日記のような語りのような。

2004年04月19日(月) 君のいる風景5 <ロイ&??>

――ラウ、とは?

私にはそれを問う間もなかった。
ただひとつ云えることは、そのときの私は本当に自分の世界しか知らなかったということだけで。
ここにやってきてから少しは経つというのに、目の前の二匹の存在にすら気づこうとしなかったのだから。

「……何の用だ」
「用なんてないよ。呼びたかったから呼んだ、それだけさ」
「それでは面白い奴、とは?」
「彼だよ」

突然話を振られ、内心どきりとした。
蒼い猫セイランの次にやってきたのは、ラウと呼ばれた白い猫。
私とは正反対の白。
白の中の青は、隣の深い蒼とはまた違った色合いをしていて。
なぜ彼はこんなにも静かな、けれど強い色を持っているのだろう。

「ロイ、だってさ。この家に住んでいるらしい」

セイランは相変わらず楽しげだ。
対するラウは、ただセイランの声に耳を傾けているだけで。

「事情は知らないけど、多分ここに来たのは最近じゃないかな」

……ちょっと待て。
なぜそこまで自信ありげに云い切れるのだ、お前は。
そんな意味を込めた私の視線に気づいたのか、セイランは尻尾を揺らしてやはり楽しげに云う。

「だってそうだろう? ここに住んでいて僕らのことに気づかないなんて、ごく最近に来たか全く外に興味がなかったか、それくらいしか理由にならないよ」

見事に核心を突いてきたセイランは、私の反応を伺うようにしながらもふっとラウを見た。
私もつられるようにラウに目をやり――気づく。

そうか。
そういうことか。

「……あの影は、お前たちだったのか」

数日前、カーテンに映った小さな影。
私と同等の大きさのそれは、きっとこんな風にこの家のベランダに入りこんできたセイランかラウ、どちらかの姿だったのだろう。
彼らがここに来るのは、おそらく示し合わせてのことではなく時折気が向いたときだけのことなのだろう。
だから、いくら待っても運が悪かったためか彼らの影を見ることは叶わず。
そして今日、こうやって運良く彼らに出逢うことができたのだ。


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紗月 [MAIL]