| 2004年05月01日(土) |
君を追って <ムウラウ> |
それは、その時期にしてはあたたかい、風のとても気持ち良い日のこと。
ムウさんの休日は、ラウと遊ぶことから始まります。 そしてラウが本気で嫌がるぎりぎりまで遊ぶと、今度は部屋の掃除にとりかかります。 ムウさんの仕事にも基本的に週休2日といった休日はあるのですが、それも何かしらの用事が入って潰れることがよくあるので、一日時間が空いたときはムウさんは必ず部屋の掃除をするのです。 溜まった洗濯物を洗濯機に放りこみ、その間床と窓を拭きます。 ラウはムウさんの邪魔にならないように――というか、せかせかと動き回るムウさんを避けるように部屋の隅でのんびりと丸くなっています。
「ラーウ、お前一人で楽してるなよなー」
猫の手を借りたいほど忙しいわけではありません。 けれど自分が働いているのに誰かは何もせず気楽にしているところを見て羨ましいと思ってしまうのも人間というもので。 からかい混じりにそなセリフを云うムウさんを一瞥して、ラウがふらりと立ちあがります。
「っておい、ラウ?」
開け放した窓の外、ベランダに出るラウの後姿にムウさんは苦笑まじりの溜息をついて、脱水の終わった洗濯物を干すべく洗濯機のある洗面所へと向かいました。 洗いあがった洗濯物をカゴに放りこんで、よいしょと持ち上げ部屋に戻ったムウさんは、ベランダを見て首を傾げました。
「……ラウ?」
ベランダに出ていたラウが、しきりに隣の家との間にある仕切りを気にしているように見えたのです。 仕切りの下の部分は十数センチの隙間があって、ラウはそこを覗いていたのです。 隣の家に何か面白いものでもあるのだろうか、と不思議に思ったムウさんでしたが、次の瞬間思わず「あ」と声を漏らしてしまいました。 なんとラウが、仕切りの隙間を抜けて隣の家のベランダに入ってしまったのです。
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