日記のような語りのような。

2004年04月16日(金) 君のいる風景2 <ロイ&??>

――あれは一体何だったのだろう?

あれを見てからもう数日ほどが経ち、その間ことあるごとに窓に目を向けていたが、再びあれを見ることはなかった。
今日もまた私は窓のほうに身体を向けてぼんやりとしていた。

『……さ、大佐』

ハボックの声と共に身体にかかる衝撃……というか、重み。
気づけば私の身体は元いた位置より少しだけ移動しており、それによって私は自分がハボックに何をされたかがわかった。
蹴ったのだ、奴は。この私を。
いや、蹴ったというより足で押したというべきか。
どちらにしろ、この私を足蹴にするとは何たることか。
――ハボックの分際で。

『わ、あたたたた、痛いっスよ大佐!』

当然だ。
力の限り爪を立てているのだから。

『ちょ、マジ痛っ、マジ勘弁してくださいって』

ふいに私の身体が宙に浮く。
流石に蹴り上げはしなかったなどと関心しながら、私は目の前にきたハボックの顔を睨みつけた。
ハボックが小さくため息をつく。

『……アンタ、そんなに外見たいんスか?』

どうやらハボックは、私が最近窓の方ばかり見ているのを奴なりに気にしていたらしい。

わけがわからない、といった風に首を傾げたものの、奴は私を持ち上げたまま窓に向かうと、少しだけ窓を開けその前に私を降ろした。

『出たいなら出てていいですけど、落ちないように気をつけてくださいよ? 落ちても俺、探しに行きませんからね』

私がそう間抜けなことをするわけがなかろう、馬鹿者。
窓は、私がやっと通れるほどにしか空けられていなかった。
それでも十分に通り抜け可能なのは私が猫だからだろうとこのときばかりはしみじみ思う。
ベランダへと出た私に、部屋の中からハボックが声をかけた。

『あー俺、ちょっと買い物行ってきますね』

わざわざ反応するよりも、私は初めて出たベランダの隅々まで眺めるのに夢中だった。
玄関の扉がゆっくりと閉まる音を、私は遠くに聞いていた気がする。


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紗月 [MAIL]