日記のような語りのような。

2004年06月07日(月) 君といつまで5 <ランセイ>

「オレ、これからもセイランさんと一緒にいたいんです」

ランディくんの突然の言葉に、オスカー先輩は少し驚いたようでしたが、次の瞬間にはすっと眼を細めてランディくんを見返しました。

「……俺はこいつを預かってくれと頼みはしたが、貰ってくれと云った覚えはないぞ」

それは、ランディくんが初めて見るオスカー先輩の顔でした。
怒った顔なら見たことがあります。
他人を軽蔑するような、見下すような顔も、自分に対してではないけれど見たことがあります。
けれど、この顔は。この表情は。
怒っているというものとは少し違う、冷たい目にランディくんはぞくりとしました。
これが、本気のオスカー先輩なのでしょうか。

「――っ、わかってます」

けれどランディくんは、怯みそうになる心を抑え、睨むようにオスカー先輩を見つめました。  

「わかっています。これはオレのワガママだって。こうなることは最初からわかっていたのに、約束を違えているのはオレの方だ」

ランディくんの隣で、オリヴィエ先輩がわずかに息を呑んだ気配を感じましたが、ランディくんはオスカー先輩を、そしてセイランを見ていました。

「それでも……それでもオレは、セイランさんを手放したくない。今まで暮らしてきて、今になって、やっとちゃんとわかりました、自分の気持ちが」

ずっと考えていたくせに、見ようとしなかった見たくなかった気持ちに、ランディくんはやっと向き合うことができました。
嘘のない気持ちは、なんの躊躇いもなく口から零れていきます。

「オレは、セイランさんと一緒にいたいんです」

オスカー先輩の目の冷たさは変わりません。
けれどランディくんは、引くつもりはありませんでした。
例え無理だとしても、セイランへの気持ちで負けることはないと、ランディくんは知っていたのです。

そして、どれほどの時間が経ったのでしょうか。

「ま、別にそれで構わないけどな」
「…………は?」

それまでと一変して、いつもの飄々とした表情となったオスカー先輩に、ランディくんはあんぐりと口を開けてしまいました。


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紗月 [MAIL]