日記のような語りのような。

2004年05月07日(金) 君の帰るところ2 <ハボック&?>

「あっ」
「うおっ」

同時に響いた声と共に、ハボックさんは動きを止めました。
ハボックさんが玄関の扉を開けた瞬間、誰かがハボックさんの家の前を通ろうとしたようです。
あわや扉とキスをするかといったところでハボックさんが止まったことで事なきを得たようでしたけれど。

「すいません、大丈夫でしたか?」
「いやいや、こっちこそ前方不注意だ、悪かったな」

そうしてやっと相手の顔を見て、ハボックさんは「あ」と思いました。
扉にぶつかりかけた相手は、なんと隣の家のムウさんだったのです。

「あの、お隣のフラガさん、ですよね?」
「ん? そうだけど……あ」

ハボックさんが云おうとしたことに、ムウさんも気づいたようです。
そう、ハボックさんの腕の中には、ラウが抱かれたままなのですから。

「これ、お宅の猫じゃないっスか?」

ラウを抱き上げたままの腕を軽く上げ、ハボックさんは首を傾げます。
当のラウはというと、大人しく抱かれたままちらりとムウさんに目を向けたものの、それ以外に何のアクションもありませんでした。

「ああ、うちのラウだが。……って、おい」

突然、1オクターブほど低くなったムウさんの声に、ハボックさんは目を見開きました。

「なんでラウの毛に足跡なんてついてんだよ」
「はぁっ?」

素っ頓狂な声をあげ、ハボックさんがラウを見やると、なるほどラウの背中には先程ハボックさんが踏みかけたときについた汚れがわずかに残っていたのです。
汚れは払ったと思ったのですが、どうやらラウの毛の白さはわずかなゴミでも目立たせてしまうようで。

「っあー……すみません」


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紗月 [MAIL]