日記のような語りのような。

2004年04月21日(水) ひと休み。

 ※『仔猫物語。』本編とは無関係です。


  <陽のあたる場所> その1

気がついたら、ぼくはここにいた。
庭園とかいうとこの茂みの中の、小さな箱に。
ぼくを最初に見つけたのは、お日様みたいにきらきらした髪の男の人だった。
その人は、ぼくを見るとびっくりしたみたいだったけど、少し困ったような顔のままぼくの頭を撫でてくれた。
そして、去り際、心配そうにぼくを見た。

――大丈夫、ついて行ったりしないから。

ぼくがいるとメイワクなんでしょう?
わかってるから。
だからぼくは、行かない。


「こっちこっち!」

ぽかぽかしてる午後、ぼくがうとうとと眠りかけたとき、頭の上で声がした。
箱のふちから顔を上げると、金色と茶色と銀色の髪の人がぼくのことを覗いていた。
三人は、ぼくのことを見て何か話していたみたいで、銀色の人が少し怒ってたけど、
でも最後にはその人が折れて話がまとまったみたいだった。
 ……一体なんだったんだろう?

そのあと、三人は毎日のようにぼくのとこに来た。
他にも、色んな人がぼくの所に来た。
すごくすごく、楽しかった。

だけど、みんな帰っていく。
帰るところが、みんなにはあるから。

ひとりはさみしくないよ。
けど、誰かが来て、そのあと周りがしーんとなるのは嫌。
そのときだけは、さみしくなるんだ。
だから、どうせどこかへ行っちゃうのなら、最初からぼくの所に来ないでよ。
ぼくはちょっとだけそう思うんだ。



ふわふわ、ふわふわ。
ゆっくり揺れる、ぼくの身体。

――優しい夢を、見たような気がする。


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紗月 [MAIL]