日記のような語りのような。

2004年05月27日(木) さよなら、大好きなひと。5 <ハボロイ>

ロイの元々の飼い主は、ヒューズさんでした。

最初は本当に驚いたものの、改めてこの1人と1匹を見ていると、なんだかハボックさんは妙に納得してしまいます。
ヒューズさんはロイの扱いに手馴れているように見えますし、ロイがこれほどまでに素直に嬉しそうな姿を見るのは初めてです。
全てがあるべき場所に戻ったような、そんな感じがしていました。

けれどふと、ハボックさんはひとつ疑問を持ちました。

「あの」
「ん?」

ためらいがちに口を開いたハボックさんに、けれどヒューズさんはいつもと変わらない調子で返事をします。

「中佐の家とここってかなり距離ありますよね? わざわざこっちまで来たんスか?」
「……そうだな、あんまり近所に捨てるのも気が引けたのと、……あとは、そうしないとエリシアを納得させられなかったからな」

『ロイはな、遠いところへ行っちゃったんだ』
ヒューズさんがそう云って愛娘を必死で説得する様が、ハボックさんの頭にありありと浮かびました。

「だけどやっぱり気になってな。エリシアがぐずったのもあって、2日後に見にきたんだが、もうそこにこいつはいなかった。……だからエリシアにはこう云ったよ。『ロイは、すごくいい人にもらわれていったんだ。元気にしてるから、心配しなくていい』ってな」

ロイの頭を撫でながら、ヒューズさんはハボックさんを見上げました。

「お前さんが拾ってくれて、よかったよ」


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紗月 [MAIL]