※『仔猫物語。』本編とは無関係です。
<陽のあたる場所> その1
気がついたら、ぼくはここにいた。 庭園とかいうとこの茂みの中の、小さな箱に。 ぼくを最初に見つけたのは、お日様みたいにきらきらした髪の男の人だった。 その人は、ぼくを見るとびっくりしたみたいだったけど、少し困ったような顔のままぼくの頭を撫でてくれた。 そして、去り際、心配そうにぼくを見た。
――大丈夫、ついて行ったりしないから。
ぼくがいるとメイワクなんでしょう? わかってるから。 だからぼくは、行かない。
「こっちこっち!」
ぽかぽかしてる午後、ぼくがうとうとと眠りかけたとき、頭の上で声がした。 箱のふちから顔を上げると、金色と茶色と銀色の髪の人がぼくのことを覗いていた。 三人は、ぼくのことを見て何か話していたみたいで、銀色の人が少し怒ってたけど、 でも最後にはその人が折れて話がまとまったみたいだった。 ……一体なんだったんだろう?
そのあと、三人は毎日のようにぼくのとこに来た。 他にも、色んな人がぼくの所に来た。 すごくすごく、楽しかった。
だけど、みんな帰っていく。 帰るところが、みんなにはあるから。
ひとりはさみしくないよ。 けど、誰かが来て、そのあと周りがしーんとなるのは嫌。 そのときだけは、さみしくなるんだ。 だから、どうせどこかへ行っちゃうのなら、最初からぼくの所に来ないでよ。 ぼくはちょっとだけそう思うんだ。
ふわふわ、ふわふわ。 ゆっくり揺れる、ぼくの身体。
――優しい夢を、見たような気がする。
|