日記のような語りのような。

2004年04月15日(木) 君のいる風景 <ロイ&??>

……暇だ。
家主のハボックが仕事に出かけると、この家にいるのは私だけになる。
それはそれで別に構わないのだ。
元々何かに束縛されたり始終干渉されたりするのは好きじゃない。
だから、今のこの現状はむしろとても好ましいことであって。
そう、好ましい――はずなのに。
ときおり、やはり少しだけ物足りなさを感じてしまうのは、無意識に以前のあの場所とこことを比べてしまうからだろうか。


床にはハボックが同僚からもらってきたという遊び道具が転がっていた。
整頓されているというよりも物の少ない部屋であったが、私が来てから何かと物が増えるようになったと、そういえば以前ハボックがぼやいていた気がする。
足先で遊び道具を軽くつついて、私は床に寝そべった。
そしてぼんやりと窓を見る。
ハボックは家を出る際、必ずカーテンを閉めていく。
とはいっても、閉めるのは2枚あるうちの薄い方で、それがあったところで向こうの様子がよく見えないだけで光は入ってくるので生活に支障はない。
外の風景の変化によって、窓から差し込む光の加減も変わる。
それを見るのが好きだった。
暇なときはこんな風に寝転がって窓の外を見ているに限る。
うとうとしているだけで、勝手に時間が過ぎてくれるから。

そうしてどれくらい時間が経ったろうか。
ふいに。
ひょっこりと。
何かの影が、現れ、消えた。

それは一瞬の出来事だったのだろう。
私はすぐに身を起こして窓をまじまじと見つめたが、もうそこに影が映ることはなかった。

――なんだ。
なんだ、今のは。

鳥ならば上から下、または下から上、でなければ窓の中央くらいに影ができる。
人間ならば、もっと大きな影になる。
今見えたものは私の視線上、つまり窓の一番下のあたりにあって、むしろ大きさとしては私に近いのではないのだろうかと思えるもので。
また映らないだろうかとしばらくカーテンを見つめていたが、もうそこに何かが映ることはなかった。

試しに、気配をうかがいながらカーテンの向こう側を覗いてみたが、そこにはがらんとしたベランダの、コンクリートの床が広がっているだけだった。


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紗月 [MAIL]