ないのだが、シチュエーション的には特徴の無いところではあるのだが。探して見つかるのかも思うのだが、今後もゆっくり回ってみよう。一つ気がついたのは、どんなところでも少し奥に入ると採土場、産廃や清掃工場があること。これが難しいところだ。

 そんなこんなでフラフラ。通勤時間に入ってきて、のろのろ運転が迷惑になりだす頃、朝からやっているパン屋を発見。こんなところでひっそり何かやってる人っているんだな、と、うれしくなって出勤につく。早起きは悪くないさね。
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2003年05月28日(水) 採血失敗。

 ウサギの耳から血を採ったのが3年以上前、犬から採ったのは7年くらい前になる。先日久々に犬から採って、あっさり採れたので自信を持っていたのだが、今日採ろうと何度やっても採れなかった。うにゅ、自信喪失。ふにゅにゅ。これじゃぁいかんのよねぇ。今までは問題なかったけれどさ。ははは。がんばらねばさぁ。 Home&Photo


2003年05月23日(金) 阿久悠

 NHKの”阿久悠”特集。いやぁ、堪能。
 カラオケに馬鹿みたいに行ったのはもう10年は昔になるが、私はかなりマニアックな方で、歌う歌は古いものばかりだった。誰の歌かよりも誰が作った歌かを見るのが愉しみで、初めに出る作詞家作曲家に最も注目していた変なやつだった。
 で、驚いたのは、かなりの頻度で現れたのが「松本隆」「大瀧詠一」「筒見京平」そして「阿久悠」だった。
 今日の1時間強に及ぶ特集で流れた歌で知らないものは一曲もなし。沢田研二の「カサブランカダンディ」、森進一の「北の蛍」と挙げれば切りが無いのだが、歌い手の個性に合わせた作詞スタイルは他の追随を全く持って許さない。演歌、アイドル、アニメ主題歌まで、この幅広さは奇跡としかいいようが無い。
 作詞作曲家まで気にすることは少ないが、実際口ずさむ歌にこのような共通点が見つかると嬉しいものである。ジュリーも岩崎宏美も大好きで、「時代遅れ」や「五番街のマリー」も歌えて、「宇宙戦艦ヤマト」もOK、などという人は間違いなく同志である。
 で、ネットで調べていると、私の思い出の歌である「世迷い言」が氏の作詞であることが判明。迷番組だった「ムー一族」の中で、何故か突然いろんな大学構内とかでフォークグループと一緒に歌いだすこの曲、「ヨノナカバカナノヨ」の回文が流れる。私は昔この番組を見て、後に進学する大学のことを意識したのだ。作曲は中島みゆき、唄は日吉ミミという豪華陣であった。
 私は今の曲ももちろん好きだが、歌謡曲といわれた時代が大好きである。アイドルの曲も、森進一や都はるみも、どこか共通点があったように思えたが、それは作詞作曲家が一緒だったからかなとも思う。それほど絶大な力のあった人たちだった。
 またそういう時代がくるとも思えるが、いま、歌に世代を超えるものが少ないのは何故なのだろう。昔から昔のうたを歌いつづける私は随分取り残されてはいるのだが。 Home&Photo


2003年05月21日(水) 熱心な新入生

 表面的にはさめた人間である私は、授業というものをあまり熱心に受けてこなかったように思う。が、そんな私も授業を担当するとなると、そういう生徒相手では苦労する、というか哀しくなるわけである。寝ているのもいるし。どこまでが許容範囲かということにもなるのだが、今のところ十分許容範囲であるのがありがたい。
 しかし、1年生は非常に熱心でびっくりする。正直言って必ずしも勉強が得意ではない人々であるが、自ら選び、意欲はまだまだある連中である。これを持続するのは大変だろうが、それが責任でもある。これは簡単なことではない。

 そうはいいつつ、私の分野ではない。狭い領域ばかりをやってきたので、広く浅くの分野には抜け落ちている部分が多々ある。そんなものばかりを週13コマ担当していると、予習などしている余裕は無く、本当に自転車操業である。1年でも下地となる経験があればいいのだが、ここまで多いと少々閉口である。
 私は、この学校ではオールマイティーと言える国家資格を持っている。しかし、だからといって全てが出来るわけではなく、資格といっても取っただけのものなので何も出来ないに等しい。それを言っての上での採用なのだが、それでもいろいろ任される。出来ないことを批判される。任せるの一言しか言わない年下の先輩に憤りも多いのだが、資格というのはペーパーでは済まされないものだと認識する。実務経験が無いとはいえ、資格で採用されたこともわかっている。

 職場ではそういう意味で不安視されているようだが、仕事のメインである講義は好きである。余裕が無いのが悔やまれるが、この一年を何とか乗り切れれば下地の上に広い視野を持てる丘を築けると思う。しかし、講義よりもここで評価されるのは、他の行事や学校運営、諸雑事であることも確かなよう。担当授業数が少ない余裕のある人が仕切りに回る。そのあたりに不満を抱える教員も多いらしい。

 ま、問題は多々あるけれど、基本線は好きな路線である。がんばってみますよ。もちろん余裕は無いけれど、さ。 Home&Photo


2003年05月20日(火) おねがひ

ここを訪れてくださる少なくも素敵な方々へ。
お友達の”そよ”さんが、本を出版しようとしています。
素敵な言葉と写真がたぁくさん。
是非一度ごらんになって、惚れた方はご協力を。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/capverses/noharapr.htm

是非是非、お立ち寄りを。 Home&Photo


2003年05月19日(月) 遅い出勤日

 今日は5時からの会議にのみ出勤しなくてはならない。といいつつ、全日の休みよりも得した気分になって、遅い出勤にかえってのんびりしてしまった。天気予報は外れてお天道様が見える。昨日買った苗を4つ、プランターに移し替える。土をいじるというのは本当に楽しい。このくらいの規模だからかもしれないが、そうであっても嬉しい。

 昨日ふと入ったウェブサイトに離農地の古屋が賃貸に出されていた。なかなかこういう情報は手に入らないのだが、あるにはあった。少々圏外だが、探せばあるのかもしれない。
 今の仕事はまだまだ未知数だが、もし軌道に乗ればそこそこの収入を確保できるパートになることが実は可能だ。動物写真家とか、犬の訓練詞とか、なかなかそれだけでは食っていけない人たちがここで仕事をして生活の糧にしている。十分とはいえないし、場合によっては予告無しに仕事がなくなる場合もあるのだが、世の中にはそのような仕事のやり方がある。私は全てを中途半端に済ませてきたが、今頑張ればそういう道も開けるかもしれない。

 自分が何をしたいのか、未だにわからないが、高校時代に立ち読みを続けた本や、物思いのついた頃に見ていたテレビの路線から実は離れていない。

 学校に通う学生はそれ相応の夢を持っている。現実を知る者にとってその夢はあまりに輝かしく、同僚は「うざい」と言ってのけた。私もそういっていた口だが、きっかけは「うざい」からは何も始まらないのも確か。本心ではないはずだが、やはりそういってはならないのだと思う。現実は厳しい。そんなことは誰でも知っている。それは言葉でただ投げかけるのではなく、一抹の汗と、苦悩の表情の中に呟く言葉と、一瞬の喜びの表情で現すのだろう。私はそれが出来ているだろうか。

 今日は車のメンテナンスをした。オイル交換だけで済ませようとしたら、エンジンの状態はそうはいかないらしく、いろいろ手を入れて8000円かかった。自動車税が34500円。先月の私の食費は12000円だった。私が普通に食べるだけであれば、何万円かあれば十分暮らしていける。この10年を振り返ればそれは確かなようだ。

 私は、高校を卒業する時に後輩へのメッセージを頼まれた。数少ない現役合格者だったからだ。そこで、私は自らを「傍観者」と名乗った。受験に対してあまりにのんびりした学生に対する皮肉だった。私はその学校でそんなにがり勉をしていたわけでもなかったが、内心はかなり焦っていた。最後の捨て台詞がそれだった。そんなことを残すくらいならば、もっとがむしゃらに勉強してそれを示せばよかったのにと思う。

 人生にはかっこ悪く叩きのめされながら進む季節があるのだろう。それは早いほど良い。土の香りを嗅ぎながら、本当にそう思ったりする。 Home&Photo


2003年05月18日(日) ニリンソウ萌える木漏れ日ひっそりと観るキノコあり朽木に座して

 懲りずに今年もプランターに植えてみている。去年のような気合の空回りは全く無い。植えっぱなしのイチゴがとても元気よく伸びている。連中は2年目こそが本領発揮らしい。その他、イチゴらしい感じのやつが、何故か植えてもいないはずのプランターから生えている。しかも黄色い花をつけているので、果たして食えないヘビイチゴなのではともおもいつつ、ほったらかしである。ミツバらしきものも生えているのだが、これも去年の残りかと思いつつ。他に、実家から持ってきたネギ。
 先週あたりに植えた枝豆が、どのプランターに植えたかわからない。穿り返すと発芽していた。その上につまみ菜の種をばら撒いてしまったが・・・・。
 で、まだまだプランターは空いているので、ミニトマトの苗を3つと、紫蘇を買ってきた。今年はメロンやスイカはやめ。種も去年ので芽が出ればラッキー程度にとどめおく予定。水耕栽培のそばもやしも考えないとなぁ。風が強いので意外と難しい。
 全く何もしないでいるリンドウとヒメシャクナゲが小さく芽吹いているが、本来の勢いは全く無い。植え替えしてあげたら復活するだろうか。少しは几帳面さを出さないといけないなと思いつつ。

 愛情の足りなさでは我が愛車も例外ではない。何せ、3度ぶつけている。年に1回雑巾で拭くだけで、洗車場に行ったことは無い。オイル交換等も全くしていない。中古で10年を越えた。私のところで3年半。バッテリーをあげたこと数回、半年雪山に埋めるなど、よく愛想を尽かさないでくれていると感心。エアコンの手動調整が出来なくなったことを除けば全く問題ないのだが、そろそろオイル交換ぐらいせねばと考え中。

 で、その愛車を駆って森林公園へ。道端はニリンソウでいっぱい。注意深く見るとミドリニリンソウがいくつかあり、さらにいくつか白い花弁(本当はガク)に赤みがしっかり残るものも見られた。素敵。
 ギィギィと風に軋む木々の音を聴きながら、夕方の肌寒い風に身を縮めると、自然と目線が低くなる。倒れた倒木は苔むし、春の生命力の溢れた小さな木漏れ野に小さなきのこたちが妙に可愛らしい。夕刻の日差し差し込む小さな春の野にきのこ。彼らの活躍は秋だけではない。

 ほんの少しの探訪で帰宅。立ち寄ったお店はどこも人でいっぱい。みんな幸せそうでけっこうけっこう。 Home&Photo


2003年05月16日(金) 大きな道

  今まで敬遠して来た道は、思っているほど面倒ではなかった。大道とはそういうものなのだろう。少しひねくれた私は、いつも枝道や近道と称する所ばかりを走ってきた。

 国道36号線は札幌から千歳、苫小牧、室蘭方面を結ぶ大動脈だ。札幌市内はもちろん交通量も多く、路駐も多いので走りにくい印象があった。友人と車に乗る時も、最短距離なのはわかっていても避けたりすることが多かった。
 しかし、通勤経路をいろいろ探してみたが、この道が快適だ。朝のラッシュ時間でも、札幌に向かう路線とは逆だから、ほとんど車で詰まることはない。対向側はバス専用路線が設定されているが、こちら側はそれもない。道も広く、たまにひっかかる右折車の、大抵は右折レーンがあるので大型車以外はさほど気にならない。
 途中には、24時間セルフ食堂の「はんだや」があり、朝夕をここで済ませてしまう傾向がある。安いし入りやすいし。最近は仕事が遅いので飯作りの手間を掛けられない。少し効率を上げれば省力化は可だと思うが。

 帰りの小一時間のドライブは北海道にしては長すぎだが、そんなに気にならない。汽車通も含めて、始めてしまえばそれなりによいものである。追い抜く車、追い抜いていく車、それぞれどんな思いで走っているのかと、一瞬の空間共有でとても身近に感じてしまう。
 遅く帰宅道すがらでもたくさんの店が開いていて、多くの人が働いている。みんな一生懸命なんだなぁと。こんな時間まで働いているお母さんの苦労に少し痛みを感じながら、お風呂を頂いて家路を急ぐ。

 ふと気を抜くと用意に100キロを越える国道周囲に民家は無く、あっという間に170万都市札幌の裾野に至ってど真ん中に着く。そういう道を走ることは、北海道の縮図を走るようなものかもしれない。私はどこに落ち着きたいのか、そんなことを頭によぎらせながら、この道を何度走ることになるのだろうか。 Home&Photo


2003年05月10日(土) 寝ていたいのぉ。あったかぁく。

 ぐぅすか寝ています。部屋ではほとんど寝ていたりして。ぐぅぐぅ。なんて幸せ。とにかく寝ていれば幸せな私。起きねばならないなんて嘘みたいだが嘘じゃない。ひぃ。寝ていたいのに猫がうるさい。静かに過ごすには、この猫はまだ若すぎるのぉ。
 実はまだまだ寒い。もう少し暖かくなったらトマトの苗を買おうと思いつつ、1週間以上経ってしまいました。こんな季節はやはり暖かさに浸りたいですな。 Home&Photo


2003年05月04日(日) 花見

 花見に出かけた。釣りにも出かけた。

 肝心の桜は、エゾヤマザクラが主だったとは思うが、淡い緑のスキー場斜面で花見という素晴らしい経験。何故かそこは、私が学生時代泊まりに来た場所であった。その小山にあった神社で参拝。大漁を願うも・・・。
 結果は・・・・。釣り餌のイソメは2匹ほど使うと何故か全てなくなっていた。魚ではなく、通りすがりの人が持っていったと思われ・・・・。

 そんなわけで、帰札の後は夜桜見物。夜10時というのに若者の団体以外は閑散。もっと居るものかと思ったが、花見なんてしたことも無いので比較できない。なんせ寒いものねぇ。
 でも、夜の桜は当然よく見えないが、所々の明かりの下で見る桜色は幻想的。参道の並木桜を道に転がって眺める。歩くまばらな人々が揺らめく陽炎のよう。

 そんなわけで、貴重な二級建築士の夢追い人とお知り合いになれて嬉しい。ほほほ。 Home&Photo


2003年05月03日(土) にぎやか。

 私のお気に入りの場所がある。

 札幌から小一時間走り、海岸線を北上する道はうってつけのドライブコースだ。切り立った海岸線は見通しがよく、風が強いため木もなく荒涼とした雰囲気だが、早春の緑が丘を彩って優しげである。日が当たれば車内は暖かく、ずるいながらもいいドライブである。国道から砂利道を入ったところに、見事なログハウスのレストランがある。5月から10月の雪の無い時期のみ開けられる秘密の店・・・、のつもりだった。
 が、近くには別荘分譲地が広がり、建築中の小さなキットハウスが並び、裏のカートコースはかなり賑やかな排気音が響く。しかもけっこう人が居る。いや、それが悪いというわけではなく、想像と少々異なったというだけなのだが・・・・。

 そういうわけで、今日はGWだし、みんな郊外の穴場をしっかり探しているというわけで。店はオーナー夫婦だけでやってると思いきや、若い女の子が2人も居る繁盛ぶりだ。近くの分譲地といい、シーズン中は面白い場所になるのかもしれない。

 そういうことで、今度はもう少しひっそりとした頃に伺うことにしよう。テラスに出るには少々寒すぎた。 Home&Photo


2003年05月01日(木) ギョウジャニンニク

 5歳も年下の人と山菜採りに行ってきた。完全なおじさん趣味だが、やる人はやっているんだなと。

 ギョウジャニンニク(アイヌネギ、ヒトビロなど呼び名は多彩)は、なかなか人気のある山菜である。雪解けが始まって、真っ先に出るのがふきのとうとギョウジャニンニクだろうか。フキノトウはそこらじゅうに元気に映えてくるが、ギョウジャニンニクは今となってはかなり奥に行かないと手に入らない。大きくなるまでに8年ほどかかる気長な地下茎をもつもので、乱獲に遭うとほぼ絶滅だから、近年の山菜ブームですっかり貴重になったとのこと。ヤチブキやカタクリも同様である。

 そんなわけだから、素人がちょっと入ったくらいでわかるものではないのだが、大胆に地図で目星をつけて入ってみた。札幌から1時間強の町からさらに奥に入った鉱山の沢伝いである。期待はしていなかったのだが、着いてみるとすでに先客がいて、ビニル袋に目当てのものを膨らませている。ビンゴ♪
 すでに動きを止めているように見える鉱山の施設は遺構のように錆びつき、重い佇まいをみせている。いたるところにホースがあり、鮮烈な沢水を導いて所々に池を作っている。沢の北側には残雪がまだまだ健在で、南斜面にはヤチブキが美しい。
 しばらく沢登りをするが、ギョウジャニンニクはわからない。私は竹の子採りにはよく入ったが、ギョウジャニンニクは食べたこともろくにない。噂では北側の斜面に生えるというが、雪と土しかない。南斜面は賑やかだが、賑やか過ぎて本命がいない。が、見事なカタクリの群生が広がっている。上品な紫が斜面に散在して、日の光を浴びて俯いている。旭川の名所には観光バスが連なるというが、ここはそれに劣らないのではないかと思う。少なくとも、ここでは2人占めである。札幌近郊でヤチブキとカタクリがこれほど競演しているところはすでに刈り尽くされてないであろう。
 と、同行が北の急斜面を登っていった。土砂が露出しているばかりに見えたが、その遥か上のわずかな緑の部分がギョウジャニンニクだった。先を越されたー。
 となると、花景色で満足していた私もそうは言っていられなくなった。かなり急な北斜面の雪渓をジグザグに登り、雪と土の境目を探すこと10分、ようやく群生地にぶつかった。ふっふふふ。山菜採り最高の瞬間である。

 ギョウジャニンニクは基本的に2本1対で生える。一般的に、一本だけを採り、他方は残すのが後のためだという。急斜面のため慎重に足場を確保しながら、一袋を一気に採り終える。雪渓の下を流れる川の音が清々しい。ふとその静寂に怖くなって、クマ鈴を打ち鳴らしてみたり。

 休憩にお湯を沸かして紅茶を頂く。雪の白、深緑の淡い緑、ヤチブキの黄色、カタクリの可憐な紫、空の青。まさに絶景である。北海道に居て、この良さがわからないなんてもったいないねェと二人。私はそういえるのはようやくこの歳だが、彼はさらに若い。いいものである。

 お互い十分を知っていたので、サクッと山を降りた。デジカメに花を納めつつ、満足。温泉に入り、帰宅して、ギョウジャニンニク入り餃子を作って食す。美味。

 高い山ばかり登っていたが、低いところの方がむしろ楽しめる。そんな気がする今日この頃。体力の衰えを感じつつ、人の関心も応じて変わるものなんだとしみじみ。よく出来ているものだ。

 で、戻るとデジカメ不調、というか修復不能。全て○とは行かないようで。ふにぃ。 Home&Photo


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