なべて世はこともなし
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2006年12月21日(木) 業務連絡

本日よりクリスマスホリデーです。次回更新は来年二日の予定です。それでは皆様よいお年を。さよーならー


2006年12月16日(土) 週末スペシャル:日本円を手に入れるためのむなしい努力

週末スペシャルも何も、週末しか更新してないじゃないか…と突っ込まれそうですが、なんだか今週も忙しいままあたふたしただけで終わってしまいました。まあ、とりあえず週末スペシャル、また、アホタレBank of Irelandネタですがお楽しみくださいませ。


聞けばユーロが日本円に対しユーロ誕生以来最高の水準になっているらしい。来月、日本に行く私はならば今のうちにちょっと日本円を手に入れておこうと思ったわけ。それ自体は全く間違っていなかったと思うのだが、やり方が根本的に間違ってました


1週間ほど前、クリスマス前の混みあった、そして殺気立った街に行くのがおっくうな私、会社の近所のBank of Irelandで両替をしようと画策。思い立ったが吉日と、さっそく某支店に電話。


相手:「日本円を10万円分ですね。わかりました。来週の木曜日までにご用意できます」


街中の本支店や空港支店ならともかく、フツーのローカルなBank of Irelandの支店にいきなり行っても日本円の現金などありません。かくして、1週間ほど前に予約をする必要があるわけ。で、木曜日がお約束の1週間後だったのです。


気がつくとずぶ濡れになっているいやーなタイプの霧雨の中、向かったは会社の近所にあるBank of Irelandの某支店。村(=商業エリア)の中心にあるため路上駐車はチケット制。街に比べたら格安の60セント=60分(街中は1時間2.5ユーロなので1/4以下)。セコい私は最低金額の20セントだけ払ってBank of Irelandへ。


両替のカウンターに行く。厚いガラスの向こうの相手は20台半ばのお兄さん。


私:「日本円の両替を電話で1週間くらい前にお願いしたんだけど、用意できてるかな」
お兄さん:「あー、はいはい、電話でお話しましたね。大丈夫ですよ。ちゃんと金庫に保管しております。今、金庫からお持ちします



…ああ、電話で話したのあんただったのね。そりゃ話が早いや。


で、お兄さんはカウンターの奥のドアーの向こうに消える。きっとその先にあるのは大金の入った金庫(推定)。そんな金庫から私のお金を持ってきてくれるというのは、激しく勘違いしてるけどちょっとVIP気分


数分後、戻ってきたお兄さんは


お兄さん:「申し訳ない。金庫の防犯装置が働いていて今金庫が空かないのです。20分後にまたお運びいただけますか?」


良くは知らないのだけれど、アイルランドに銀行などにはタイマーをセットしないと開かない金庫があるらしい。要は、銀行強盗などが来たとき、「ごめん、20分しないと開かない」ということになれば、強盗も諦めるのではないか…という発想。防犯のためとはいえ、私のような(自称)まともな客が迷惑をこうむると言うのはにわかには納得しがたいが何せここはアイルランド。何が起こっても驚いてはいけない


かくして、霧雨の中を近所の店に時間つぶしに出かける。この地区、ダブリン市内でもあまりよくないエリアと言われている。個人的には別に嫌な思いをしたことがないし、相手の言ってることがいまいちわからないことを除けばまあ、悪くないところだと思ってる。すごく好意的に言えば、「古きよきアイルランド」が残っている気がする。


入ったのは近所の1ユーロショップ…なのだが、1ユーロの商品などほとんどなく、2ユーロとか3ユーロとか、3つで2ユーロなどと書かれた商品ばかり。普段は見向きもしないのだが、今日は単に時間つぶしのために入る。


すると、消費期限が切れかかったリステリン(マウスウォッシュ)を投売りしていたのでそれを買うことに。で、レジに並んでいると、まあ、レジが進まない進まない。レジのおばちゃんがお客みんなと雑談しているのだ。で、私の後ろには商品を山と抱えたおばあちゃんが。そのおばあちゃんが抱えきれなくなったキッチンタオルを落としてしまう。私が拾ってあげると


おばあちゃん:「このお店安くていいわよねえ。このぶっといキッチンペーパーも安いのよ」
私:「あら、いくらなんですか」
おばあちゃん:「こんなにぶっといのにたったの2ユーロ」
私:「あら、そうなんですか。そりゃ安いですねえ」
おばあちゃん:「あなたもお買いなさいよ。ほら入り口のところにあるでしょ」



こんな感じで気さくに話しかけてくるのです。そういえば私がアイルランドに来た頃はこういう光景が日常茶飯事だったような気がする。われわれガイジンが増えすぎたからなのか、それともバブルに踊らされているせいなのか、こういう光景を見ることが少なくなったのは残念と言ってもいいと思う。


で、車に戻り、パーキングチケットを20セント分買い足して(これ、厳密には違法)きっかし20分後にBank of Irelandに戻る。


お兄さん:「今、金庫を開けてくるね」


数分後、お兄さんは照れたような笑いを浮かべながら…


お兄さん:「ごめん!金庫のタイマーをセットするの忘れてた。悪いけど20分後にまた来て」
私:「ええっ!そんじゃあ明日にしようかな」
お兄さん:「だったら金庫の外にお金を出しとくから」



…ってそれじゃあ金庫の意味がない…とか本質をついたことを言ってはいけないんですよね。アイルランドでは。ともあれ、一瞬翌日(つまり金曜日)に出直そうかと思ったものの、営業時間内に店にやってくるためには仕事を抜け出さねばならず、訳あって金曜日は忙しい私、無理と判断。


私:「いや、気が変わった。あと20分待つから、ちゃんと金庫のタイマーをセットしておいてね」
お兄さん:「もちろん大丈夫」



そして、今度はレンタルビデオ屋で時間をつぶした私は、再び20セント分パーキングチケットを買い足して三度Bank of Irelandへ。カウンターにお兄さんの姿はなかったが、すでに顔を覚えられた私は別の係から


係:「今、マークを呼んでくるわね」


ふーん、彼の名前はマークと言うんだ。覚えとこ。


マークは奥からやってきた。札束を持って。ん?私は10万円をお願いしただけなのになんで札束を持ってやってくるんだ?


その理由はマークがカウンターに座った瞬間にわかった。なんと、10万円分を全部1000円札で用意しやがった!このアホタレBank of Irelandは。いやー、1000円でも札は札。帯封のされた札束を見て私はちょっと大金持ちになった錯覚を起こす。ふと、我に返って考えたのだが、もしもし、それをどうやって日本に持っていけと言うんですか?間違っても財布には入らないぞ。


マークはうれしそうな顔をして…


マーク:「お待たせしました。少なくとも当行のセキュリティの万全さは感じていただけたかと思います」


…そういう次元の話じゃないような。


で、マークが帯封を解いたときに気がついた。このアホタレBank of Irelandは夏目漱石さんと野口五郎さん(←お約束のボケ)をごちゃ混ぜにしてる。ちょっと待て。今頃日本で旧札の漱石さんを使おうとしたら、不審な目で見られるぞ。ましてやたとえば3万円の買い物をしたときに、全部旧札の漱石さんで支払おうとしたら、なんとなく通報までされかねない気がする。そこで私は…


私:「マーク、どうやら困ったことになったみたい(英語では”Mark, I think we are in trouble”)」
マーク:「へ?」
私:「そのお札、日本じゃあもう法定通貨(legal tender)じゃないと思うんだよね」



マークは大声で


マーク:「え゛?……あ、少々お待ちを。今、本店に電話してみます」


マークは私から見える位置で電話を始める。数分後


マーク:「ええと、この古いほうのお札は1992年から使い始めたもので(ウソ。正しくは1984年)、そして新しいものは2004年から使い始めたそうです」
私:「いや、私は日本人なんだから、そんなことレクチャーしてくれなくたって知ってるってば。問題はね、2004年に新札が出てきて、2年で完全に旧札と入れ替わったのよ。今、旧札を日本で使おうとしても、多分無理」
マーク:「銀行にお持ちいただければいいかと



…あーのーなー、いちいち日本の銀行に持っていかなきゃいけないなら、こっちのユーロを持っていってそれを換金したほうが早いわい。


マーク:「もし問題があったらあとでユーロに私が責任もって再換金します」
私:「いや、いいや。この話はなかったことに」



というわけで、結論。


アホタレBank of Irelandのローカル支店では日本円を手に入れることは不可能。


この件で何が一番嫌かって、この情けない騒動を「わーい日記のネタができた」と喜んでいる自分自身だと思います。ああ、自己嫌悪。


2006年12月08日(金) 急がばまわれ…師走にコケたバカな男の話

12月に入り、例年のことですが、毎日忙しいです。で、ただでさえ忙しいところに実家のホームページの開設という訳のわからん追加の仕事まで入り、忙しさに拍車をかけてます。


かくして、会社内でもかなり忙しい私。自分はまだ若いんだということを確認するためたいがい会社内の階段は2段飛ばしで駆け上がってます。今日もそうでした。忙しい中コピーをとらなきゃいけない書類があり、運悪く(というかしょっちゅうなんだけど)私の階のコピーは故障中。かくして、小走りで玄関ホールにある階段めがけて向かう。


よくあるように、うちの会社の床は二重床。つまり、コンクリートの打ちっぱなしの床上20-30センチのところにパネルを置いて、その隙間にコンピュータや電源のケーブルを走らせている。で、そのパネルの上には30センチ四方くらいの安っぽいカーペットが敷いてある。


で、玄関ホールはというと、こちらは人工大理石。よー滑るんだわ。こりが。特にその大理石を水ぶきされた日には。大体数日前にもコケこそしなかったけど滑ったばっかだし。元来トリ頭で、そこに忙しいときた私はそんな危険な大理石の床のことなどすっかり忘れて階段を2段飛ばしで駆け上がろうとした瞬間…もうお分かりですね。


思いっきりこけました。


幸い頭からではなく、腕から落ちたので打ったのは左腕のみ。ただし、階段の一段目にしたたか打ちつけました。いてー、と思いつつも忙しいのでその場にうずくまっているわけにもいかず、そのまま階段を上り、コピー機の前に立つ。


コピーをセットして腕を見ると…あら、怪我してるよ。


肘よりやや下の部分から血がたれて、肘から手の甲まで打ちつけた部分が真っ赤になってる。たれてる血の量は大したことないけど、このままだとちょっとまずいなあ。


かくして受付嬢(おばちゃん)のところに行く。


私:「どっかに救急箱ある?」


受付嬢、私の腕を見て驚いた様子で


受付嬢:「どうしたの?それ?」
私:「いや、玄関ホールの大理石が水ぶきされててもんどりうってこけた」
受付嬢:「ちょっと待ってて」



数分後に救急箱を持って現れたのは私の同僚。そういえば、彼女、ダブリンの野戦病院とも言われる(って今私が勝手に命名したんだけど)St James病院で看護婦さんをやってた人だったな。何でそんな経歴の人が会社にいるかはよくわからんが、目下の事態では優秀な助っ人であることは間違いない。


で、彼女が救急箱を開けて一言。


同僚:「何にも入ってないじゃない!」


…いや、私が見る限り、緑色の救急箱には包帯だのが詰まってる。だけど、元プロの彼女いわく、ステロイドなどの必要なものが全く入ってない。消炎剤もない。果てにはハサミまで入ってないじゃあないか!と怒り出す。受付嬢があわてて持ってきた別の救急箱には、中サイズまでの絆創膏が入っているだけ。


彼女は私の腕を水平にさせたままで救急箱をひっくり返す所要数分。ようやく見つけた手袋をつけて(この辺がプロなのかも)私が肘を曲げられるか、指を動かせるかを確認。ちゃんと動く。だけど、肘があまり曲がらない(今はちゃんと曲がります。骨折などはしてません)。


彼女:「腕はどんな感じ?」
私:「ずっと上げてたからしびれた…」



そこに偶然通りかかったのが副社長。


副社長:「おいおい、Snigel君、どうしたんだ?」
私:「滑ってこけました」
副社長:「そうか。ところで例の東京のクライアントなんだが…」



…少しは腕の心配してくれよ。まったく。


私が知りたくもない東京の話を副社長に聞かされているころ、反対側にいた同僚のもと看護婦は救急箱の中から「これしかないわ」と言いながら、包帯を取り出す。これがまた難儀な包帯でして、ガーゼがついていてとてつもなく巨大なのだ。めったに副社長と話をする機会などないヒラ奴隷の私は、副社長のお話を全身全霊を持って拝聴しなければいけなくなり、腕のことは気になりつつも副社長の話を聞く。


で、副社長の演説が終わった頃に腕を見て唖然。包帯でぐるぐる巻きにされて、見た感じ大怪我をしたとしか思えない。元看護婦の同僚は


同僚:「これ、私が今までやった包帯の中で一番ひどい出来だわ。ほら、包帯はこんな大きいのしかないし、包帯止めもないから絆創膏で止めといたわ」


…たしかに絆創膏で止めてある。すぐ取れそうな気配。


ここで終わりと思いきや、さらに騒動は続く。左腕を包帯でぐるぐる巻きにした私が戻ると、同僚が矢継ぎ早に質問。で、同僚がわさわさと私の机の周りにやってくる。


「あ、私もこけた。あれ、相当危ないわよ」
「私もトイレから出ていたときに滑ったわ」
「あれ、ほとんどアイススケート場と変わらないわよね」
「あ、アイススケートといえば、最近Liffey Vallyにできたらしい」
「え?私行きたーい」
「え?じゃあ来週あたり行くべか」



お前ら、人の周りでうるさい!散れ!散れ!


問題なのは、どうやらこけたのは私一人じゃないということ。かくして、管理会社を通じて「昼間の玄関ホールの水ぶきは禁止」というお達しが下されそうな気配です。


ちなみに、包帯は案の定夕方になって取れてしまいまして、見てみると…


確かに全面あざになって一部すりむいてるけど大したことないじゃん。


下手に救急箱を借りに行ったことを後悔しました。ま、私がこけたおかげで水ぶきがなくなって、誰かが頭をしたたか打たずに済んだというのならそれはそれでよかったの…かな。


ちなみに、こんなくだらない騒動のおかげで仕事は結局終わらず、まさに「急がばまわれ」を身をもって体験しました。皆様、暮れで忙しいと思いますが、どうぞ慌てず焦らず無事故でお願いします(と、いい子ぶった発言で締めてみる)。


2006年12月05日(火) Eircomもバカなら、ガス屋もバカだ…というお話

土曜日の早朝。ノックの音がした。


無視すべきかどうか一瞬悩んだが、もしかすると前の大家が郵便物を持ってきてくれたのかとも思い、ドアを開ける。そこにいたのは郵便配達のおじさん。なぜに土曜日に郵便配達?


郵便局員:「小包でーす」


かくして届いたもの。





Eircomブロードバンドのモデム。


11月13日の日記をご記憶でしょうか(お読みでない方はぜひお読みください)。人がいらないとはっきり断ったモデムを3週間後に送ってくるこのバカ会社。ほんで、今日、おりしも請求書が届いたのですが、インターネットの課金は11月17日から繋がっていたにもかかわらず27日から。私の場合10日ほど得をした計算になるのだが、新規で申し込んだとすると、3週間以上待たされて、しかも1週間ほど無駄に課金されている計算になる。


一体全体この会社にはbottom lineちゅーもんがあるんですかね?もう何をされても驚きませんが。


引っ越して2ヶ月。各種公共料金の請求は2ヶ月に一度が多いため、ただいまちょっとした請求書ブームとなっております。10月より、突如33%(!)の値上げを断行して消費者からブーイングを受けているガス屋からも請求書が来ました。これは日記には書いていなかったのですが、以下は、引っ越したときのガス屋と私の会話。


私:「…が新しい住所です。で、新しい家はガスヒーティングを使っているので通常のプランに戻したいのですが」
ガス屋:「わかりました。大丈夫ですよ」



何度でも書きます。


このホームページの主題:アイルランド人の言う大丈夫ほど大丈夫ではないものはない。


ちょっと解説。11月18日の日記に詳述した私たちの前の家。ちょっと脱線を許してもらうとあの大幅に手を加えることが必須と思われる家、ただいま売りに出ております。お値段


580,000ユーロ(8700万円)


Snigelお得意の誤植じゃありません。本気です。あの家がほとんど億に近い値段で売りに出てるんですよ!一体全体この国はどーなってんですか?確かアイルランド人の平均的な所得が30000ユーロ(450万円)とか聞いたことがありますが、だとすると、あの庶民的な家が年収の20年分という計算になります。…ちょっとダブリンのバブルもここまでくるとほとんど言葉を失いますね。


…何の話でしたっけ。そうそう、前の家。あの家暖房はオイルだったので、ガスは調理専用だったのです。つまり、ガスの使用はほとんどない。そんなわけで、前の家では基本料金安めで従量料金の高いReduced Tariffというのを選択していたのです。


反面、今回引っ越した家は、暖房にガスを使っているので、ガスの使用は当然増えます。かくして、Normal Tariffに変えてと言ったわけ。


もうお分かりですね。そう、今回来た請求書はしっかりReduced Tariffで計算されて30ユーロばかり余計に課金されていましたとさ。


怒った私はガス屋のカスタマーサービスに電話。


私:「請求書をNormal Tariffで再計算して新しいのを送って」
ガス屋:「無理です」


で、抗議メールを送ったら、2週間後に「Normal Tariffで計算したので30ユーロ返金します」というメールが来た。また係りがいい加減なことをいったと怒るべきか、やってくれただけましと思うべきか。後者の人でないとこの言いk減王国では生きていけないと思います。


ああ、いい加減王国。このネタ、来週あたりに続く。


2006年12月02日(土) ミニ更新:タイヤの劣化なら負けてません

大阪で、クレーン車のタイヤが破裂して子供が怪我をするという痛ましい事故があったようですが、ちょっとこちら、百聞は一見にしかず。この写真をご覧ください。





山など全く残っていない、正真正銘の丸坊主のタイヤ…ですが、これ、実は、街中で待機中のバスエーランの後部タイヤの写真だったりします。


これでお客の命を載せて走ってんのかい!


この会社、去年だかに磨り減ったタイヤで横転事故を起こして高校生4人(だったよね)の命を奪ってますが、そんなことはすっかり忘れてしまっているようです。


バスエーランにご乗車の際は、タイヤのチェックもお忘れなく(…って、したところでどうなるわけじゃあないけれどね)。


2006年12月01日(金) 車関係どんぶり勘定二話

まもなく、NCTを受けなければいけません。NCT(National Car Testing)…はえー話が車検です。ちょっとにわかには信じられないのですが、この国に車検制度が導入されたのは今世紀になってからのこと。2002年より新車から4年以上経った車は2年ごとに車検を受けなければならなくなりました。…そんじゃあそれ以前は車検はなかったのかというと…どうもそうらしいです(間違っていたら掲示板で突っ込んでください)。


私のアイルランドでの2代目の車、Rav4も輸入から2年経って、2度目の車検のときがやってきたしだい。で、そのお知らせが郵送されてきまして、インターネット上で車検の予約をしました。


アイルランドでの車検は、日本のものとちょっと違います。アイルランドじゅう43箇所にある民間に委託されている車検場に車を持参します。すると、検査員が一通りの検査をして(検査内容自体は日本のそれとほぼ同じ)合格か不合格かとなるわけです。日本のように、修理工場に持っていくとそこで整備がてらやってくれる…というわけではありません。


かくして、車を整備するかどうかというのはまさにオーナーしだいということになります。ということは、この国で中古車を買おうなんてとき、安さに眼がくらむと整備もまともに受けてないとんでもないハズレくじをつかまされる可能性…ってのがあるってことになりますが(実際にそういう話を聞いたこともあります)。


ともあれ、私としてはあと2年はあの車に安心して乗っていたいと思っていますので、修理工場に定期点検をお願いしに行きました。この修理工場、前代のカローラの頃から、オイル交換・バッテリー交換などでお世話になってまして、顔見知り。「何か問題があったらケータイに連絡します」という約束で、朝の出勤時に車を置いていった。


そして、連絡のないまま夕方。「便りのないのはよい知らせ」と信じて行ってみると…


私:「どーも。社長、私の車、どうだった?」
社長:「快調快調。問題なし。あ、オイルがちょっと少なめだから足しといたから」
私:「それだけ?」
社長:「あとは問題なし」
私:「そりゃよかった。で、おいくら?」
社長:「60ユーロ」



…その一瞬の沈黙は何よ。ちょいと。もっとも、初めに「点検の基本整備料金は50ユーロ」といわれていたからそれにオイルが10ユーロで60ユーロというのは実に納得できる。でも、どんぶり勘定であることは否定できないと思う。で、会話は続く。


私:「はい。60ユーロ。レシートもらえる?」
社長:「レシートぉ?」
私:「うん。レシート」



…オレ、なんか悪いこと言ったっけか?社長、ちょっと驚いた顔してるよ。レシートあったら、整備した証拠にもなるなあと思っただけなのだが。


社長:「レシート、出してもいいけど、そしたら税務署に報告しなきゃいけないから、値段が上がるよ」
私:「……じゃあいらない」



私のようなリーマンは、しっかりと課税されて、自営業者などは納税を逃れているという構図はどうやら日本でもアイルランドでも変わらないようです。それにしても、ここまではっきりと脱税してる旨言ってしまっていいのかよ?確かに、この修理工場、ほかに比べても安いらしいけどねえ。


この修理工場をあとにしまして、大渋滞のダブリン市内を抜けて自宅へ向かう。今日は大渋滞を予知していつもと違うとんでもない迂回ルートを取ってみた。すると大当たりで昨日は1時間近くかかった帰り道が、45分程度に短縮された。で、自宅近くのタイヤ屋がまだ開いていることを発見。


11月20日の日記に書いたとおり、私の車、今年3回目のパンクをしまして、そのタイヤをいまだに修理せずにスペアタイヤのところに取り付けたままになっていた。スペアタイヤが使えない状態でパンクするとレッカーだなんだで話が面倒だし、しかもNCTで引っかかる。ちょうどいいやということで、タイヤ屋へ。


Rav4のスペアタイヤ、よくジープで見かけるように、車の後部のドアーに取り付けられています。つまり、トランクから取り出したりしなくてもいい反面、取り外しにはねじ回しなどがいります。で、暗い路地裏のタイヤ屋についたのは午後5時過ぎ。街灯までの距離が結構あるせい、そして、いやーな霧雨が降っていることも手伝ってあたりは真っ暗。


で、タイヤ屋の兄ちゃんに、キーホルダーに取り付けてあるペンライトで釘の位置を指し示すと


兄ちゃん:「タイヤ、外さないで、このまま修理しちゃおう」


…横着ものめ。いいよ。私は雨が降っているし、車の中で待たせてもらうよ。


数分後。


兄ちゃん:「さっきのペンライト、貸して」


車から降りていくと、あれ、釘が見当たらない。さっきは一発で見つけた釘がなぜか見当たらないのだ。


私:「あれ、さっきはすぐに見つかったのに変だなあ」
兄ちゃん:「釘、抜いたら穴の位置がわからなくなった



バカですか。あんた。この抜け具合はどっか私に繋がるところすら感じる。私がこの兄ちゃんだったら、多分同じことをすると思う。無計画にことを進めて、運だけで乗り切ろうとして、乗り切れなかったらそれはそれで考えるという…。人のふり見てわがふり直せとはこのことでい。


結局、急がば回れの諺どおり、結局タイヤをホイールから外すことになり、タイヤを車から外し、そして、機械を使ってホイールからも外す。中からパンクを貼って、再びホイールにタイヤを取り付け終了。その所要10分。


そして、タイヤを再び車の後ろに取り付けようとして私にペンライトを貸せと言ってくる。その時、私は聞き逃さなかった。


ぷしゅー。


私:「空気、抜けてない?」
兄ちゃん:「…抜け…て…る…ね」



はい、やり直しー。ちゅうか、プロなら、ど素人に指摘される前に気がつけよ!


再びタイヤをホイールから外し、同じことを繰り返す。今度はうまくいったらしく空気は抜けてない。で、タイヤを取り付け、終了。


私:「ありがとう。いくら?」
兄ちゃん:「10ユーロ」



また、その一瞬の沈黙はなんなんだよ!


もっともこの10ユーロも決して不当ではなく、前回ここでパンク修理をしてもらったときには最初のタイヤを取り外さない横着な方法で修理ができまして、8ユーロなり。今回、いかにジゴーシトクとはいえ30分以上かかって手間ひまかけて修理してくれて10ユーロは安いと思う。でも、どんぶり勘定であるということには変わりがないわけで。そういえば、この10ユーロも税務署に報告されない10ユーロなんだろうなあ。


明日の日記も、「どんぶり勘定」つながりで、続く。




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