日記のような語りのような。

2004年05月23日(日) さよなら、大好きなひと。 <ハボロイ>

それは、ハボックさんが珍しく定刻に仕事を終えた日のこと。
仕事帰りの会社員が岐路へと急ぐ中で、久し振りに少しだけ寄り道をして帰ろうかとぶらぶら歩いていたハボックさんの肩を、誰かが叩きました。

「よっ」
「え? ……って、あぁっ!」

そこにいたのは、ヒゲ面で眼鏡の、服装がどこぞのチンピラのようなちょっと怪しげな男の人でした。
けれど、ハボックさんはその人の顔に覚えがありました。

「ヒューズ中佐!」
「おう、久し振りだな、少尉」

そうです。なんとその人は、ハボックさんと同じく軍人だったのです。
しかも地位は中佐。
そういえば大佐よりひとつ下の地位になるんだな、などと頭の片隅で思いながらも、よく知る人の久々の笑顔につられてハボックさんも笑みを浮かべました。

「どうしてこんなところに?」
「ああ、ちょっと視察でな。ついでにお前さんの顔も見られたらとは思っていたが、まさかこんなところで会えるとはな」

ハボックさんは元々は東方に配属されています。
現在この地方に来ているのは、この地で一年ほどの研修を受けるようにと命令を受けたからなのです。
ヒューズさんは東方ではなく中央勤務なのですが、以前から何かと交流があったためかハボックさんはヒューズさんにだいぶ気に入られているようで。
配属先が全く違うのに、ハボックさんがこちらに出発するときわざわざ見送りに来てくれたことをハボックさんは思い出し、改めて懐かしさがこみあげてきます。

「……それよりハボック少尉、聞いたぜ?」
「何をですか」

悪戯っぽく細められたヒューズ中佐の目に、ハボックさんは思わずなにが来るかと構えてしまいました。


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紗月 [MAIL]