日記のような語りのような。

2004年05月25日(火) さよなら、大好きなひと。3 <ハボロイ>

ハボックさんの云ったとおり、ヒューズさんと出会った場所とハボックさんの家はそれほど遠くはありませんでした。
しかし、途中でコンビニに寄ってお酒やおつまみを買いこんでいたため、ハボックさんの家に着いたのはそれから30分後のことでした。

「どうぞ。狭いですけど、ゆっくりしてください」
「おう、お邪魔するぞ」

1人暮らしのアパートが珍しいのか、ヒューズさんは楽しげにハボックさんの部屋の中を眺めていました。
すると、来客の声に気づいたのか、リビングの方からロイがひょっこりと顔を出しました。

「あ、大佐」
「ほぅ、あれが噂の同棲相手か。確かに美人だな」

じっとこちらを見つめてくるロイに、ハボックさんははたと気づきました。
ロイが自分からハボックさんのところに寄ってくるときは、大抵ある理由があって。
それはつまり、もしかしたらロイは今とてもお腹が空いているのかも知れない、ということで。

「すんません中佐。俺、ちょっと大佐のエサ用意するんで適当に座っててください」

慌ててキッチンに飛び込むハボックさんの姿をやれやれと笑って見送り、ヒューズさんは部屋に上がりました。
玄関からリビングへ向かい、そしてテーブルの奥の方にどっかりと座りこむヒューズさんの様子を、ロイはじっと見つめていました。

「遅くなってすいません。ほら大佐、エサっスよ」

しばらくして、キッチンから出てきたハボックさんは両手に皿を持っていました。
片方の手には、ロイのエサが入ったお皿。
そしてもう片方のお皿には、先程コンビニで買ってきたおつまみを開けてあり、腕にはお酒の入った袋を提げています。
手前にいたロイにエサを向けますが、ロイの様子がいつもと違っていてハボックさんは首を傾げました。
いつもであれば、エサを出せばすぐに寄ってくるのに。
今日はなぜか、来客が珍しいのでしょうかヒューズさんを見つめていて。

「……大佐?」

しかし、ハボックさんの疑問は思いもよらない形で解決することになりました。

「ロイ」

ふいにヒューズさんがロイの名を呼び、手を差し出しました。
ロイはゆっくりとヒューズさんに近寄ると、ヒューズさんの指先に顔をすり寄せました。
――まるで、ヒューズさんにとても懐いているかのように。
ヒューズさんが頭や首を撫でると、ロイはごろごろと喉をならします。
ハボックさんはただ驚いていました。
それほどまでにロイが気持ちの良さそうな顔をするのは見たことがなかったからです。

「ロイ……久し振りだな」

ヒューズさんのその言葉に、ハボックさんは思いきり目を瞠りました。


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紗月 [MAIL]