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2005年08月17日(水)  正常とは
耳のない女性を見た。

ファーストフードのお店でトレーを持って席を探していたら、正面のテーブルに座っていた女性の顔に違和感を覚えた。後ろで髪の毛が結わえらていて、ワンピースを着ていた。その女性の顔に、一瞬違和感を覚えた。私は、彼女から通路を挟んだところのテーブルに座って、椅子に座った。私の目の前には彼女の左側の顔が見えている。
気づいたのは、彼女の左耳がないということだった。
あっ、と思った。
視線を外した。胸がドキドキしたからだ。
耳があるべきところは、つるつるの肌で、茶色の傷跡のような線がすっと伸びていた。
私はもう一度彼女の左側を見た。茶色の傷跡を見て、また視線を外した。

あるべきものがないということ。
だけど、「あるべきもの」とはなんだろう。

彼女には右側だけに耳がついていた。
どうして、左耳をなくしてしまったのだろう。

私が違和感を感じたのは、両耳がなかったからだ。
だとしたら、耳が二つあることは正常なのだろうか。
耳がひとつしかないことは異常なのだろうか。
彼女は異質な人間なのだろうか。
普通とは、なんなのだろう。
片耳しかないとうことは、ハンディキャップなのだろうか。
正常であるという価値観はどこから生まれるのだろう。


私は想像力に欠ける。
片耳が残っていてよかったじゃないかと思った。
両耳がなくても片耳だけあれば聞こえるのだから、それでいいじゃないかと思った。
聞きたいものが聞こえるのであれば、耳のひとつくらいなくてもいいじゃないかと思った。
そう思う私は、きっと想像力に欠けるのだと思った。
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