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2006年01月17日(火)  記憶力
私の記憶力はあまりよくない。
人の名前は覚えられないし、顔だって覚えられない。
だけど、こうして何人もの人に出会ってサービスをする営業の仕事をしていられるのは、多分、誤魔化すのが上手だからだと思う。誰だっけ?名前なんだっけ?って、相手の話を聞きながらこっそり探すのが上手いからだと思う。
それに、あまりにも誤魔化してばかりなので、周りの人の怒る気も失せてしまうのかもしれない。

私の記憶は、だからとても都合がいい。
悪いことが起こったときなんてそこだけぽっかり記憶がないし、嫌だったことも、あのときどれだけ嫌な思いをしたかとか、どれだけ泣いたかとかすっかり忘れてしまった。
私はありがたいことに都合よくつくられているみたいだ。

ところどころ、私には記憶が定かではない時期がたくさんあって、たとえば大学生の頃、学校で何をしたかなんて、あまり覚えてない。あそこで遊んだ、こんな恋人と付き合っていた、バイトが楽しかったっていうのは覚えているのに、学校でのエピソードがひとつかふたつくらいしか残ってない。4年間もいたというのに。

だけど、そんな私の中にも残された思いでは、やがて時間をかけて段々美化されていく。美化されることは悲しいことだと思う。現実に起こった出来事でさえ、自分の気のすむように捻じ曲げられてしまっている。本当にあったことかどうかさえ、だんだんわからなくなってきた。
私は、あのとき本当にそんなことを言っただろうか。
あの人は、あのとき本当に私にそんなことをしてくれたのだろうか。
現実を忘れてしまうことは悲しい。事実が捻じ曲げられることは悲しい。
自分を慰めるために、なかったことがあったことになるのは、とても悲しい。
誰かと昔の話をしていると、自分の記憶のあやふやさがとてもよくわかってしまう。
それに気づいたとき、なんて悲しいんだろうと自分で自分に思う。

毎日毎日、大事にしてきた私の記憶は、毎日毎日塗り替えられていって、やがて本当のことはどこにもなくなっていくようだ。
事実と向き合えない人間なんて悲しいだけだと思う。

悲しいことは全部忘れたよ。
嫌だったことは全部忘れたよ。
キレイで楽しくて嬉しい思い出だけ、私の中に残っていくのだろう。
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