日記のような語りのような。

2004年04月26日(月) 君のためなら3 <ランセイ>

けれどオリヴィエ先輩は、つき返されたお金をさらりとかわしました。

「だってアンタ、これからもあの子飼うんでしょ?」
「あ……」

確信を突かれて、ランディくんは思わず黙ってしまいました。
オスカー先輩の帰国は未定です。
そして、オスカー先輩が帰ってくるまでの間、ランディくんはセイランを飼っていかなければならなくて。
その間、どれだけのお金がかかるかはわからないのです。

「だから、養育費くらい私が払ってあげるよ。アンタがあの子飼うことになった原因は私にだって充分あるしね」
「で、でも……」
「いいから気にしなさんな。私はあとでオスカーからたっっぷり絞りとっとくから」

茶目っ気たっぷりにウインクをしてみせるオリヴィエ先輩に、ランディくんも少しだけ気が楽になったのか笑顔をみせました。

「あ、そういえば猫見せてよ、猫。私まだ見たことないんだよね」

そう云われて初めて、ランディくんは玄関で立ち話をしていたことに気づきました。

「わ、すいません上がってください。今、お茶を出しますね。紅茶でいいですか?」
「そんな気を使わなくてもいいのに〜。でもま、ありがたくいただこうかな。ストレートでお願いね」
「はいっ」

オリヴィエ先輩を部屋に案内してから、ランディくんはキッチンへと向かいました。
けれど、思い出してキッチンからひょっこり顔を出します。

「セイランさんなら、多分ベランダにいると思いますよ」
「りょーかい」

キッチンの棚の奥から、ランディくんはいただきものの紅茶を取りだしました。
これはお隣さんからもらったもので、ランディくんも一度だけ飲んでみましたがとても美味しい紅茶だったのです。
これならばきっと食にうるさいオリヴィエ先輩でも満足してくれるだろうな、と思いながら、ポットからお湯を注いで紅茶をいれます。
すると、部屋の方からオリヴィエ先輩の声がしました。

「ねぇ、ランディ」
「はい、ちょっと待っててください」
「や、別に急がなくてもいいんだけどさ。――これってどっちがセイランなの?」
「……え?」


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紗月 [MAIL]