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2007年10月31日(水)
10月27日に放送された「たけしの日本教育白書」 5時間の生放送だったが、当然、全部なんて観る気にならず 最後の方だけ少し観たが「森永ヒ素ミルク事件」の映像はとても興味深かった。 そこで「恒久的救済」という言葉を初めて聞いた。 これは森永乳業が「森永ヒ素ミルク事件」の被害者に対して行っていることだ。 当然といえば当然ではあるが、企業がミスを認めたこと自体が異例であり そして金銭的負担を行うことも異例なのだ。
この事件が発生したのは1955年8月。 森永乳業徳島工場製品MF印粉乳を飲まされた人工栄養児1万2131名が被害に遭い、 133名の乳児の尊い命が失われた。 当初、森永乳業は事実を認めなかった。 1963年の刑事裁判では一審判決で森永乳業側無罪まで出た。 しかし1973年11月に差し戻し裁判で森永乳業は全面的に責任を認める。 1969年に発足した「森永ヒ素ミルク中毒の被害者を守る会」と 「厚生省」「森永乳業」の3者間により、 1974年4月に恒久救済の道を求めて「財団法人ひかり協会」が発足した。
番組では、ミルクを与えた母親が自分がミルクを 子供に与えてしまったことを悔やみ、自分の母乳が出なかったことを悔やみ、 母親が二重の苦しみを感じたまま生き続けた苦しみが痛いほど伝わってきた。 そして50年以上経った現在でも多くの被害者が苦しんでいる。 ミルクを与えた親が亡くなり、障害の残った子供が 残され生活していかなくてはならない状況がある。
そんな番組を観ていて思った。 結局、国も企業も何も変わっていないということだ。 森永乳業のこの大失態を50年以上前に見ておきながら、 「薬害エイズ問題」「C型肝炎問題」「雪印集団食中毒事件」 「不二家」「ミートホープ」「白い恋人」「赤福」等々…。 国に於いても企業に於いても、このような失態は枚挙にいとまがない。
「人の身体に入れるもの」 それを作るだけの責任を感じていない企業。 本来、国民を守るべき厚生労働省(厚生省)が、 そのような無責任企業を助長する。 日本とは、そんな国かと思うと悲しすぎる。 もし、無責任企業や厚生労働省の担当者の家族が被害者であったら、 奴らはどうするのか?
いつ、自分や自分の家族が被害者になるかも分からない。 こればかりは自分達がいくら気をつけていても、 いつの間にか被害者なってしまう危険がある。 日本は、いつからこんな住みにくい国になってしまったのだろう…。
ちなみに森永乳業は被害者家族に今でも補償をしている。 「恒久的救済」を決めたのだから当然であるが、 年間17億円、今まで約400億円を被害者救済に使っている。 絶対に起こしてはいけない事故だが、 もし起こしてしまった場合、企業として社会倫理として 誠意を持って、きちんと被害者を救済する措置をとる必要がある。 特に「薬害エイズ問題」「C型肝炎問題」などで苦しむ人に対して 企業も国も責任逃れに終始せず、素直に非を認め、 50年以上も前に恒久的救済を決断した森永乳業を見習ってほしい。
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