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2006年03月29日(水)  愛でる幸せ
夕方、いくつもの会社が営業を終えてビルからたくさんの会社員やOLが出てくる。帰り道、黒のスーツばかりを着た人たちが駅を目指して同じ方向に歩き出す。私もその群れにまざって歩き出す。
道に沿って並ぶ桜の花びらの下を、黒のスーツたちは歩いていく。
どこまでも並ぶ桜の樹。みな、無言で駅に向かうけれど、時々誰かが桜を仰ぎ、歩く速度を緩める。




うちのマンションのある通りの両隣の通りには、桜の樹がたっている。
会社からの帰り道、通りをひとつ曲がらずに桜ポイントの道を通ってみる。

真っ暗な空に道の真ん中にむかって桜の花びらが手を広げるように咲き誇っている。やはり、桜はたくさん樹が並んではえていると見栄えがいい。花びらがたわわに実って、ゆらゆらと揺れている。夜空に向かって携帯電話を突き出し、写真に収めようとする学生たちがいた。

私は、桜の咲く頃、自分を取り戻すようだ。
冬の寒い間、気持ちが鬱屈して何もかもが無意味に思える。自分でいることが嫌になる。
だけど、桜の咲く頃、私は外に出るのが楽しみになる。
ぼんやり桜を眺めて、ようやく春が来たなと感激することが幸せに思える。
恋人に、「そこの通りの桜、見た? 満開だったよ」と、夕飯を食べながらそう聞くと、「いつも寄り道して見てるよ。きれいだね」と、私と同じように桜を見るために一本奥の通りを歩いているようだった。
好きな人と同じものを見て美しいと思う幸せ。
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