日記のような語りのような。

2004年04月18日(日) 君のいる風景4 <ロイ&??>

「先客が、いたようだね」

私とハボックの家とを交互に見、蒼い猫はやはり楽しげな顔をしていた。
見たことのない深い蒼。
――もしかして、こいつはかなり珍しいのかもしれない。
そう思いながらも、彼の発言に対し私はひとつ疑問をおぼえた。

「……先客?」

それは私のことだろうか。
だとしたらその表現は間違っている。
ここはハボックの家で私の住む家でもあるのだから、彼の表現は根本から間違っていることになる。
――むしろお前が侵入者だろう?
私の視線の意味に気づいたのか、蒼い猫は驚いたように首を傾げた。

「違うのかい? ああ、それは失礼。まさかこれ以上同類が増えるなんて思ってもみなかったものだから」
「私と君が? ――同種ではあっても同類ではないだろう」

どこをどう見てもタイプが違う。
私も大概性格が悪いという自覚はあるが、彼のそれはまた違った色を帯びているような、そんな気がした。
単に、私のこれまでの経験によって得た直感だけれど。

「君は、ここの家の?」

この家の猫なのか。
彼の云いたいことはわかる。
が。
私がハボックの飼い猫だと?
……なにをふざけたことを。

「拾われてはやったが奴のものになった覚えはないな」

期待外れの返答だったか、それとも予想外だったのか。
蒼い猫は思わず口をつぐんだようで、私はその反応に少しだけ満足した。
しかし。

「……っは、それはいい」
「は?」
「君の意見には僕も賛成だよ。そうだね、僕らは所有物じゃない。こうして考えて生きているのだから、物扱いは失礼だな」

彼のその後の反応は私の想像した範疇を超えるもので。
今度は私が言葉を失う番だった。
一体何なんだ、こいつは。
……おや?
そういえば、先刻彼はもうひとつ重要なことを云っていなかっただろうか。
私は『同類』という言葉に反応してしまったけれど。
確か――。

「僕の名はセイラン。君は?」
「ロイだ。ロイ・マスタング」
「ふぅん。ロイ、ね……」

セイランは楽しげに云うと視線を私から大きくずらした。
私の後ろの、もっと後ろを見るように。
そうして。

「ラウ!」

……この向こうに、誰かいる?

「ラウ、いるんだろう? 来てごらんよ、面白い奴がいるよ!」

その名を、私は知らない。


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紗月 [MAIL]