日記のような語りのような。

2004年06月02日(水) 君といつまで <ランセイ>

ランディくんの家には、月に数回、オリヴィエ先輩から電話がかかってきます。
ランディくんとセイランのことを心配したオリヴィエ先輩が、様子をみるために電話をしてくれるのです。
セイランとの生活にもすっかり慣れ、ご近所さんとのお付き合いも上手くいっているランディくんには悩みといった悩みはなく、いつもその電話はお互いの近況報告と世間話で終わっていたのですけれど。


「もしもし。――はい。お久し振りです、オリヴィエ先輩」

鳴り響く電話にセイランはふと顔を上げましたが、それがいつもの定期報告だとわかると元のように顔を伏せてしまいます。
そんなセイランを横目に見ながら、ランディくんはいつもと変わらぬ様子で電話をしていたのですけれど。

「え? ……あ、はい。そう、ですか」

突然声のトーンが下がったランディくんに気づいたのか、セイランは顔を上げずにランディくんの方を見つめました。
半ば固まってしまったランディくんは、セイランのそんな視線には気づいていません。

「わかりました。はい。……失礼します」

受話器を置いたランディくんの表情は、いつもとは違い少しだけ沈んでいるようでした。
しばらくの間、呆然と置いたままの受話器を見つめていましたが、一度深く息を吐きだし呼吸を整えてから、部屋の隅で丸くなっていたセイランに向き直りました。
セイランの傍らにしゃがみこんで、右手を差し出します。
右手とランディくんとを見比べたセイランは、少し迷ったようでしたが大人しくランディくんの手に前足を乗せました。
ゆっくりとセイランを持ち上げ、胸に抱くと、ランディくんはそのままぺたんと床に座りこんでしまいます。

「セイランさん、オレ、どうしたらいいですか……?」


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紗月 [MAIL]