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| 2006年03月06日(月) きりりとした緊張感 |
| 今日、大きな工場の中に入って、働く人たちをぼんやりと眺めていた。 普段、かぶることのないヘルメットをかぶって、コンクリートの地べたに簡単に書かれた横断歩道のしましまや、心許ないくらい直線ではない2本の白い線の間だけを歩かされた。 その通路以外は歩かないで下さい。 機械や製品には手を触れないで下さい。 思わぬ怪我をしてしまいますから、と前もって言われた。 時々、カンカンカンと硬くて高い音が聞こえたり、 突然、耳をつんざくほどの機械のうなる音が聞こえたり、 どこかでアラームが鳴って赤や緑のランプが点滅していた。 私はその度に、首をまわして音の鳴るほうに目をやった。 そこで働く人たちは黄色のヘルメット。見学者である私のヘルメットは白色。 彼らは、騒音の響くこの工場の中で、淡々と平然と働く。 うろたえる人も慌てる人も急いでいる人もいない。 ベルトコンベヤーは一定の速度で止まることなく動いていて、向こう側ではオレンジのマグマみたいな溶けた鉄が流れていた。 ここにあるすべてのものが、みな、黙々としていた。 私は、その中で非日常を感じていた。 黙々と一定のスピードで淡々と平然と働く人たち。 突然鳴り出す音にも、突然流れるマグマにも、慌てることなく働く人。 私の日常からは、それが非日常的なものを感じた。 彼らは、だから非日常と感じる私の存在にも気に留めることなく、ただ黙々と。 自分の持ち場を、自分の仕事を、自分の責任を、ただこなすだけ。 けれど、淡々とした風景にも、自分のした仕事がこの大きな製品の一部になることの緊張感をはらんでいる気がする。自分が手を抜いてしまえば他の工程でどれだけ素晴らしい仕事をしたとしても、出来上がったものは製品にならない。 どこかでピリッとした緊張感を感じる。 「黙々と、淡々と」はどこか熱を帯びた集中力すら感じさせる。 静かな緊張感をたたえる彼らを職人と言うのかもしれない。 |
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