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| 2006年04月03日(月) あなたたちを尊重したい |
| 今年の新卒入社者の面倒を見ることになった。 いくつかある役割のうち、好きなのを選んでいいよと先輩に言われたけど、結局、その中では自分が一番下だし、将来的に長くこの会社にいるわけではないので、あまり新卒の子と関わっても仕方ないという頭もあったので、初期段階の導入オペレーションをする役割をやらせてもらうことになった。 新卒で入社をした人たちは、どこの配属にいくにせよ、一度は数週間の営業同行の研修を受ける。営業担当に同行をさせてもらい、名刺の渡し方やアポイントのとり方、訪問の仕方など基本的なことを勉強するのだ。まだきっと、打ち合わせの運び方や折衝の仕方まではわからなくていいのだろうけれど、実際に企業の人と話をする場に行ってもらい、雰囲気だけでも感じてもらう、という主旨らしい。 彼らにとっては、初めての「社会」になるわけだ。 きっとわくわくしているだろうし、緊張や不安もあるだろう。 入社式の一番後ろの壁にもたれて、彼らの背中を見守っていた。 私が所属している部に配属になる新卒者は決まっているわけだけど、営業同行の研修期間だけは、自分の配属部署を避けてグループ分けされることになる。 どこの部署でも研修の内容は変わらないけれど、今のうちにいろんな社内の人間と接点を持っておくのもひとつの利点になる。ひとりでクライアントを任されるようになると、企業が大手であればあるほど別のセクションとの営業担当ともやり取りが生じるからだ。 それに、配属されるまでの研修期間とのメリハリも感じられる。 私の部署には12名の新卒者を迎えることになった。 私は営業の途中で入社式を少しのぞき、また営業に出かけ、夕方になって新卒者を迎えに本社に戻った。 ミーティングルームCという部屋に12名の新卒者が座って待っている。 長い長いオリエンテーションに疲れたのか、出社初日に疲れたのか、彼らは少し元気がないように見えたけど、私がこれからどんな風に営業同行の研修が始まるのか説明すると、彼らは私の一言一言を漏らさぬようにメモに留め、懸命に耳を傾けていた。 新しい人間を迎え入れて、また会社が動き始める。ほとんどの会社が新しい年を迎える。 それをこんな風に身近に感じることが出来て、私はとても新鮮な思いがした。 私自身は、新卒入社という経験をしたことがなかった。 学生の頃から企業に勤めて、インターンという形をとって社会人になったからだ。新卒入者でないというわけではないだろうけれど、彼らが内定を得るまでに経験した苦労を、私は知らずに今を迎えている。 就職活動をして、入社説明会に行き、いくつもの面接を行い、内定をもらって、入社すれば同期がたくさんいるという環境は私になかった。 だからこそ、彼らはよく頑張ったなと、私は思う。22歳やそこらで会社を選ぶ、仕事を選ぶ、生活を支えるためのサラリーをもらう仕事を選ぶ、どこかの会社に自分は受け入れてもらえるのだろうか、自分は社会に適合していけるのだろうか。あまり情報や経験のない中でそれらの決断をしなければならないということは、大変な苦労だったろうと思う。 彼ら自身ももしかしたら、今でも半信半疑でこの場にいるのかもしれない。 本当にこの会社でいいのだろうか。本当にやっていけるのだろうか。 先行きは正直、不透明かもしれない。自分次第と言われても、何をどう頑張るのかよくわからない。 そんな気持ちではないだろうか。 だからこそ、この場に集まった彼らを私は尊重してあげたいと思う。 私自身の出来る限りのことをして、彼らの安心に変えられればいいと思う。 ミーティングルームで、私はたくさんのことを彼らに説明しなければならなかった。 だから細かく、質問はないか不明なところはないか、その都度聞いてやった。 「今のところでわからなかった部分はありますか?」 唐突にグループ分けされた彼らたちは、お互いにどれほど親しいのか、私にはそれはわからない。だけど、そこここで彼らは隣り合った者に、お互いのメモを見せ合い、小さい声で話をして確認をしている。 わからないことがあれば、手を挙げればいいのだ。私はいくらでもわかるまで説明する。何がわからないのであればそう言ってもらって構わなかった。 「わからないことは聞いてね。自分たちだけで確認しあわず、今、私に聞かないとずっとわからないままだよ。」 そろそろと一番後ろにいた男の子が手を挙げた。 全員が一斉に彼を振り返って、手を挙げた男の子は律儀に席を立ってしどろもどろに私に訊ねた。 私が彼らにわかって欲しいことは、自分たちの中だけで憶測で判断しないで欲しいということ。必ず、私に何でも聞いて欲しいということ。どんな小さなことでもいい。いくら私が忙しそうにしていても、新人の面倒を見ることが、私の最優先の仕事なので、気を使わずに声をかけて欲しいということ。そして、その上で理解できたことやわかったことなどは、お互いに共有をして欲しいということ。 こんな質問、してしまうと迷惑かな? 笑われるかな? 恥ずかしいかな? と、自分で勝手に判断して押し込めてしまわないで欲しいのだ。 それを話して、その日は解散した。 彼らは、明日から、私たちのフロアに出社してくる。 楽しみだ。 |
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