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2006年04月26日(水)  身に染みて
私たちは、カウンターに座ってずっとお酒を飲んでいた。

その人は、「考えるということは悪いことじゃない」と言った。
彼は今、奥さんと別居している。その理由は何があったのかはっきり言ったことはないけれど、私は薄々気づいている。あんなに娘さんのことを可愛がっていたのに、どうして別居なんかに踏み込んでしまったのだろう。

「人にはいろんな事情があるからね。あなたにも事情があるから悩んでいるのだろう」と彼は言った。そうだ、私にも私なりの理由があっていろいろと悩んで、考えている。
男と女って結局何なんだろうと思う。だけど、それにはきっと正しい答えはなくて、自分が納得できる自分なりの理屈を見つけない限り、私は一生そんなことを考え続けてしまうだろう。
自分の腰を落ち着けられる理屈を見出すことが出来れば、私は一歩大人になるだろう。退屈な大人と言われてもかまわない。私は早く大人になりたい。

「僕が思うに、あなたは正直な人だし、バランスのいい人だから、きっと一番いい結論を出せると思うよ」と彼は言った。
「あなたは、私の仕事をしている姿しか知らないのに?」と聞くと、「仕事であってもプライベートであっても人の本質は変わらないものだと思うけど」と彼は答えた。
人の本質か。私は考えた。私の本質。

「彼氏を大切にしなきゃね」
と、その人はいつも最後は私にそう言う。

彼は、以前に私と一緒に仕事をして、今は別の会社に移り、そして私ももうすぐ彼と出会った会社を辞めようとしている。また飲みに行こう、と言い合って私たちは別れた。

「彼氏を大切に」彼の言葉が身に染みて痛かった。
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