日記のような語りのような。

2004年05月09日(日) 君の帰るところ4 <ハボック&?>

そのときです。

みゃあ

下の方から聞こえた鳴き声にハボックさんが部屋の中を見ると、ロイが部屋から玄関に降りてきたところでした。
どうやら玄関先での騒動に気づいて寄ってきたようです。
ハボックさんが開けたままの扉からロイはそのまま外に出ようとしましたが、玄関から出る直前にハボックさんがロイを抱き上げました。

「大佐、ダメですよ勝手に外に出たら」

外に出ようと思ったところを邪魔をされて、ロイはみゃあみゃあと抗議の声を上げました。

「わ、いたたたた、痛いっスからマジ、やめてくださいって大佐っ」

腕の中で思いきり暴れて爪を立てるロイに、最近ロイのワガママに慣れてきたと思っていたハボックさんも慌てます。
どうにかロイが落ち着いた頃には、ハボックさんの腕は傷だらけ(というかボロボロ)になっていました。
流石のムウさんもこれには口を挟めなかったようで、腕の中のラウと共に黙って1人と1匹の様子を眺めていました。

「お前さん、まさか……」
「はいっ?」

少し考えこんでいた様子のムウさんが首を傾げながら何か云いかけ、ハボックさんだけでなくラウもロイもムウさんを見上げました。

「ジャン・ハボック少尉、か?」
「はい、そうっスけど」

なぜムウさんがそれを、と思ったところで、ハボックさんはまた「あ」と呟きました。
ムウ・ラ・フラガ――そういえばこの名には覚えがあったような、と考えたことが以前にもあり。
そうしてやっと、今になって思いだしたその名は。

「まさかアンタ……じゃなくて、あなたは、ムウ・ラ・フラガ大尉っスか……?」

聞いたことがあるはずです。
軍内でも名高いエースパイロットのムウ・ラ・フラガ大尉といえば、『エンデュミオンの鷹』の二つ名を持つことでも有名です。
部署が違い全く関わりがないためにすっかり忘れていましたが、今さらながらに思いだしハボックさんはとても驚いていました。


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紗月 [MAIL]