日記のような語りのような。

2004年06月08日(火) 君といつまで6 <ランセイ>

「俺な、向こうの大学に留学することにしたんだ」

いつもと変わらない声、いつもと変わらない口調、いつもと変わらないオスカー先輩がそこにはいました。

「実はな、向こうで知り合った教授が、是非留学してこいとうるさくてな」

そう云いながらも、オスカー先輩は嬉しそうでした。
今回の帰国は、両親の説得と留学の手続きのためのものだったと、オスカー先輩は云います。
急な展開についていけないランディくんは、頭の中で状況を整理するのに精一杯でしたが、やっと言葉をしぼりだしました。

「そう、だったんですか……」
「今回は数ヶ月だが、今度は年単位だ。今のところは1年の予定だが、もしかしたらもっと長くいるかもしれない」

オスカー先輩は、腕の中のセイランに視線を落しました。

「お前にこれ以上迷惑をかけられないから、新しい飼い主をどう探そうかと悩んでいたんだが、お前がそう云ってくれて助かったよ」
「はあ……」

にっこりと笑うオスカー先輩に、呆けたような返事しかできないランディくん。
――つまりは、これからもセイランと一緒にいていいということだろうか?
やっとたどり着いた結論は、ランディくんの望んだ通りのものではありましたが、あまりにあっさりとまとまってしまい、ランディくんは拍子抜けしてしまいます。
先程までとは異なる様子で呆然としているランディくんの肩に、オリヴィエ先輩がにやにやとわらいながら手を乗せてきます。

「良かったじゃないか、ランディ?」
「…………あの、もしかしてオリヴィエ先輩」
「オスカー先輩の留学のこと、知ってたんですか?」
「ああ、まぁね〜」

ひらひらと悪びれずに手を振るオリヴィエ先輩に、ランディくんは怒ったような声で詰め寄りました。

「だったらどうして教えてくれなかったんですか!オレ、ずっと悩んで……!」
「悩んで、そうして自分の本当の気持ちがわかったんだろ?」
「え……」

オリヴィエ先輩の思わぬ真剣な瞳に、ランディくんは胸を突かれました。


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紗月 [MAIL]