日記のような語りのような。

2004年05月26日(水) さよなら、大好きなひと。4 <ハボロイ>

ヒューズさんの言葉の意味がわからず、ハボックさんはしばらく呆然としていました。

「久し振り……って?」

やっと口から出た言葉はありきたりで、けれどそのときのハボックさんの思いを表す言葉を、ハボックさんはこれ以上知りませんでした。
そんなハボックさんに、少しだけ悲しげにヒューズさんは笑い、ロイの頭をまたくるりと撫でました。

「黙ってて悪かったな。もしやとは思っていたが確信が持てなかった」
「……大佐が、中佐の?」

発したものが単語だけであっても、意味はきちんと伝わったのでしょう、ヒューズさんはゆっくりと頷きました。

「そうだ。――俺が、捨てた」

ハボックさんは、なんだかわけがわからなくなってきました。
ヒューズさんとロイは、こうして見てもとても仲が良さそうで。
あのロイがこれほどまでに懐いて、ヒューズさんもまた優しい目でロイを見つめているというのに、なぜ捨てるようなことになってしまったのでしょう。
ぐるぐると考えこんでしまうハボックさんに、ヒューズさんは苦笑しました。

「捨てたかったわけじゃないさ。……ただ、な。ちょっと事情があって、新しい飼い主を見つける時間すらなかったんだ」

だから、捨てた。

「エリシアもグレイシアもそりゃあ可愛がっていたし、こいつが生まれたときから一緒だからな、手放したくはなかったさ。だけど、まあ……大人の事情ってやつだからな」

かつてのロイと一緒に自慢の愛娘と愛妻を思い浮かべているのでしょうか、噛みしめるように淡々とヒューズさんは語りました。

「だから……また会えて、良かったよ」

ヒューズさんを見上げて、ロイは同意するようにみゃあと鳴きました。


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紗月 [MAIL]