なべて世はこともなし
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2002年11月30日(土) 価格ウオッチャー。安いのはどっち?

まずは掲示板の投稿から。


ちょうど昨日出張でライアンエア使いました。
マンチェスターからダブリンまで。で、気になるチケット代ですが、緊急の出張で前日予約したため、なんと@GBP140!!!
それも3人で移動したから、420+αで合計ライアンエアに450ポンドも落としてしまいました。。。。

売り切れ寸前でこの価格になっていたのかと思ってたけど実際の機内は前5列ぐらいを空席としてました。
ということはあまってたチケットに3人で9万円近くも払ったことになるの?????

いくら会社の金っていっても。。まあ今回のチケット取ったのはうちの社長の一存だから、ボクは気にせんでもいい事か。
今期の利益にさらに供与してしまったのは間違いないようです。



投稿ありがとうございます。


はい。暇なSnigelは調べてみました。月曜日の朝からのマンチェスターへの急な出張。月曜日の朝出て火曜日の夜ダブリンに戻ってくる。さあいくらになるか。


ダブリン=マンチェスター間を頻繁に飛んでいるのはエアリンガスとライアンエアー。私が10月の始めの週末飛んだ時はRyanairで往復36ユーロ。うーん、さすがはRyanair安いです。


とりあえずエアリンガスの値段を見てみましょう。


月曜日の朝7時ダブリン発で火曜日の夜9時にダブリンに到着の便。


往復170ユーロ。


…さすが直前ということもあってなかなかな値段です。


とってもマニアックですがこの区間、なぜかLuxairも飛んでます。ここのサイトは火曜日発、水曜日着でしか運賃は出てきませんでしたが、


往復 150ユーロ。


エアリンガスより安いけど条件が違うし、しかも日中の便なのでまあ参考程度。


で、われらが期待の星、Ryanairはといえば。そう、Ryanairは自他ともに認めるヨーロッパ最大のThe Lowfare Airlines。自由席にサービスはなし。その代わりに安い。そう、Ryanairは安い!


偶然にも行きも帰りもエアリンガスとほぼ同じ時間帯のヒコーキがありその運賃は…


往復255ユーロ


なめとんのか。こら

エアリンガスより80ユーロも高いというのはあんまりです。The Lowfair Airlineを看板に掲げている会社としては。


まあ、これは結構知られている事実。Ryanairはむしれるお客からは徹底的にむしるんですよね。「明日飛ばなきゃ」とかいう人は例え高くても買わざるを得ない人に他ならないわけでして。上の投稿がそのいい例ですよね。お暇な方は翌日出発という条件でエアリンガスとRyanairの運賃を比べてみると、実はエアリンガスの方が安いことが多いことに気がつかれると思います。これがRyanairの増収増益の秘密...ってことなんでしょうね。


Ryanairとかけてコジマ電気と解く


そのココロは


安いという印象づけがうまい。


…ちゅうことなんでしょうなあ。結局。コジマ電気の関係者の方。軽いジョークですので流してください。


そうそう、エアリンガスの話が出たついでに、こういうメールが来たことも紹介しましょう。11/28の日記に対するツッコミです。あの、エアリンガスのヒコーキがパリに立ち寄ってお客を拾ってきたという話。


ちょっとそのまま紹介するのは問題があるので…要約すると…


(1)エアリンガスはこういうことをよくやる
(2)でもスッチーさんは席を動かさない。整備係の仕事
(3)セキリュティの問題があるので乗客数は掌握していたはずだ



メールをくださった方ありがとうございます。お返事は1週間以内に致します。


結論から言うと、この方のおっしゃる通りです。私もこの件に関しては信憑性に自信がなかったので「話半分に聞いてくださいね」とは書いておきましたが。…やはりそうですよね。乗客の数くらい把握してますよね。一本取られました。ご指摘ありがとうございます。


この方エアリンガスのファンらしく「あまり悪口を書くな」とのこと。はい。私もエアリンガスに対して悪い印象は決して持っていませんので悪口を書くつもりはありませんのでご安心ください。27日の日記も決して悪口じゃなかったつもりなのですが…。


たまに読者さんからメールで「Snigelさんて口が悪い」と言われます。…自分では結構控えめに書いているつもりなのですがねえ。


さて、実は明日の日記もほぼ完成しています。書いてはいませんが頭の中で構想が出来上がっています。喫煙者の方。必見です。では。
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2002年11月29日(金) 拝啓:アイルランドで歩行者をされている皆様

アイルランドは冬。日が昇るのが遅くなり、ついでに日が暮れるのが早くなってきました。つまり、私が出勤する頃はまだ暗く、私が退社する時はもう暗い。しかも雨が多い。さらに走るのは町中…と車の運転に関して思いつく限りの悪条件が揃っています。


ちょっと今日は、とりわけ語学留学などでアイルランド、ダブリンに来て間もない方、さらにこれから来ようという方にお願いがあります。


イギリスもそうですがアイルランドの歩行者は(歩行者だけじゃないような気もするが…)信号を守りません。みんな赤信号で渡ってます。まあ、これ、信号に根本的な欠陥があるからに他ならないですが。


マニアックですが、日本の信号の多くは「歩車一体型」で、アイルランドのすべての信号は「歩車分離型」です。なんのこっちゃって?今説明します。


たとえば。日本のどこにでもあるような普通の信号機つきの四つ角。歩行者用の信号が青になると同時に自動車用の信号も青になります。つまり歩行者は車に注意しながら横断することになります。当然青信号で渡っていたのに左折して来たトラックにはねられた…という事故も後を絶たないわけです。


それにひきかえイギリス、アイルランドの信号のすべては「歩車分離型」の信号です。つまり、歩行者用の信号が青の場合、車が信号無視でもしてこない限り横断中にはねられる心配はありません。ほら、日本でも駅前とか人通りが多いところは歩行者用の信号が青の時は車の信号は赤という信号があるでしょ。あれです。あれ。公安協会だかなんだかも安全性の高いこのテの信号を増やそうとしているそうです。


…じゃあアイルランドの方が進んでいるのね…と考えるあなたはとっても甘いS&Bカレーの王子様より甘い。この「歩車分離型」の信号の欠陥に気がついていない。


問題点、何か分かります?まあちょっと考えれば分かると思うのですが、信号のサイクルが歩行者用の信号が青になる分長くなります。例えば普通の四つ角。日本の「歩車一体型」では本線用の信号が青→支線用の信号が青→(本線用の信号が青に戻る)で1サイクルになるのに対し、アイルランドの「歩車分離型」では本線用の信号が青→支線用の信号が青→歩行者用の信号が青→(本線用の信号が青)となるわけです。ね、サイクルが長くなる。


サイクルが長くなるということは赤信号の時間が長くなる。赤信号の時間が長くなるということは車にとっては渋滞が増えるということ。…これに対するアイルランドの行政のやり方はとってもわかりやすい。


ならば歩行者用の信号を最初から取り付けなければいい


…最近変わってきてますが、未だに歩行者用の信号がないところ、多いですよ。うそだと思うならO'Connell Bridgeのひとつ下流のButt Bridgeに行ってもらえば分かります。ここ、ダブリン一乗降客数の多いTara Streetという駅の前。なのに歩行者用の信号4つあるべきところ2つしかついてないですよ。Tara Streetの左側を歩いてきた人はトラックにはねられないように祈りながら走って渡るしかないんですよ。


そういうわけでかどうかは知りませんが、アイルランド人、道路横断にかなりの度胸がついています。ちょっとでも車と車の隙間があればすっと渡ってしまいます。で、さっきの「歩車分離型」の信号、赤信号の時間がやたらと長いのでみんな車と車の間隙を縫って渡ってしまいます。せっかくの歩行者用の信号が青になった時にはすでに歩行者は横断してしまっている…ということもしばしば。さすがアイルランド、どこか抜けているんですよね。


で、話は最初に戻ります。私の通勤している時間帯、ダブリンは暗いです。ついでに雨が降ってたりするともう視界はほとんどありません。そんな中


無理矢理飛び出して人の前を横断するんじゃねえよ。ボケッ


はい。上の一文が書きたいがために今日の日記を書いています。運転する側として言わせていただきますが、はっきり言って歩行者、見えてませんよ。特に対向車のライトの影になって視界に入っていないことが多いです。ましてや雨だとますます見えてませんよ。確かに雨の日、濡れるのは嫌ですから無理矢理横断したくなるのも分かりますがますますキケンです。


一番嫌な歩行者は、横断歩道でもない場所で無理矢理横断しようとしてセンターライン上で待ってるやつ。あれが一番見えません。しかも動きが予測しづらいので恐いです。数日前のどしゃ降りの日の朝もセンターライン上にいた女の子にかなりどきっとさせられました。ましてやベビーカーを押しながら無理矢理横断する若い母親など私の感覚では信じることができません。


どうかこのホムペをご覧の皆様、支離滅裂な運転をするアイルランド人、あるいはCDを取り替えようとして追突するようなアホな私にはねられたくない方、青信号まで待てとはいいません。でも、どうか命いらずなアイルランド人のマネをして無理な横断をするのは止めてください。あなたが思っているほどあなたは路上で目立ってません。どうか自分の身は自分で守ってください。


特に保険をかけていないで来ている人。知ってました?ヒコーキでの遺体の搬送は法外な料金を請求されますよ。どうせ死ぬならちゃんと日本の実家の畳の上で安楽死しましょうよ。…とまあ、最後にいらんことを書きましたが、本日はちょっとまじめに交通安全に対するお願いでした。…ああ、早く春が来ないかな。


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2002年11月28日(木) それじゃあ問題は解決しないよ...

今日の話は私の仕事に深く関わってきます。いちおう「守秘義務」ちゅうもんがありますので話をそのまま書くわけにはいきません。そこで私はジムで手を動かしながら考えた。


私は東京は箱根ヶ崎にあるマイ国大使間に勤める人間。マイ国は小国なので都心に大使館を持てないので箱根ヶ崎に大使館がある。で、日本人職員は私だけ。


…という設定でいきます。細かい部分に無理がありますが、まあ聞いてくださいよ。


今日の仕事中。ビザ専門のおねえさんが私のところに封筒をぽんと置いて、


「Snigel、悪いけど、これ、この人のところに送り返しといてくれない?」


中を見ると、「永住就労ビザ申請書」。申請者は新潟に住む田中さん(仮名)。申請書にはでかでかと「申請却下」のはんこが押してある。


そもそもこの「永住就労ビザ」これを申請する人はほとんどいない。たいがいの場合は観光ビザなので私がいつも事務的に処理している。が、忘れた頃にこの申請がある。で、永住なので申請の書類の審査も厳しい。


申請書
戸籍謄本
銀行の支店長のサイン入りの残高証明
手数料二十万円



この4つが必ず必要になる。


1ヶ月ほど前に話は戻る。田中さんはどうやらマイ国で仕事を見つけたらしくこの「永住就労ビザ」を申請してきた。ところがその申請書は不備だらけ。しかも戸籍謄本や残高証明が同封されていない。これでは審査以前の問題。


そこでこのビザ担当の女性が電子メールで


「これじゃだめだよ。戸籍謄本と銀行の支店長のサイン入りの残高証明を送ってください」


と連絡。


このビザ担当の女性、いい人なんだけど(←人の悪口を書く前の枕詞)ずばずは歯に衣着せぬ物言いで特に電話できつい性格のような印象を与える。私もちょっと恐いのでなるべくビザの話も他の人に聞くようにしている。で、仕事はきちんとしてるからこういう電子メールもきちんと労を厭わずに書く。


で1週間後、田中さんは住民票のコピーと通帳のコピーを送ってきた。


だからこれじゃあダメなんだってば。


で、日本語のできないビザ担当の彼女は私に


「悪いけど日本語で『戸籍謄本』と『支店長のサイン入りの残高証明』を送るようにメール書いて」


と言ってきた。お安い御用と私はすぐに電子メールを書く。


その翌週私は休暇に入ったので知らなかったのだが、田中さんは三度申請書を送ってきた。住民票の正本と銀行のATMで出したと思われる残高証明を添えて。


これにキレたビザ担当の女性、彼に直接電話。彼女独特の英語のアクセント(つまりダブリン訛りなんだけどさ)で夏木ゆたか並みの早口で


彼女:「田中さん、何度も言っているとおり、『住民票』ではなく『戸籍謄本』、残高証明は『支店長のサイン入り』じゃないとダメなんです。これらが提出されない限りビザは発行されません!」


田中さん:「But Madam…


彼女: 「とにかくこの『永住就労ビザ』は厳しい条件の下で発給されるものです。さっき行った書類が揃わない限り絶対にビザは発行されません。ゆえに早急にこれらを…」


田中さん:「But Madam…11月の末日までにビザが発行されないと私のマイ国の会社の採用が取り消されてしまいます」


彼女:「いかなる理由があろうとこの規則は変えれません」


田中さん:「Please Madam…


彼女:「ダメと言ったらダメ。ガチャッ」



話はここまでです。舞台はダブリンに戻ります。実は上の会話を再現したかったがために長々と大使間だのいう設定を借りて話を作ってきたのです。私、上の会話をビザ担当の女性、つまり私の同僚から聞いた時に床で笑い転げて笑ってしまったのです。


But Madam...


という言葉に。


実はこの言葉、誰とは言いませんが、とあるコールセンターに勤める日本人男性の常套句だったりします。クレーム電話を受けるたびに彼はかわいそうに本当に困惑したそしてすがるような声で


But Madam...


と言うらしいのです。


私は仕事上でもSir、Madamという言葉は使いません。なんとなく嫌いなんですよね。気取っているような感じで。で、クレーム電話では


But Madam…


なんて言っちゃあだめなんですよ。なぜか?


私も未だにそうなのですが、相手の話に割り込むのが嫌いです。ほら、相手が話してたら日本人ってとりあえず聞くでしょ?朝まで生テレビの論客くらいのツワモノならともかく、フツーの人は相手が話しはじめたら相手が終わるまで待つ。で、タイミングを見計らって自分の意見を言う。ところが一般にヨーロッパ人というのは人が聞いていようが聞いていまいが自分の意見を矢継ぎ早に言います。言い続けます。クレーム電話なんかになるとそれが顕著でがーがーがなり立ててます。で、そんな中に情けない声で


But Madam…


なんて言っても相手からナメられるのが関の山なんですよね。しかもその先が続かない。しかも田中さんの場合、情けなくも


Please Madam…


と来たもんだ。私、今の会社に来てから結構な本数の電話を取ってますが、


Please Sir…


なんて懇願されたことはただの一度もありません。何だかんだあることないこといちゃもんをつけてへ理屈を並べることはあっても懇願されたことは一度もありません。


上の例え話の中で田中さんが戸籍謄本を取れないのには理由がありまして、実は田中さんの本籍地は田中さんのお父さんの出身地の島根県の山村。そこには親類縁者は誰も住んでおらずしかもその村はダムの底。どこかの村か町が業務を引き継いだはずだけどどこがが良く分からないし、郵送で照会するには時間が足りない。


そういうことを並べつつ、しかもこちらのミスをちくちくつつく、例えば郵便がなくなったせいにするとか、「戸籍謄本が必要だとは電話で聞いた時には言われなかった」とか何でもいいんです。何でもでっち上げればこちらも「じゃあ住民票でいいですからそのかわり残高証明は正しいのをだしてください」とか譲歩せざるをえなくなる。な・の・に。


But Madam…
Please Madam…



じゃあ何も解決しないのです。はい。


というわけで田中さんの申請書は本日送り返されました。果たして彼が「Please Madam…」と懇願してくるのかどうか。本文中では二十万円ですが実はその数倍の大金が関わる話なんですがねえ。



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2002年11月27日(水) ストで思い出したエアリンガスの事件

数日前の話ですが、フランスの航空管制官の組合だかなんだかがストを起こしたらしく、ダブリン発のフランス行きをはじめとした一部ヨーロッパ行きのヒコーキが一日すべてキャンセルになったらしい。エアフランス(シティジェット)あたりがまたお客をひどい扱いをしたんだろうなあ、と思っております。あ、Ryanairはひどくて当然ですが。ともあれ、フランスで足止めを食らった方、いらっしゃいましたらお見舞い申し上げます。


ともあれ、なんとなくですが、フランスってしょっちゅうストをやっているような気がしませんか?しかもやることが派手。トラックで高速道路を封鎖したりだとかろくなことをしない。…あ、これ、作者の偏見かもしれません。


で、この話を聞いてだいぶ前に読者様からしいれたこんな話を思い出しましたのでご報告です。私が直接体験した話ではなく聞いた話ですので若干の脚色あり…と話半分で聞いてくださいませ。


場所はベルギーはブリュッセルズの国際空港、つまりまともな方の空港の話(ちなみにまともでないのはRyanairがハブに使う郊外のミニ空港)。ここでうちの読者様の女性がエアリンガスのダブリン行きのヒコーキを待っていたそうな。悪天候だかストだか忘れたけどヒコーキはかなり遅れていたらしい。で、前のヒコーキに乗れずに足止めを食らっていた人もいたらしい。


で、遅れつつも搭乗開始。元々の客が少なかったのかヒコーキの中は半分くらいしか埋まっていない(この辺、作者も記憶で書いてますので信憑性はあまりない。しつこいけど話話半分でよろしく)


いざ離陸!という段階になり突如機長が機内放送。


「乗客の皆様こんばんは。本日はヒコーキが遅れましてご迷惑をおかけしております。さて、現在パリにおきましてもたくさんの乗客の方が足止めを食らっております。一部の乗客の方はかなりの長時間ヒコーキに乗れない状態になっております。というわけで、このヒコーキはパリ経由でダブリンに向かいひとりでも多くのお客様をダブリンまでお連れします。お急ぎのところ恐縮ですが…」


前代未聞。ブリュッセルズ発直行ダブリン行きのヒコーキをなんとパリ経由にして運行するそうな(ああ、この場に居合わせたかった)。


作者自身がホントかなとにわかに信じられなかったこの話、実はこの続きがあります。ヒコーキはほどなくパリに到着。スッチーさんは


「ブリュッセルズからご搭乗のお客様はこのまま機内でお待ちください。」


と乗客を機内で待たせる。すると、例のパリでもジャージ姿だったと思われるジャージ軍団がどかどかヒコーキに乗り込んできた。


満席になる。


…ちゅうか席が足りない。


世界中のどの国にも未だに吊革付のヒコーキというのがないところを見ると、ヒコーキは座って乗るもののようです。だけど席が足りない。ここでスッチーさんがとった行動とは、これがまた人智を超越している。


「すみませーん、ビジネスクラスのA・C席にご着席の皆様、一度席を立ってください。」


エアリンガス他、B737やA320などの単通路型の小さなヒコーキの多く、ビジネスクラスとエコノミークラスの差はほとんどない。というか、「今日は前から3列がビジネスクラス」とか「今日は前から10列目までビジネスクラス」といった感じで弾力性のある運行をしている。で、ビジネスクラスとエコノミークラスの席が同じだとみっともないので(ホントか)、一列にエコノミークラスでABCDEFの6席あるところ、B席をつぶしてその分ACDEFの席を広くしている。つまり、ビジネスクラスにはB席は存在しないわけ。よーわからんという人はこのページを見てくれい。


で、スッチーさんは慣れた手つきでシートをよいしょっと通路側に引っ張り出し、あーら不思議ビジネスクラスのシートはエコノミー席に早変わり。と、ヒコーキはビジネス席のない総エコノミー席になりダブリンに向かいましたとさ。


まあこの話、ありえない話ではないような。まあ、「そこまでして乗れなかったお客を大事にするとはさすがはエアリンガス」と思うか、「遅れてるヒコーキをわざわざパリ経由にしてさらに遅らせるとはざけんなエアリンガス」と思うかはあなた次第です。ただ、私は一言だけ言わせてもらいたい。


座席の数くらい数えてお客を乗せようよ。エアリンガスさん。



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2002年11月26日(火) 夕方からの日常風景

午後5時には真っ暗なアイルランドからこんばんは。


うちの会社、イギリスにも多数お客さんがいますが、それ以上にヨーロッパ大陸に目を向けています。で、ご存知の通りヨーロッパの大陸部は時差が+1時間あります。…これって考えてみると変ですよね。イギリス・アイルランドより西にあるスペイン・ポルトガルは1時間遅れててしかるべきなのに実際には1時間進んでいる。そんなことならヨーロッパじゅう同じ時間帯に統一してしまえばいいのにといつも思います。


なぜかというと、この会社、上にも書いたとおり、大陸にお客さんが多数いますので、社員の半分は午前8時に仕事を始めます。ドイツやフランスはこの時点で午前9時。通常の始業時間です。ゆえに午前8時から電話がかかってきます。…というわけで、私の月の半分の始業時間は午前8時です。たとえドイツ語が話せなくても。


ところが今週のように午前11時から始まる週もあったりするわけです。つまり8時からに比べて3時間遅く始まる。これ、当然の帰結として、3時間帰るのが遅いわけで。


午後4時。


「じゃあね。おつかれー」


と半分の人が事務所から消えます。


午後5時。


「それじゃあね。ごくろうさまー」


とさらに半分の人が事務所から消えます。


残ったのは、私のように7時まで勤務の人間数人と、家がどこにあるのか忘れてしまったらしいドイツ人(それくらいいつも会社にいる)とサービス残業を強要されている(仕事の段取りが悪いからという説もあり)一部の上司。


その時点ですでに日はとっぷり暮れています。私の中ではもう午後7時くらいの感覚です。私の中ではもう一日は終わっています。


ええ、夜にお仕事をされている皆様、「歴史は夜作られる」と夜の盛り場(死語)のネオンライトの元に通われる夜の女王(死語以前に意味不明)の皆様、大いにやってくださいませ。ただ、私にとって、一日は日暮れの時点でほぼ終わりです。


というわけで、午後5時から7時までの長いこと長いこと。外を見れば真っ暗。会社の中はまばらな人影。元からないやる気がますますなくなる方が自然です。


というわけで仕事をしてるんだか何をしているんだか分からない長い2時間が過ぎ午後7時。よせばいいのにジムに行く。


ジムなんて退屈です。同じ器械をぐるぐる回したり、持ち上げたりを繰り返すだけ。何が面白いんだかさっぱり分からない。…そんな私をジムに向かわせる唯一の動機は


「毎月50ユーロも払ってんだからお金がもったいない!」


だけです。いつも考えています。


「このペースでくと月末までに8回ジムに行くわけか。ちゅうことは1回あたりのコストは6ユーロちょいか。もう少し頑張らんとな」


こんなことを考えながら訳のわからん器械をぐるぐる回してます。…アホですな。


で、ジムの閉館時間、午後9時にジムを追い出された私。私の感覚ではもう真夜中。急に一刻でも早く帰りたくなり珍しく高速を使い帰宅。


家に帰ると…

ピーヒャラピーヒャラ

ズンドコズンドコ


…別にちびまるこちゃんのテーマソングを書こうとしているわけではありません。私と薄い壁を隔てて隣の部屋に住むひでかすがまたトラディショナルアイリッシュミュージックのテープ(今時テープ)とともに、わけのわからん笛や太鼓(バウロンっていうんでしたっけ)を吹いて(たたいて)遊んでいます。うるさいですが本人の楽しそうな顔を見るとfont oclor="aqua">不憫でうるさいとはなかなか言えません。


ピーヒャラピーヒャラ

ズンドコズンドコ


トウルルル

ピーヒャラピーヒャラ

ズンドコズンドコ


トウルルル

ピーヒャラピーヒャラ

ズンドコズンドコ


トウルルル

ひでかすのバウロンに紛れて聞こえる音。電話?

案の定電話が鳴っている。

私:「もしもし?」

相手:(あいさつなし)「何で電話にすぐでないのよ!」

声の主はひでかすの彼女。彼女は私のこともよく知っているのでこういうふうにいきなり始めますが、別に彼女が無礼者というわけではありません。たぶん。ともあれ、電話にすぐでなかったのは聞こえなかっただけで…


私:「ばっきゃろー。この音が聞こえんのか」


と受話器を中にかざす。


ピーヒャラピーヒャラ

ズンドコズンドコ



ひでかすの彼女:「ああ、そういうことね」


彼女はすべてをご存知です。


私:(ひでかすの部屋のドアをグーで叩きながら)「電話じゃ、ゴルァ」

…次の瞬間ようやく静寂の時間が戻ってきました。ひでかすの彼女、いいタイミングの電話だったよ。ありがとう。



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2002年11月25日(月) 漆黒の闇の中のトイレ

今の会社に勤めはじめて9ヶ月が経ちますが、本日、今、この瞬間、初めての体験をしています。


やることがない。


いや、ありますよ。天板の見えない机の整理とか、机の上で発酵しかかってる書類の整理とか(本質的にはどちらも同じか)。だけどね、「今、すぐ、この場でやらないとだめ」ということがないのです。


考えてみると今まで前の会社の10倍のペースで働いていた。そりゃもう忙しかった。日本の会社で一生懸命働いている人には「ふざけんな」と怒られるだろうけどアイルランドの標準から考えるとそりゃもう一生懸命働いてました。けど、仕事は増えこそすれ減ることはなかった。なのに、なのに、


やることがない。


なぜか自己分析をしてみると意外と答えは簡単でした。その昔、某ダイナミックディスカウントストア(分かる人にはバレバレ)でバイトしていたときのお話。そこの直の上司にこう言われたのです。


「お前の作業ってホントに『3ム』だよなあ」

日本人って、「接客7大用語」とか「料理のさしすせそ」とか語呂合わせとかスローガンとか5-7-5調が大好きだと思いませんか。で、この上司の言う「3ム」とは


「ムリ・ムラ・ムダ」


だそうです。つまり、ムリして急いで仕事をして、ムラがある仕事量で現在ムダな時間を過ごしているわけ。はははのはっと。


今朝のお話。今朝いちばんに男子トイレに行きました。電気が消えておりまして窓のないトイレは電気が消えているとまさに漆黒の闇。…というわけで当然電気をつけようとしたのですが…


バチッ


と一瞬火花が散った後、トイレは再び漆黒の闇に。早い話が全部の電球の玉がいっぺんに飛んじゃったんですね。実はこれ3度目なんですよ。ここ数ヶ月で。私が電気をつけようとすると電球の玉が一気に飛んでしまう。電球って1個や2個じゃあ
ないんですよ。たぶん5個以上あります。それが一気に飛んでしまう。


自慢になりませんが、私、小学校・中学校を通じて全く理科の先生に恵まれませんでした。高校にいたっては…あまり多くを語りたくありません。ともあれ、私の理科の知識は多分中学生のそれに負けます。理科、大嫌いです(歴史もだけど)。


で、何が言いたいかというと、なんだかフラミングの右手の法則とか何とかいうやつでしたっけなんかありましたよね。電圧と電流の関係を表す公式。


そういうもんが全く分からんという上で断言してしまいますが、電球の玉が月に一度とかいうペースで全部飛ぶということは、電圧だかなんだかがおかしいに違いない。そうじゃなきゃ説明がつかない。なのにこのアイルランド人のビルメンテナンスのおっさん、数週間トイレを漆黒の闇のまま放置し、忘れた頃に電球を全部取り替えて、これまた忘れた頃に私が電気をつけようとすると電球が一気に飛びます。これを2ヶ月くらいのサイクルで繰り返しているわけです。


…何とかしろよ。


あ、言うまでもなく、漆黒の闇の中では照準が定まりません。用を足すのは不可能です。仕方なく別の階にあるトイレまで行くことになります。まあいいんだけどさ。いちおうアイルランド人のいい加減さを別の例で挙げようと思っただけです。はい。



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2002年11月24日(日) 国際私用電話がバレた。その時ゲイの彼は...

最近うちの会社の別の部門に勤めるある女の子が解雇されました。私が勤めはじめてから二人目です(過去日記参照)。ひとりめの女の子は私が知る限り確かに「使えない」子でしたから分からなくもなかったですが、今回の女の子はなぜ解雇されたか私にはわかりません。誰もがこの件に関しては口をつぐんでいるのがわかりますし。


で、そんな折りも折り、総務のマネージャーから突如全社向けにメールが発信されました。


各位

前に数度警告を発したにも拘らず、未だに私用電話の回数が減らない。確かに最低限の私用電話は認めてきたが、現在の私用での携帯電話への発信・国際電話は限度を超えている。ゆえに、今後はマネージャーの許可無しに一切の私用電話をすることを禁じます

マネージャー



私の仕事、電話をかけることも重要な仕事です。業務進行のために電話は欠かせません。この電話、そのほとんどすべてが国際電話です。…というか、私の仕事の特性上、アイルランド国内に電話することはめったにありません。アイルランド国内にかける電話はほぼ例外なく私用電話です。と言うわけで、問題の半分はアイルランドのケータイに発信された電話。日本同様固定→ケータイの発信は高いのです。で、調べてみると、特定の番号にかなりの数の電話がかけられている。この事実にマネージャーがキレた。これは原因の半分。さらに国際私用電話も度を越えて多いらしい。


ともあれ、国際電話を何度もかけるのが当たり前ですから、国際私用電話も仕事上の理由でかけた「ついで」についついかけてしまうわけで。


ただ私、このメールが来る以前にも総務のマネージャーから脅迫まがいのメールが来ていましたので気をつけて、私用電話の半分くらいは自分のコールカードを使ってかけてました。同じ電話番号への発信は週に一度程度になるように気をつけながら(←ずるがしこい)。


ところがそうしてなかった人が社内にいるのです。


コールセンターのゲイのマネージャーこそがその人。


この方、
過去日記で誉めた通り、人当たりもいいし、ゲイならではの細かいところに気がつく気め細やかさも持ち合わせている…と思っていました。今もそう思っています。私が凹んでいる時に真っ先に気が着いてくれるのは彼です。半面、どうも小姑のような小うるささも持ち合わせてまして。この前も


「オーマイガー、Snigel、どうやったらそんなに机を汚くできるの?」

とか

「ちょっと!なんで電話線がそんなにこんがらがったままで平気なの?」

とか

「私の机に書類がはみ出してきてるわよ」


に至るまで、まあ、1週間でしたが小言を言われ続けまして。ちょっとげんなり致しました。私は彼を週に1-2回車で送っていきます。その時に話したりする友人としてのつきあいは楽しいですが、正直なところ上司としてはいただけないタイプの人です。


閑話休題。コールセンターにいた時に気がついたのですが、彼は私用電話の鬼です。すべての仕事を人に振って自分は私用電話。あなたの会社にいませんか? マネージャーの仕事は仕事を部下に振りさえすればいいと思っている人。彼はまさにそのタイプ。


で、彼のボーイフレンドはドイツにおります。で、いったいどのくらいの頻度かは神と総務のマネージャー(と本人)のみが知るところですが、彼の私用電話の回数はどうやら度を越えていたらしい。神のみぞが知るといいつつ、実は私は彼がほぼ毎日ボーイフレンドに電話をかけていたことを知ってたりする。


かくして彼は突如総務のマネージャー室に呼ばれたらしい。ちなみに、彼の肩書きは便宜上マネージャーにしてきたけど、総務のマネージャーに比べると大関と幕下くらいの差がある下っ端マネージャーです。


総務のマネージャー:「あなたのドイツへのケータイ電話への発信は度を越えているわ。私用電話分を自分で払ってちょうだい!」


と、ドイツのケータイに過去2ヶ月に発信された電話料を請求されたらしい。いえ、「らしい」と伝聞系で書いてますが、彼を自宅まで送っていった時に彼自身がそう語ってましたから信憑性は高いです。


総務のマネージャー:「大体あなた、これは電話代だけの問題じゃあないのよ!私用電話をしている時にも私たちはあなたに給料を払っているのよ。ちょっとこの私用電話の数は限度を超えているわよ!」


ゲイの彼、口さがありません。負けてません。


彼:「何言ってんのよ!私が先月何時間サービス残業したかわかっているの?その分の給料もくれないくせに!いいわよ!それくらいの金、今すぐ払うわよ!ふんっ!」


…と、総務のマネージャーの机に請求された200ユーロを置いて出てきたらしい。まじ?私にはできない真似です。


ただねえ、ドイツのケータイに発信されていたからってそれが私用電話とは限らないわけで。お得意様のケータイだった可能性も否定できないわけで。しかも、たぶんそのうちの数パーセントは私がMausiにかけた分もきっと含まれているわけで。


まあいいや、今日のところは対岸の火事。知らん顔しとこう(←男らしくない)。とりあえず、私用電話には気をつけましょう。特に国際私用電話はね。



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2002年11月22日(金) メールについてのお願いというか愚痴というか...

ちょっと今日は文句を書かせてください。アイルランド真実紀行始まって以来の読者様に対する文句です。一部の方には「天狗になってる」とか「偉そうにするな」などと文句を言われそうですが、それでも書いてしまいます。もし自分が切れやすいタチだと自覚のある方はどうぞ今日の日記はパスしてください。


今日のお題はメールについてです。読者様から自分でも信じられないくらい多くのメールを頂いています。これに対し、私は本当に感謝をしていますし、ひとつひとつにできるだけていねいに返事をしてきたつもりです。半面、メールのお返事が遅いことも事実ですが。ちなみに最近は土日の日記の更新を休んでメールに集中的にお返事させて頂いております。


で、数ヶ月前からの「流行」として「質問メール」が多くなって来たような気がします。一番困る質問。なのに多い質問。


「ダブリンってどんなことですか」


…あなたならどうお答えになりますか?答えに詰まりません?もう少し突っ込んで、「ダブリンって語学留学するのにはどんなとこですか?」とでも聞いてくれれば答えようもあるのですが。この答え、そうは書きませんが、いつも心の中でこう思ってます。「日記を読んでくれ」


で、かなり多いパターンとして、語学留学される方からの質問。例えば


「10月から語学留学でダブリンに行きます。Dublin 16ということなのですが治安等はいいのでしょうか」


…語学留学前、特に初めてであれば不安になる、その気持ち痛いほどわかります。私も行く前に誰かに質問できたらいいなと思ってましたから。と言うわけで最初はかなりていねいに返事をしていたのですが、実は一つの法則に気がついたのです。


「このテの質問メールにはまず返事が来ない」


私にこのテの質問メールを書いて私の返信にお返事をくださった方、ありがとうございました。が、実はそういう方はかなりの少数派でして、たいがいの場合なしのつぶて。私としては「御返信ありがとうございました」くらいのメールはいただいても罰はあたらないと思ったのですが。


で、そんなふうに考えている時にとどめを刺すメールが来ました。このメールが私が初めて返事を書かなかったメールです。


「10月から語学留学でダブリンに行きます。Dublin 16ということなのですが治安等はいいのでしょうか」


…ここまでは同じ。で、ここから先に私はちょっとかちんと来てしまった。


「1週間以内に返事をください。ホームページには掲載しないでください」


むろん載せるなと書いてありましたから載せてません。内容はこんな感じだったというだけで詳細は一切変えてあります。


最初に書いた通り、私は読者様からのメール、本当に心から感謝していますし、ちゃんとお返事も書いています。だけど、このようにあからさまに利用するだけ利用してやろうという態度の人、しかも返事が来るのが当然だと思っている人になぜ私が忙しい時間を割かねばならないのか?上にも書いた通り、こういう質問メールはこちらが返事を書いたらそれっきりになるのが常ですし、しかもこの方、あいさつもなく単刀直入。名前すら書いていない。


申し訳ありませんが、謹んで無視させていただきました。


何度もしつこく書きますが、読者様からのメール、本当に心待ちにしています。毎朝メールボックスを開けるのが楽しみです。日記のネタ(「あ、こんなこと書いたらおもしろいな」って)になる日もあるし。と言うわけで、今日の日記は「メールをくれるな」と言っているわけでは決してありません。メール、心の奥底からお待ち致しております。が、やはり、常識豊かなメールをくださると私としても気持ちよくお返事ができるわけで、そういう意味でご協力をお願いいたします。


なお、今日の日記、内容が内容ですので、過去ログには残さないかもしれないのでご了承ください。不愉快に思われた方、申し訳ありませんでした。



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2002年11月21日(木) アイルランド人が金を溜めれない理由をひとりの男に見る

最近アイルランドの巷では盛んに新製品の宣伝をしています。その新製品とは…


カメラ付きケータイ


…そういや未だにほとんどのケータイの画面は白黒だな。この国。自分のも含めて。


今日私の書きたいことはそんなことじゃあありません。会社で私のとなりの席に座る同僚Andrew(仮名)についてです。


実は彼、うちの会社は週40時間きっちり働いていてもそれは単なる副業でして、彼の本業は「サッカー選手」です。スポーツにミジンコ程度の興味もない私(過去日記にも書いた通りW杯最中も黙々と仕事をしてました)、よくは知りませんが、彼、日本で言えばJ2の選手らしい。で、それだけでは食っていけないからうちの会社で二足のわらじを履いているわけ。毎週末、先週はスライゴ、今週はコークとアイルランド中で試合をしているらしい。


二足のわらじを履いていればそれなりに金持ちにもなりそうなものだが、彼の場合はそうはならない。…というか、アイルランド人に金がたまらない理由を彼の人生に垣間見ることができるような。今から彼のことをああだこうだ書きますが、私は彼のことを本当にいいやつだと思っていますし、話の分かるやつです。彼のことを好意的に思っている…という前提の上で笑いながら読んでやってください。


数週間前のお話。彼、土曜日の夕方にアイルランド中南部の町キルケニーで試合があったそうな。彼の同僚(…つまり私の同僚でもあるわけですが)の女の子がその週末偶然にもキルケニーに行く用事があって、彼は彼女にキルケニーまで乗っけていってもらう約束を取りつけた。電車賃も浮いてラッキーというやつ。


その日の12時。彼は彼女が家に迎えに来るのを今か今かと待っていた。すると彼女からケータイにメッセージ。


「遅れます」


…で、彼は忍耐強く待った。何度か電話を入れるも「もうすぐ行く」の一点張り。ところが午後3時になって、彼女は突然ケータイのメッセージで…


「今日はやはりキルケニーには行かない」


アイルランド人の典型的いい加減さ...他に形容のしようもありませんが。困ったのは彼。試合の時間は迫っている。バスではもはや間に合わないし、ちょうどいい時刻の列車もない。彼がとった緊急避難の方法とは…


タクシー


彼は表通りに行き、流しで走っていたタクシーをつかまえる。アイルランドの土地カンのない方のために書いておくと、ダブリンからキルケニーまでは私の記憶が正しければだいたい160キロ程度。かなりの距離です。


タクシーに乗るなり彼は…


彼:「キルケニーまで」


驚いたのはタクシーの運ちゃん。ダブリンのタクシーには「メーターエリア」というのがありまして、平たく言うとダブリン近郊ではメーターを使って運賃を算出しますが、そのエリア外に関しては運転手と事前に運賃を交渉して決めるというのが決まり。で、運賃の交渉の結果「162.5ユーロ」で交渉成立。私にはなぜそんな半端な値段だか理解できない。


で、ほくほく顔のタクシーの運ちゃん、その日は徹夜で働く予定だったものの、「あんたのおかげでさっさと車庫に帰れるよ」などと言いつつキルケニーに到着。


到着したはいいが、彼の財布には150ユーロきっかししか入っていない。私の感覚でいえば、それだけの金が入っていれば十分だと思うが。まあこれだけの大金、私の感覚でいえばタクシーの運ちゃんは「じゃあ150ユーロでいいよ」と言ってくれそうなもの。彼もそう思った。タクシーの運ちゃんに150ユーロしか手持ちがないことを彼が伝えると…


「あっそう。それは大変だ。ならATMを探そう」


…162.5ユーロきっかり請求されたそうです。蛇足ながらその日の試合は負けたらしい。踏んだり蹴ったりとはまさにこのためにあるような言葉。


162.5ユーロという大金をどぶに捨てた彼、その悪夢の記憶も覚めやらぬうちに彼は私の机にやってきて…


「Snigel、Snigelのクレジットカード使わせてくれない?」


なんでも12月の週末、イギリスに行きたいらしく、航空券をインターネットで予約したい。その為にはクレジットカードが必要なものの彼はもっていない。彼は現金先渡しでくれたので私としてはノーと言う理由はない。で、100ユーロ超の航空券を私のクレジットカードで決済した。


ここまではまあいい。


ところが航空券を予約したたった数日後彼は…


「Snigel、ヒコーキ予約した日、試合があったことすっかり忘れていた…」


彼の買った航空券はいわゆる格安航空券。当然変更・取消不可。某英国航空に電話するも


「取消変更はできません」


とつれない返事。…というわけで、162.5ユーロに続き、100ユーロ超の金を彼はドブに捨てる。こんなことをしている限り金は貯まらんわな。


今日になって彼は…


「Snigel、今度ドイツに行くからまたクレジットカード貸してくれない?」


…と言いつつ120ユーロを私に渡す。


さっそく航空券を購入したものの、彼が本当にドイツに行くかどうかはまさに神のみぞが知る。



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2002年11月20日(水) 閑古鳥のビジネスパークにオープンした超越した新しい店とは?

自分のことを完全に棚に上げてアイルランド人が最バカではないかと疑う時がたまにあります。今日がそうでした。信じられないものを見てしまったのです。


私の会社がある某ビジネスパーク。完全にバブルの遺物状態で、広大な敷地に「箱もの」のオフィスビルを乱立させ、8割がたのビルはテナントなしの空室状態。それでも新たにビルを建て続け、アイルランドのバブルの遺物となる日もそう遠くない…という話はかなり昔の日記でしたような気がします。


で、そこに革命的にSpar(コンビニ)ができ、今まで最も近い店まで車で10分以上かかったところが歩いて数分のところになり便利になった…というのもちょっと前の日記に書いたような。で、Sparですが、いつも閑古鳥が鳴いているものの、たぶん商売をやっていくだけの最低限の売上はあるのではないかと勝手ににらんでいる。だってあんだけぼってんだもん。


昨日気がついたこと。良く見るとSparから空室の数軒をはさんで別の店がオープンしている。Spar自体も通りから見えない奥まったところにあるのだが、その店はさらに別の建物の影になっており、気をつけて見ていないとまず気がつかない。で、その店を見たのだがいったい何の店なのかまったくわからない。Sparの店員のおねえさん(けっこう私の好みのタイプ=蛇足)に何気なく聞いてみた。


「あの店何の店?」


私はその答えに唖然としてしまった。


このビジネスパークに今必要なもの。例えば、パブとか銀行のATMコーナーとかそういうものなら私も利用しようと思う。が、誰がどう考えても一番必要のないものがオープンしてしまったのだ。


家具屋。


…私にはこのロジックがまったくわかりません。地の果てにあるビジネスパークにひっそり佇む家具屋。知名度は0(社内でその店の存在に気がついたのは私が最初だった)。集客力は通りに面しておらずしかも表通りも車が通ることはあっても人はまったく歩いていないのでほとんどなし。訴える客層はビジネスパークの労働者。コーラをコンビニで買うことがあってもついでに机を家具屋で買うとは冗談にも思えない。


…私が社長だったら間違っても出店しません。こんなとこ。まあ仮に、大きな倉庫を借り切ってスウェーデンのIkeaのような超大型店舗を作れば集客は期待できると思う。でもコンビニと売場面積の変わらない家具屋、誰が車を走らせてくるんですか?…と言うわけで、私はこの家具屋がいつ潰れるか楽しみでなりません(←こらこら)。


この日記を書いているのは20日の午後10時。ドイツ語の宿題をやらねばと思いつつ思い切り現実逃避しているわけですが、ともあれ、雨が窓を強く打っています。いつものことです。去年の冬はある意味例外でしたが、アイルランドの冬の夜はほぼ必ずといっていいほど雨が降り、風が吹いています。人を落ち込んだムードにするのにこれ以下の天気はあり得ないと思います。


この天気、完全にパターン化しておりまして、日が暮れた頃から雨が降り始め、たぶん夜通し降り続きます。で、朝、日が昇るのと同時に止みます。…平たく言えば夜ずっと雨が降っているわけですな。冬の朝は本当に鬱です。午前9時に出勤・登校しなければいけない人は遅くとも7時30分までには起きる必要があると思いますが、この時点ではまだ真っ暗です。


で、真っ暗な中自分の体に「もう朝なんだぞ」と言い聞かせつつ、家を出ると外は雨。しかも傘をさせないほどの強風のおまけつき。何とかバス停にたどり着いてもバスは満車で止まりもせずに通過してしまう。こんな状況で明るく通勤する人の方が珍しい。


今年の冬はまさに幸いにも車があるのでこの鬱度も半分以下ですみますが…。ただ車通勤もストレス満点です。アイルランド人には超越したドライバーが多い。これはまた別の機会に。



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2002年11月19日(火) 衝撃告白。ポップスターとの半裸のつきあい

会社が終わり、そのままジムへ。なんとなく少し運動して、なんとなく少し泳いでそのまま帰ろうとしたのだが、プールの後の更衣室は凍えるくらいに寒い。いわば緊急避難的に更衣室の脇にあるサウナに避難。


私と入れかわりに一人の男が出て行く。いや、「男が」とか書く必要はないんでよね。だってこのサウナ男女別だもん。


で、私がひとりサウナに佇んでいると、どことなく軟派な感じの(年寄りくさい表現だな)男が入ってくる。背はさほど高くないものの、なんとなくジャニーズ系(死語ですか?)の顔をしており、その顔に似合うネックレスだのをしている。年の頃21か22。


サウナの中というのはことさら退屈です。やることもないのでなにげに話が始まります。で、近所に住んでいること、私もジムからさほど遠くないところの会社に勤めていることなんかを本当に何気なく話す。で、私は…


私:「なんの仕事してるの?」


と何気なく聞いたのです。まあ、「金融関係」とか「鳶職」とかいろんな職業がありますが、彼の答えはある意味人知を超越していた。


彼:「ボク?ボクは実はポップスターなの」


ハァ?


彼:「ブルーってバンド知ってる?」


…有名人の名前には情けないくらい疎い私ですら名前くらいは知ってますが。そこのメンバー?


彼:「ボクね、そこのバンドの…」


え?ボーカルをしてるとかすごい話?


彼:「…前座をやってるの」


…脱力っ。そう、ブルーというバンドの前座バンドをやっているらしいのだ。


彼:「結構、テレビとかにも出てるよ。Den2(アイルランドの子供向けの番組時間帯)とかチャンネル3のIreland Amとか。」


ほうほう。で、数分話し、彼は出ていったのだが、私はふと気がついた。


あ、せめて名前を聞いておけば、みんなに彼が何者か聞けたのに。


まあ近所のジムでぼーっとサウナに入っているくらいだからそんな有名人ではないとは思いますが。もし有名人だったら更衣室で裸を隠し撮りして、Hello Magazine(日本で言えば「週間女性」と「フライデー」を足して2で割ったような雑誌)にでも売ってやればよかったかな(←悪質)。


上にも書いたとおり、私のジムのサウナは男女別です。で、昔勤務していたところの近所にあったジムは男女混合。男性諸氏、劣情を催してはいけません。というのもそのジムのサウナはプールの並びにあり、水着を着て入る規則だったからです。ましてやあんたが巨大なハム好きでもない限り…(以下自粛)。


で、そこのジムに通っていたドイツ人がしょっちゅう文句を言っていた。


「何でサウナに水着を着て入らなきゃいけないのよ!」


男の私は水着で隠すべき表面積が少ないので(「男にしては…」とは一言も言っていないので誤解なきよう)、水着でサウナに入ることにそんなに抵抗はない。けど、女性は隠すべき(とされている)部分が男性より多いわけで。気持ちが悪いというのもわかる。けど着けないと…見ちゃうよ。


彼女いわく、ドイツの一部のサウナは男女混合で、しかも水着なしで入るらしい。そういう話をフィンランドとか北欧の一部の国で聞いたことはあったけどドイツよお前もか。


確認のためにMausiに聞いてみた。Mausiはひとこと


「近所にあるよ。行く?」


…謹んでご遠慮いたします。


いったい世界にはどれくらい男女混合のサウナがあるんでしょうねえ。ちょっと気になりますが。



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2002年11月18日(月) 水上路上教習事件

世間の波に乗り遅れまい…としたわけではありませんが、見てきました。ハリーポッター。良かったです。たぶんこれから見に行く方もいらっしゃると思いますから、ネタバレは致しません。ただ一つだけアドバイスをさせていただくと、もし第1作を見ていない・あるいは原作を読んでいないなら、まずは第1作をビデオでご覧になるか、本で読むことをおすすめします。さもないとたぶん何がなんだか?だと思う。


ハリーポッターを見に行ったのは土曜日の夜。町中の映画館は文字通り満席。ハリーポッターの人気を見た気がした。


で、日曜日ですが、ひでかすと一緒にダブリン一大きいと思われるBlanchardstown Shopping Centreに行きました。駐車場は満車。スペースの奪い合いまでしたもののほとんど何も買わず。


だいたいアイルランドはたった数年前(5年くらいかな)まですべての商店は日曜定休だったくせに何時の間にかすべてのショッピングセンターや多くの商店が日曜営業になった。で、 日曜だというのにショッピングセンターは大盛況。考えてみるとキリスト教とにとって日曜日とは休むべき日のはずなのに。アイルランドも他の国に違わず敬謙な信仰心というのがなくなっているのだろうか。


敬謙な信仰心といえば、大分前のラジオがこんなふうに嘆いていた。


「数年前まで協会の日曜礼拝には60%の人が参加していたのに今では48%。半分を切ってしまった」


これを聞いて罰当たりな私は「未だに半分の人が毎週教会に行っているのか」と驚いたのだが、どうもこの辺の感覚はアイルランド人と大分違うらしい。


ところで、再びRyanairが「無料フライトセール」をやってました。今回は何も買いませんでしたが。Ryanair、嫌いですが半面彼らのおかげで私は大きな便益を得ていることも確か。何せ、Aer Lingusが対抗して(…としか思えない)とんでもない破格の運賃を出してくれてますので。


Dublin=Dusseldorf 片道28ユーロ。


税金を入れても、片道44ユーロはお買い得。と言うわけで、1月と2月の週末分のチケットを前もって買いました。ちなみに、この片道44ユーロって実はDusseldorf=Hannoverのドイツ国鉄の普通片道運賃より安かったりするんですよね。


RyanairとAer Lingusの関係はスカイマークと全日空に似ているような。スカイマークのおかげで東京=福岡間の運賃は破格に安くなった。ただ、私はどこか保守的な人なので、スカイマークに感謝しつつ全日空で飛ぶ。…こんな感じですね。


で、話は例によってぶっ飛びますが、昨日の日記に書きかけた「初めての水上での運転」のお話。これがまた人知を超越したすごい話でして。いつもながら信じてもらえないでしょうが実話です。


初めての水上運転はなんと私が教習所に通っている時のお話です。私が仮免の試験を受けようという日。よりによってこの日「戦後最大級」の超大型台風がQ州を直撃。ただ試験は午前中で、台風のQ州への最接近は午後ということでまあ大丈夫だろうとタカをくくっていた。


で、無事仮免許試験に合格。この時点ですでに風は強く、雨が窓ガラスを打ちつけている状態。さっさと家に帰ろうと身支度をしていると教官がひとこと。


教官:「おーい、Snigel、どこ行くんだ」
私:「はあ、帰ろうかと…」
教官:「ダメ。午後1時間路上教習ね」



何せ教官が10人いるかいないかというミニ教習所。教官と気心が知れるのはいいことですが、この戦後最大級の台風の日に好き好んで路上教習をすることはないでしょう。…と思いつつ、夏休みが終わるまでに免許が取れるかどうか微妙な情勢だったので、まあ渡りに船とばかりにこの話を断らずに午後、台風の中路上教習をすることに。


で、昼休みの間にも海からの風はさらに強くなり、雨はまさに地面を穿つかのごとくのどしゃ降り。「いったいうちに帰り着けるかな」などと少し不安になる。


で、最初の路上教習。免許をお持ちの方はご存知の通り、最初の路上教習はオートマ車で行われます。


教官:「よーし、Snigel、7号車乗って」


私はひとつの問題に気がつく。


私:「あのー、これミッション車じゃあないですか。最初の路上教習はオートマ…」
教官:「悪い。オートマは全部出払ってんだよ」



私はアイルランドがいい加減いい加減と書き続けてますが、考えてみるとこの教習所もかなり狂暴だな。


教習所の敷地を出た瞬間、車は水の中へ。信じてもらえるかどうか、教習所のすぐ外の道路はすでに路側帯の縁石の高さまで浸水しておりまして。そう、私の記念すべき人生初の路上の運転はいきなり水をばっしゃーんと弾きながら一般道に出たわけ


で、最初のコースはリアス式の海岸沿いのコース。崖にそって海面とほとんど変わらない高さのところに道が作られている。ちょっとしたドライブコース…天気が良ければ。この日はどこもかしこもすでに浸水しておりまして。


途中法面工事中(=崖をコンクリートで固めた面の工事)のところがあり、そこは工事用の信号で片側相互通行になっていた。そこで信号待ちをしていると、なんと崖から小石がぱらぱら落ちてくる。まさに恐怖。


私:「あのー、小石が落ちてきてますが…」
教官:「大丈夫、俺の側じゃない



…そういう問題じゃないだろ。


と言うわけでまさに命懸けの教習が人生初の公道での運転でした。そう、フツーに生きている限り、これ以上ひどい運転環境は考えられないので、ある意味この路上教習は大きな自信になりました。反面、高速道路教習とか雪道教習とかなかったわけですが。



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2002年11月17日(日) ダブリン集中豪雨。現在進行形の騒動記(2)

木曜日の日記の続きです。


金曜日の朝は、前夜、さんざんラジオで「やばいやばい」と喧伝していたので殊勝にもいつもより10分早く家を出る。いつも10分前には会社に着くようにしているから合わせて20分の余裕を持たせたことになる。


午前7時10分。まだダブリンは暗い。いつものLite FMをつけるとさっそく交通情報が始まった。


「…N3が一番ひどいようです。Navanでは警官が『今日は(ダブリンまでたどり着けないから)家に帰れ』と言っているとの情報が入ってきています。」


ケーサツがそういうことをいうものだろうか。


「…また市内あちこちで洪水のために通行止めになっています。XX通り、XX地区、さらにGracepark Road…」


この瞬間に私のいつもの通勤路が断たれたことを知る。私は瞬時に第二のルートを検索するが…。


「…M50はN3との立体交差が閉鎖。インターチェンジ経由の交通になっていますが激しく渋滞中。」


ここの立体交差、世にも不思議な構造になっていまして、高速道路の上を道路、線路が通っているのはいいとして、さらに、運河が高速道路の上を通ってます。つまり河に橋をかけて水が高速道路の上を流れているわけ。称して構造欠陥といいます。ともあれ、M50を使おうかという私の案は即座に却下される。


「…この影響でBranchardstownは全体的に流れが悪くなっており、またChapelizodも浸水のため通行止め…」


この瞬間に私の心は決まる。


どこに行ってもだめだこりゃ。素直に行こう。


と言うわけで、いつものGracepark Roadに入る。通行止めのはずの道なのに、意外とすいすい流れるなあ…と思っていると突然渋滞に巻き込まれる。で、そのまま、渋滞の中をそろそろ進むと…


案の定通行止め。(へぼ写真が多いですが、暗かったし止まって写真を撮る余裕もなかったのでご勘弁を。写真上に並ぶのはパイロンです。)


で、仕方なく裏路地にまわると道路わきで車がプチ水没(写真左に駐車中のマーチの下回りは完全に水の中です)。で、路地裏は大渋滞。


やっとの思いで表通りのN1に割り込むと…


そこもやはり大渋滞。なんとなくみんなが堂々とバスレーンを走っているので、私もバスレーンを走る。


しばらく行くと、



…N1も見事にプチ水没。ちなみにここ、ラジオでも報道されない、つまり問題にはされていない水没個所です。写真だと迫力が半減以下ですが、見た目に水はこの写真以上にありました。何せ雪の上ですら運転をしたことのないQ州出身の私。水の上でなぞ運転したのは人生で2度目です。初めての水の上での運転は…あ、これ、別個で日記のネタになるわ。温存。


で、このあとも…


…のろのろ運転が続き、会社に着いたのはぎりぎりの午前8時。この状況じゃあ誰も出社していないのでは…などと思っていたが、意外にもいつも定時に来る人間はちゃんと定時に来ていた。逆に日ごろ定時に来ないやつはやはり今日も来ていなかった。


さて。実はダブリンでたったひとり、その洪水の原因を知る男がいます。それは、何を隠そうこのです。実はこの洪水の数日前、初めて私の車を洗車したのです。しかもガソリンスタンドの手洗い洗車。ぼろ車にそんなあほなことをするから大雨が降ったのです。ちなみに今日何気なく車を見ると、泥水の中を走り回ったせいで、すでに車は洗車前と変わらない汚さになっていました。


ダブリンにお住まいの皆様。私が洗車をしたばかりにご迷惑をおかけしました。衷心よりお詫び申し上げます。

昼間撮られたまともな洪水でか写真(3枚。各重さ約250KB)をご覧になりたい方はこちらへ。


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2002年11月14日(木) ダブリン集中豪雨。現在進行形の騒動記(1)

60ミリ


たった60ミリです。


何の話かって?


実はダブリンで「集中豪雨」がありまして、ダブリンの一部の道路が冠水、一部住宅も浸水したとかしないとか。で、どんだけの雨が降ったかといえば、そう降水量は今までのところたったの60ミリ。60ミリっすよ。台風が毎年襲ってくる、そして長い梅雨のあるQ州出身の私にとって、60ミリの雨なぞさほどの問題にならないはずなのに。この国では大問題になるようで。


60ミリといわれてもぴんと来ない方へ。感覚的には強い雨足とは言えない雨が一日中降り続いた感じ。日本の梅雨ならそんな雨が1週間とか続くこともあると思う。で、数日降り続いてようやく問題になるわけで。


「え?アイルランドって雨ばかり降っているという気がするんだけど」という方。実は月別の総降水量などはという今日に比べてダブリンの方が少なかったりする。ダブリンは確かに雨も多いけど、実は雨足が強くないし、しかも雨は結構早くやむ。というわけで、たった一日雨が降っただけでそりゃもうすごいことになってしまうわけです。


話は昨日(木曜日)の朝にさかのぼります。朝家を出ると、確かに交通量が多い。が、それは天気の悪い朝にありがちな交通量で、日ごろより本の少し余計に時間がかかっただけで会社に到着。で、私は雨のことなどすっかり忘れて一生懸命(ということにしておこう)仕事をしていた。


で、退社時間になって外を見るとまだ雨は降り続いている。


会社を出るとしばらく交通量は多かったが、それでも結構まともに進む。この日は久しぶりに街で友人と会う約束になっていた。ので、行き先は街。


で、とあるふたまた、いつも通り直進しようと思ったら前の方でお祭りをしている。


また車がぷかぷか浮いている。


道路が一部低くなっているところで乗用車が水に埋まって立ち往生している。


この時点で私はようやく異変に気がついた。で、ラジオをつけると、


「XX通りは冠水で通行止め。XX地区は現在大渋滞。国道X号線XXは下り線玉突き事故のため渋滞。」


…おいおいおい。なんだ。こりゃ。


で、そのまま街へ向かって注意深く運転していると、今度は渋滞に巻き込まれる。数百メートル先の交差点ではケーサツが出て私が進もうとした直進の道路が封鎖されている。直感で冠水したと分かる。なにせそこ、谷底ですから。


で、ケーサツが右折しろというので左折。右折したら大渋滞に巻き込まれるのは分かっていたので。で、左折した先ですぐに路地裏に突入。路地裏は対向車で埋め尽くされており、左のミラーをたまに植え込みにこすらせながら無理矢理進行。


その後も町中は大渋滞。その中を縫ってようやく市街地着。所要1時間。日ごろの倍。でも実はこれですんで私は運が良かったらしい。


続く。何せ今現在(15日朝8時)雨、まだ降ってますから。



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2002年11月13日(水) 日本旅行記<3> SASビジネスクラスでのフライト

出発前にSASのサイトをぼーっと見ていると、どうもSASのヒコーキが変わったらしい。乗った人誰もが口を揃えて言う「とても大陸間フライト用のヒコーキとは思えない」ほどの中型機B767からエアバスの最新鋭機A340に置き換わったらしい。


ヒコーキに興味がない人にはなんのことだかさっぱりでしょうが、これ、私の知る限り日本からヨーロッパへのフライトは「ジャンボ」の名称でおなじみのB747をほとんどの会社がつかっていたのに対し、なぜかSASは羽田からQ州に向かうのと同じヒコーキ、つまりは日本のローカル線で使われるようなヒコーキで無理矢理、ヨーロッパ=日本線を運行していたわけ。無理矢理というのにはちゃんと根拠があって、「B767の最大の航続可能距離は実はコペンハーゲン=東京の距離とほぼ同じ」(=航空おたくひでかす談)らしい。


そんなマニアックなことは私は知らなかったが、ともあれ、Q州に行くようなこじんまりとしたヒコーキでヨーロッパに行けるSASのB767、私はけっこう好きだった。


が、そのヒコーキが最新鋭のヒコーキに置き換わった。で、SASは盛んにそれを宣伝している。


おヒマな方は、SASの日本語サイトを見て欲しい。特にこのビジネスクラスのあたり、「こだわってますよー」とサイトの端々で言っている。なんとなく乗りたくなってきた。


で、ふと気がついたのはSASのマイル。アイルランド=ドイツ間をビジネス客に負けないくらいのペースで往復している私、気がつけば、日本までのタダ券も手に入るくらいのマイルがたまっている。で、この際だから、その一部をビジネスクラスへのアップグレードにつかってみようと画策。


というわけで、11/1、雨の中を京成の特急で成田空港へ。日本に来たときの倍、40キロ近い荷物をチェックインし、希望のシートを聞かれたので、アップグレードしたい旨伝える。すると最前列の通路際のシートをくれた。荷物の重量超過については全くお咎めなし。


が、困ったことが発生。


「到着便が遅れております関係で、出発が1時間程度遅れる見込みです」


…それは困る。だってコペンハーゲンで1時間の乗り換え時間でハノーバーまでのヒコーキに乗り換えるつもりだったんだから。おねえさんは明るく、


「今のところ大丈夫だという話なんですが」


結局搭乗も1時間以上遅れ、ヒコーキは定刻よりほぼ1時間30分遅れで出発。機内はほぼ満席。他だしビジネスクラスに2席の空席があり、私のとなりも空席。


搭乗するなりビジネスクラスを見回したのだが、ひとつのおおきな事実に気がついた。


日本人乗客がほとんどいない。


見える範囲には熟年老夫婦が一組、そして別の夫婦と思しき人が一組。つまり、ビジネス席60席のうち、そのほとんどすべてが日本人以外の乗客。考えてみると、エコノミークラスの日本人対それ以外の人数の比率が逆転したような状態。これも日本が不景気なことの証拠なのだろうか。だって、「日本人ビジネスマン」と思われる人は、ただのひとりもビジネスクラスに乗ってなかった。


で、この後の話は、まあ、ビジネスクラスですから、シャンペン飲んで、なまず料理を食べ、短い足を思い切り伸ばして楽しく映画を見ながら過ごしましたとさ。


一番驚いたことは、なにやら機内に専属のシェフが乗っていたこと。白いシェフの服を着て、注文を取りに来たのには驚いた。…そこまでやるか。


疲れ方がやはり全く違う。エコノミークラスだと足はむくみ、着いたときには疲れ果てるのが常だが、ビジネスクラスだと疲れ方はたぶん1/3かそれ以下。まあ、エコノミークラスに比べ、5倍以上の運賃を払っているわけだから当然なのだが。ただ、こういういい思いをしている人がヒコーキの前の方に乗っているかと思うと、やはり貧乏人の私はひがんでしまうわけです。


ちなみにビジネスクラスに乗ったのは初めてではありません。BAでも何を血迷ったかジャンボの2階席に無償アップグレードされたり、某米系航空会社のファーストクラスに乗ったこともあります。某米系航空会社のファーストクラスに比べてもSASのビジネスクラスは遜色がなかったと思います。強いて言えば、デザートにアイスクリームがなかったことが心残り。


で、コペンハーゲンに到着するも、見事に私はハノーバー行きのヒコーキを逃す。が、運良く、次のヒコーキが2時間後だったので対した問題にもならず。また乗ろうと思ったSASのビジネスクラスでした。あ、もちろん、50万もの金はないからマイルでね。



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2002年11月12日(火) アイルランド「やっぱり」仕事がない

例のSASの話の続きを書きたいのに、他のネタが今日も発生。


同僚のアイルランド人の女性が私のところに来てこういうのだ。


「アイルランド人がこんなにうそつきで信用できないなんて知らなかったわ!」


…全く穏やかでない発言ですが、この真意、私は痛いほどに良く分かる。


あまり詳しく話を書けないのですが、彼女、なぜだかEU内の某国で、南米から来た男に恋をしたらしい。で、彼女、何と彼をアイルランドに連れてきてしまった。さあ、これからが大変。


まず空港の入国審査は「観光客」ということで難なくパス。が、その後、張り切って仕事を探そうと、企業やリクルートエージェンシーを回りはじめたものの、彼の国籍がもろにネックとなり、どこからも鼻にもかけてもらえない状態。彼の国籍の何が問題か。これ、簡単でして、彼の国で話される言葉は、スペイン語。で、スペイン語が必要な職場はすでにビザのいらないスペイン人で占められており、彼が割り込む隙間がない。で、困ったことには、(人のことは言えないけど)これという技能もない。というわけで、


「後で連絡します」
「検討します」



などという返事をもらいつつ、実は連絡も来なけりゃ検討もされていない…という状態。彼の財布は底をつき、今では5ユーロしか入っていない。当然彼女に衣食住おんぶに抱っこ状態。これが彼のプライドを深く傷つけていることは想像に難くないし、彼女の方だってそろそろ貯えの預金も尽きてきた。彼女は心配のあまり不眠症になり、彼は彼で目にみえて鬱状態になっていくのが分かる。


…うーん、典型的な悲劇談だ。


当然合法でも非合法でも背に腹は替えられないと仕事をすればよさそうだが、非合法の仕事すら見つからない状態らしい。で、ふたりは「結婚しようか」などと言い出した模様。


…うーん、典型的な破局パターンだ。


で、この会社でヨーロッパ以外から来た人間は私だけ。そこで彼女が私に相談を持ちかけてきたわけ。


そこで私は読者の皆様に相談を持ち掛けるわけです。彼が就けそうな仕事をご存知の方は作者までご一報くださいませ。…もっとも、彼とは面識がないから、彼の人柄などを私が保証することはできませんし、しかも同僚の彼女自体あまり親しいわけではないので見て見ぬふりをすることも可能なのですが…。でもそれじゃああまりに冷たい気もするし。


彼女はこんなことも言ってました。


「私が南米に行った方が早いかしら」


…彼がこっちにきてうまくいかないのに、あなたが向こうに行ってうまくいくとは思えませんが…といいたいのを必死で堪えました。



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2002年11月11日(月) ラブホテルの「ガイジンお断り」について考える

昼食時。お弁当になるようなものが何もなかった私は、残り物のごはんを他っパーに詰めてそれをお昼ご飯として持参。で、それに日本から持ってきた永谷園の鮭茶漬けのもとをかけて鮭茶漬けにして食べていると…何時の間にか私の周りに人垣が。


「その黒っぽい物体は何だ?」
「のり」
「じゃあ、その黄色っぽいのは?」
「せんべい」
「その隣りの黄色っぽいのは?」
「鮭」



…質問攻めに遭っている間にご飯は思い切り水気を吸ってしまい、お茶漬けなんだかただの水っぽいご飯なんだか分からなくなってしまった。まだまだ日本文化が理解される日は遠いのだろうか(…なんだか論点がずれているような…)


今日の本題。まずはこの読売新聞の記事をお読みください。


「外国人の入浴拒否は違法」札幌地裁判決


 外国人であることを理由に入浴を拒否されたのは憲法や人種差別撤廃条約などに違反するとして、北海道南幌(なんぽろ)町の大学講師有道(あるどう)出人(でびと)さん(37)(米国出身)ら男性3人が、小樽市の入浴施設経営会社と同市を相手取り、慰謝料計600万円の支払いと謝罪広告掲載を求めた訴訟の判決が11日、札幌地裁であった。坂井満裁判長は「外国人一律入浴拒否は不合理な差別で、社会的に許容される限度を超えた不法行為」と述べ、同社に計300万円の支払いを命じた。同市への請求は棄却した。

 訴えによると、有道さんらは1999年9月、家族と入浴施設「湯の花」を訪れた際、「外国人の入場はご遠慮下さい」との張り紙があり、施設側から「外国人が入るとトラブルが起き、日本人の客が敬遠する」と入場を拒否された。日本国籍を取得後の2000年10月にも、運転免許証を示したが入場を断られた。

 有道さん側は「外国人差別というより人種差別。小樽市も差別撤廃措置を怠ったため、精神的苦痛を受け続けた」と主張。これに対し、同社側は「入浴拒否はロシア人船員らのマナーの悪さから苦情が相次いだため。違法性までは認められない」、市側も「外国人へのマナー説明チラシの配布など十分な対策をとった」と反論していた。


出典:読売新聞11/11付サイトより。


ガイジンとしてアイルランドに住む私にとって、そして、日本人から見て「ガイジン」を彼女として持つ私にとって、この記事は非常に興味深い。


これを読んでまず思い出したのは去年のお話。私とMausi(私の彼女の名前。いつも通り仮名)は去年の秋、車で県境を越え、友人が「秘湯」と太鼓判を押す「はげ温泉」に行ってきた。中年男性諸氏、別にあなたにあてつけてません。そういう名前の温泉なんです。


で、ここ、話せば長くなるけど私の知る限りでは貸切の浴槽が10個かそれ以上並ぶいわば「貸し温泉」とでも言うべき施設が数軒ある。別の言い方をすると「家族風呂」というやつ。で、ここに行き、私は「露天家族風呂」にMausiと入ってきた。はい、そこ、いらん想像をしなくてよろしい。私はただ淡々と事実を述べているだけなんだから。


この日、Mausiは紅葉が眩しい渓谷でヤマメの塩焼きを食べQ州中央の美しい山並みを見て、そしてくだんのはげ温泉へ(だからあなたにあてつけてるんじゃないってば)。結論から言うと、別にMausiは風呂の中で体を洗ったとかそういう日本人から見て非常識な行動は私が一切何も言わなかったにも拘らずなかった。仮に彼女を銭湯で見ても私は何一つ文句を言うことはなかったと思う。


「外国人が入るとトラブルが起き、日本人の客が敬遠する」


という温泉施設側の言い分。この点からしてどうも納得できない。もし何らかの不都合があるならその都度そう言えば良いだけで、それが「ガイジン入館拒否」となるという短絡思考が私には理解できない。


たまに銭湯や温泉旅館で「刺青のある方の入館はご遠慮ください」と書いているのを見かける。これの方がまだ説得力がある。銭湯で背中に昇り竜が描かれている人が隣りにいたら確かにある種の違和感…というか恐怖感が出てくるというのはわからなくてもない。が、隣りにガイジンがいたからもうその温泉に行きたくない…というのは論理が飛躍しているのではないかと思う。もし「ロシア人船員がトラブルを起こした」のなら、それはむしろ「団体客のマナーの悪さ」に起因するような気がするのだが。


この裁判の争点になっている通り、どうもこの「ガイジンお断り」の後ろには人種差別、あるいはガイジンを受け容れたくないという思惑が見て取れる。


もっといい例がラブホテル。前にも書いたような気がするけど、私は未だにラブホテルに行く機会に恵まれていない。是非一度行ってみたいと思っているのだが。ともあれ、聞いた話によると、ラブホテルにも「ガイジンお断り」のところがけっこうあるらしい。ガイジンどうし、あるいは一方がガイジンだと、なんでも下のようなことを英語と日本語で書かれた紙がフロントからぬうっと出て来るらしい。


「当館の非常用設備は英語で表記されていません。ゆえに外国人の方のご利用はご遠慮頂いております」


これこそああ言えば上祐でして。「非常口」の表示なんてあのドアから人が出ていく図はまさに万国共通だし、仮に一昔前の表示で漢字で緑地に「非常口」と書いてあればよほどのアホタレでない限り、非常口と書いてあることは想像がつくと思う。もしつかないというなら、デパートや映画館など「ガイジンお断り」の場所が町中に溢れることになると思う。


ラブホテルという密室空間の中ではことのお相手以外の第三者に迷惑をかけることはない。強いて言えば部屋を汚く使って掃除のおばちゃんに迷惑をかける…と言う可能性は否定できないけど、でもそれは日本人でも同じ。たぶんガイジンの方が部屋を汚く使う…という理屈は成り立たないと思う。このことから考えると、どうもこのラブホテルのガイジンお断りも単なる人種差別から来ているのではないかと思うのだ。


話はMausiと日本に行った時に戻るのだが、私が見た限りでは出会ったほとんどすべての人が、Mausiに親切にしようとし、トラブルというトラブルに見舞われなかった。が、ほんの一部の人間が、こんな感じで、「ガイジンお断り」という不条理なことをしている限り、日本はガイジンにとって住みやすい国にはならないだろう。ガイジンに特に親切にする必然性はないと思う。が特に特別視する必要もないと思うのだが。

とりあえず、ラブホテル管理者様、不当なガイジン差別は止めてください。さもなければ私がラブホテルを訪れるのはいつの話になるやら。



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2002年11月10日(日) 日本旅行記<2> SASでのフライト

今回の日本への一時帰国、まあ、誰が同考えても無理のある計画でした。たった2週間で、ダブリン=ハノーバー=東京=Q州=東京=ハノーバー=ダブリンというのには間違いなく無理がありました。


そもそもの間違いの始まりは、3組のチケットをバラバラに買ったこと。つまり、ダブリン=ドイツ、ドイツ=東京、羽田=Q州あわせておよそ15万円の痛い出費。このうち、ダブリン=東京間はフランクフルトにストップオーバーという形にすればもう少しお金がセーブできたかとも思うが、何せ日程に余裕がない。フランクフルトからハノーバーまで新幹線に乗っている時間も惜しかったので、金もないくせに別々のチケットを買いストップオーバーしなかった。


もっと言えば、ハノーバー=東京、私はSASで飛んだのだが、実はBA(ブリティッシュエアウェイズ)で飛んだ方が、200ユーロ近く安かった。日程としても悪くなかった。だけど例の「フレクエントフライヤーズカード」に縛られ、しかも新しくなったと盛んに宣伝しているSASの新しいヒコーキ(A340)に乗ってみたかった私は200ユーロ余計に出してSASで飛ぶことに(はいはいはい、どうせ私はアホタレです)。


で、ハノーバーからコペンハーゲンまではいつものプロペラ機(デハビラントQ400というヒコーキ。知っている人は間違いなくマニアです)。で、1時間の乗り換え時間でそのまま日本行きのA340に乗る。


結論から言うと、まあ悪くなかった。席は2−4−2という配列でどこに座っても便利がよさそうだったし、シートにテレビがついていて結構楽しめたし、何より、エマージェンシーローを取ったので、前に席がない。自分のリュックサックを足置きにすれば即席のビジネスクラスシートの出来上がり。


で、ここで私はひとりのんびりビデオでもみながらのんびりする予定だったのだが、実は隣に座っていたオッサンに泣かされることになる。


この50歳前後と見られるオッサン、ストックホルムで生活をしているらしく、なんだか自分の自慢をせずにはいられないらしい。最初ははあはあと相づちを打っていたがしまいにはうざくなる。が、そこは大人を目指すSnigel頑張って対応しましたが。


で、ビデオはというと、これがまた私がたぶんマイナーな映画を選ぶからだろう、最悪のものばかり。1本目は「Fat Greek Wedding」というコメディになれなかったコメディ。コメディのはずなのに全然笑えない。


2本目は名前も覚えていないデンマークの映画。ストーリーも全然覚えていない。はっきり言って最悪の映画。まあ、スパイダーマンだののメジャーな映画を見なかった私が悪いといえばそれまでですが。


食事に関してはさすがSASといえるなかなかのものが出た。スッチーさんも親切だし、スッチードさんと仲良くなって、「クルー専用」のケーキももらったし。やはりSASはいい。

帰りはというと…次回に続く。



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2002年11月07日(木) 争奪戦!クリスマスホリデー

掲示板への読者様からの投稿

Snigelさんは2週間のお休みを利用して帰国…いいっすね。
日本じゃ即刻クビにされそうだな、はーぁ。
ワールドカップのときは1ヶ月以上の休暇を利用して大勢のアイルランド人が日本に来ましたが、アイルランドって長期休暇の取りやすい国なんでしょうか?



他は知らんが確かにアイルランドは休暇の取りやすい国です。特に私のような下っ端の方が取りやすいようです。だいたい長期休暇は2ヶ月とかそれくらい前に申請を出しますから、その時にもしその週に他にもたくさん長期休暇を申請している人がいれば「悪いけど1週間ずらしてくれない」なんて言われることもあるようですが、私の場合、誰も長期休暇を取りたがらない秋をねらって申請を出すので前の会社を含めて一度たりとも文句を言われたことはありません。日本はこの時期が一番いい季節じゃないですか。春?Snigelは花粉症のため春には日本には近寄りたくありません。


ともあれ、長期休暇争奪戦が起こるのは決まってクリスマスです。クリスマス。日本では「彼とイタリアンレストランで食事してー、それからー」なーんて、なんとなく恋人たちのイベントデーのような趣が強いですが(私がそう言ういい思いをしたとは一言も言っていない)、ヨーロッパでは家族の集う大事な日なのです。言って見れば日本の正月に近いかな。


今年のうちの会社のクリスマスのカレンダー。前の会社も同じだったのでたぶんこれが標準ではないかと思う。


月 火 水 木 金
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 1 2 3 4


会社は、12/24から26は休み(24日は半日休暇のところもある)で、31も休みで、1/1は最初から休日。こうなるとさ、23と27を休みにして、思い切り21から29まで休みたい…と思うのは当然のことでしょ?こうして当然の帰結として23と27を休みにしたいという人たちによって熾烈な争いが繰り広げられるわけです。


ちなみに他は知らんがうちの会社は半分諦めてます。つまり、23と27、さらには30、31は必要最低限の業務が遂行できる最低限の人員さえ確保できればいいと考えているようです。具体的に言えば、日ごろは10人中2人までしか長期休暇の許可をしないところ、この4日に限っては10人中7人まで長期休暇の許可を出す…具体的な数字は知りませんが当たらずとも遠からずだと思います。むろんこの数字は職種によってだいぶ変わるとは思いますが。


で、うちの会社、じゃあ、10人中7人が休暇の申請を出すかというと…出すんですよ。これが。特に、アイルランド人以外の人々。アイルランド人、特に親や家族と同居している人はクリスマスイブとクリスマスデイは最初から休みなのだからあまりその他の休みにこだわりはないようですが、反面イタリアやスペインから来ているような連中は、この時期に家に帰れないということはほとんど死ねと言われているのと同レベル…に近いようです。


というわけで、今勤めている会社はそうでもありませんでしたが、前の会社はひどかった。とりわけスペイン人やイタリア人の比率が高かったので、みんながみんな休みを取りたがる。で、誰も譲らない。ついにはチーム(課)内でミーティングまで開かれるものの誰も譲らない。毎年ものすごい不毛な争いが起こってました。


で、ヒラどうしの場合、最終的には「勤続年数」で優先順位が決まります。最近入社をした人は涙を飲んでおしまいということになります。


さて、私の場合、今年は割にスムースに休みは取れました。12/21から1/1まで4日分の年休を使い12連休。日本の小中学生の14連休に近いですね。うわー、いきなり寄ってたかって石を投げるのはやめてくださーい。


当然ドイツにいきます。がひとつ、大大問題があるのです。


去年のあの悪夢と全く同じ日に、全く同じ時刻に同じ航空会社で飛びます。


クリスマス前の空港が一年でいちばん混む土曜日に、世界でも屈指の忙しい空港で乗り換えて、1/1に戻ってくる。去年と全く同じです。


何の話か分からない方。日記のこちらの話をどうぞ。自分で言うと問題ですが、読む価値はあるとんででもない話です。



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2002年11月06日(水) 日本旅行記<1> 原監督のおかげで...

今回の日本への帰省…ひたすらに時間不足でした。たった2週間の休みのうちにドイツに行き、Q州に行き、さらには東京でも数日過ごす…というわけでオフ会以外では家族以外の誰とも会ってません。会っている時間がなかったというのが正直なところですが、一部の友人から「なんで連絡をくれなかったのか」と非難されています。ま、これは非難する方が正しいわな。その節はまことに申し訳ありません。


東京に数日間いた最大の目的はクリスマスショッピング。毎年師走も押し迫った頃、上野のアメ横なみ…とまでは言いませんが、混み合ったダブリンの町中でつまらない買い物をするのにとことん懲りた私は今年は日本でクリスマスショッピングをすることに。


上野のアメ横や御徒町の多慶屋(←このへんがSnigelのお気に入り)、さらに池袋の東急ハンズ、サンシャインシティのショッピングモール…とあちこちまわり、なんとなくいろんなものを買った。が、どうしても本命のMausiあてのクリスマスプレゼントが見つからない。


で、日本にいるのもあと2日。翌日が買い物の最後のチャンス…という日になって思わぬニュースが飛び込んできた。


「祝!ジャイアンツ日本シリーズ制覇」


ご存知の通り、私は野球を含むスポーツ全般にまったく興味がありません。ジャイアンツが勝とうが負けようが私にはいっさい関係ありません。…何て思っていたもののふとひとつの考えが頭に浮かんだのです。


ん?三越に行けば優勝セールをやっているのでは?


というわけで木曜日の昼前、地下鉄に乗って日本橋の三越へ。「なんで半蔵門線はこんなに深いところにあるんだ。なんで銀座線の駅からこんなに遠いんだ」などと十年一日のごとき文句をぶつぶつたれつつ、文字どおり駅の直上(横かな?)にある日本橋三越本店へ。


こういうことはきっと催事場でやっているに違いないと思い、おばさんに紛れ男性はたったひとり状態でエレベーターに乗り込み七階だかの催事場へ。そりゃそうだ。平日の朝にデパートに行ける人というのはやはり圧倒的に主婦層が多そうな気がする。


で、7階に着いたもののゴルフフェアだのよくわからんことしかやってない。確かに「ジャイアンツ日本一記念セール」とは書いているけど。でも、あれがない。あれが。


おかしいなあと思いつつエスカレーターをたどって1階へ。ここで謎は氷解した。1階はものすごい熱気。で、おばさま方による「福袋」の大争奪戦が繰り広げられている。じっと見ていると1万円とかする福袋が飛ぶように売れてゆく。


おーい、これのどこが不景気なんだい?


レジを見ていると一万円札やクレジットカードが飛び交っている。私は別におばさま方と福袋争奪戦を繰り広げるつもりは毛頭なかったので同じ福袋コーナーでも人が少し少ないところへ行くと、


「アクセサリー福袋ン円」


なんだか知らんが、ちょっとおしゃれな紙袋にこじんまりと何かが入っている。どうせ私には価値は分からないんだし、天下の三越、福袋にもきっと店の信用をかけているはず。つまり、ン円分以上のものは必ず入っているだろう…とにらんでそれを買う。


買った後に気がついたのだが、福袋に群がるおばさま方、なんだか知らんがみんな福袋を開けている。済みの方から覗くのはかわいい方で、袋を破って中を確認しているすごい人までいる。…何のための福袋なんだか。


で、さっそく家に帰って中を見てみると、なるほど、これはン円には見えない中身。もっともアクセサリーの価値など分からない私なので家人に見てもらうが、とてもン円には見えないとのこと。


…こうして私のクリスマスショッピングは11月を待たずして終了。今年はあのくそ混んだダブリンの街でショッピングバックをもって右往左往しなくていいかと思うと、それだけでシアワセです。おい誰だ、「クリスマスプレゼントを福袋で済ますな!」とか正論を言っているやつは!いいんです。余計なことを言わなければ。ドイツに福袋なんかないわけだしさ。


ともあれ、原監督が、テレビの視聴率などを一切考えず4連勝してくれたおかげで私は日本を離れる前日…ぎりぎりのタイミングで優勝セールに参加できました。原監督…ありがとう。でも私はジャイアンツのファンではありません。



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2002年11月05日(火) ただいま

ようやく帰ってきました。不思議なもんですねえ。日本に居るとアイルランドもそんなに悪くないかなあ…なんて思ったのに、ダブリン空港に着くなり、いや、乗り換えのロンドンヒースローに着いた時点ですでに「何で帰ってきたんだろ」と鬱になりました。まあ倦怠期を迎えた夫婦みたいなもんですな。一緒にいるとうざいけど、いなければいないでそれはちょっと寂しい…ちょっと違うか。


日曜日の夜遅くに戻ってきて最悪だったのが月曜日。会社に来たはいいが、全然仕事をする気にならない。…というか自分がいまいち何をしているのか分からない。決してサボっているわけではないのに、仕事が全然進まない。あたふたしているうちに一日が過ぎてしまいサイトの更新が結局できず。しかも仕事量は本来あるべき量の半分以下。


で、火曜日はこれはいかんというわけで、かなりスピードを上げて仕事に取りかかったものの今度は


「Snigel、11時から新製品のプレゼンね」
「Snigel、12時30分から会議ね」
「Snigel、3時から別の新製品のプレゼンね」



…お前ら私をおちょくって遊んでいるだろう。


…というわけで、再び更新できず。


自宅は自宅でスーツケースを開けると何時の間にか自分の部屋の床が見えない状況でコンピュータに近づけない。一生懸命這って行って掲示板にいくつかのお返事を書いたものの、そこでダウン。ちょっと時差ぼけなのか午後10時を過ぎると爆裂に眠くなってしまうのです。その代わり朝は6時前に自然と目が醒めてしまう。…というわけでまた日記の更新できず。


水曜日の朝…つまり今ですが、仕事をそっちのけで更新しています。ただ、仕事がかなり遅れているのであまり深い話は書けそうにありません。ゆえに、日本の話は今晩更新予定…部屋が片付いたらね。



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