日記のような語りのような。

2004年05月10日(月) 君の帰るところ5 <ハボック&?>

ああそうかなるほど、とハボックさんはまじまじとムウさんの顔を見つめてしまいます。
そういえば確かに軍内で配られる冊子などに顔写真が載っていたかもしれない、などということまで思いだして。
そんなハボックさんの目の前で、ムウさんもまた、同じようにハボックさんの顔を眺めていました。
そうして、2人同時に口を開き――。

『どおりでどこかで聞いた名だと思った』

同じタイミングで同じことを呟き、ハボックさんとムウさんはさらに目を合わせてしまいました。
そこから数秒止まったかと思うと、今度はまた同時に吹きだします。

「ははっ、そうかまさかあのフラガ大尉が隣に住んでるなんて思いもよりませんでしたよ」
「あー、いや俺だってなぁ、話に聞いたハボック少尉とこんなところで会えるなんて思ってもみなかったさ」
「あれ、そういえば大尉、どうして俺のこと知ってたんスか?」
「お前さんのことはヒューズ中佐から聞いてたからさ。知ってんだろ、マース・ヒューズ中佐」
「ああ、中佐から……」

マース・ヒューズ中佐は、ハボックさんの直接の上司ではありませんが、何かとお世話になっている人でした。
ヒューズ中佐はハボックさんを気に入っているらしく、ハボックさんはよく飲みになど誘われるのです。

「そっちに面白い奴がいる――ってな。何かと話題に出てたから一度話をしてみたいと思ってたんだが。まさか隣人が本人だとはな」
「俺だってあんな有名人が猫の飼い主探しでポスター貼り出すなんて思ってもみませんでしたよ」
「ああ、こいつのか」

ムウさんは腕の中のラウを見やります。
ポスターは近所と駅前の目立つところに何枚か貼っただけなのですが、まさかハボックさんが覚えているとは思わなかったのでしょう。

「あれ、結局飼い主は見つかったんですか?」
「……まぁ、見つかったは見つかったんだがな。色々あって、そのまま俺が飼うことになったんだ」

半ば誤魔化したような返答に、ハボックさんも「へぇ〜そうなんですか」と納得せざるを得ませんでした。
なんとなく、突っ込んで聞いてはいけないような気がしたのです。


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紗月 [MAIL]