日記のような語りのような。

2004年04月09日(金) 君に会いたい2 <続・君がいるから>

突然の声にキラくんが顔を上げると、ちょうど彼らのいたテーブルの横に立っていたのはキラくんと同い年くらいの少年でした。

「アスラン……アスラン・ザラ?」

その名前に、ムウさんがふと首を傾げました。

「アスラン・ザラ……ザラってもしかして君、パトリック・ザラの息子の?」
「あ、はい」
「あーそうかそうか、君が噂の新人のエースくんか。なるほどね」

ムウさんの言葉に、今度はキラくんが首を傾げました。

「フラガさん、アスランを知っているんですか?」
「知ってるも何も、こっちじゃ有名人だよ、彼は。幹部の息子で、今年入隊したばかりだってのに技術はプロレベルってな」

そういうお前たちはどうなんだ、とさらに重ねて尋ねるムウさんに、キラくんは迷ったようにアスランくんを見上げ、アスランくんと少しだけ頷きあいました。

「僕たち、幼なじみなんです。小さい頃に家が隣同士で、アスランが引っ越すまでは、ずっと一緒にいたんです」
「じゃあ、お互いに今は軍人だってのは知らなかったのか?」
「ええ……まさかアスランが軍に入るなんて、思ってもみませんでした」
「それはこちらの台詞だ、キラ。お前がこんなところにいるなんて、俺だって思ってなかったさ」

しばしキラくんとアスランくんを面白そうに眺めていたムウさんでしたが、ふいに時計を見上げて慌てて立ち上がりました。

「俺、時間だからもう行くわ。積もる話もあるだろうしな。ごゆっくり」
「あ、はい。すいません」

せわしなく去っていったムウさんと入れ違いに、キラくんの正面の席にアスランくんは座りました。
さっきまでとは少し違う真剣な顔に、キラくんは驚いてアスランくんを見つめてしまいます。

「キラ……さっきの、あの人との話なんだけど……」
「え?」
「猫がどうっていう……」

いつもはっきりと話すアスランくんが、今日は妙に歯切れの悪い物言いをしていてキラくんはおや、と思いました。

「猫? ああ、フラガさんが飼ってる猫のこと?」
「それ、どういう猫だって?」
「真っ白い毛で青い瞳だって云ってたけど」
「――キラ」

アスランくんの思いがけず真剣な瞳に、キラくんは少し驚きました。

「ちょっと、頼みたいことがあるんだ」


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紗月 [MAIL]