日記のような語りのような。

2004年04月10日(土) 君に会いたい3 <続・君がいるから>

「――ということなんですけど、いいでしょうか?」
「別に構わないっちゃ構わないが……」

うーん、とムウさんは首を傾げました。
キラくんからのお願いは決して難しいことではなかったのですが、なぜそれをムウさんに頼むのか、その理由が全くわからないのです。

「しっかし、わざわざお前さんを経由してまでそんなこと頼むなんて、なんでかねぇ」
「すいません……。アスラン、僕にも理由を教えてくれないんです」

その頼みをアスランくんから聞いたときはキラくんも驚いたのです。
けれどいくら理由を聞いても、アスランくんは困ったような悲しそうな顔をするだけで教えてくれませんでした。


そんな風に、それぞれが適度に悩み始めて数日たったときのこと。
キラくんとアスランくんは、約束どおりムウさんの部屋の前まで来ていました。
玄関のチャイムを押そうとキラくんが手を上げ、けれどつい戸惑ってしまって一度手を下ろしたとき、明るい声がアパートの廊下に響きました。

「あれ、どうかしたんですか?」

そこにいたのは、キラくんたちより少し年上の男の子――ランディくんでした。
突然声をかけられ驚いたキラくんたちでしたが、ランディくんの満面の笑みにつられるように少し笑いました。

「いえあの、こちらの家の方にちょっと用事があって」

キラくんがムウさんの家の扉を指差すと、ランディくんは納得いったようにうんうんと頷きました。

「フラガさんのお友達ですか? オレ、ここの一番奥に住むランディっていいます」
「友達というか……まあ、そんな感じですね。僕はキラ、こっちはアスランです」

ランディくんはムウさんの家の扉を見上げました。

「フラガさんなら、今多分ラウさんと遊んでるんじゃないかな。家にはいるはずですよ」
「ありがとうございます」

素直に頷くキラくんとは対照的に、アスランくんはランディくんの発したひとつの言葉に反応していました。

「ラウ……?」
「ええ、ラウさんはフラガさんの家の猫なんです。真っ白ですごく綺麗で、あんまり人に懐かないけど、いい子ですよ」

ランディくんが人好きのする顔でにこりと笑うと、アスランくんは少しだけ困ったように笑って返しました。


 < 過去  INDEX  未来 >


紗月 [MAIL]