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| 2005年01月25日(火) 掻きわける |
| 時間があって気が向いたときは、スポーツクラブに行って泳いでいる。 数コースしかないプールの中で泳ぐ人がひしめき合っている。 小学生の頃、スイミングスクールに通っていた。 毎週土日の午後、バタ足をしてクロールを泳いで平泳ぎをして、背泳ぎの練習をしてそして1キロ泳ぐ。泳ぎ終わったものから休憩をする。たっぷり休んだら今度はタイムの測定をする。そして今度は1.5キロから2キロほど泳いで、泳ぎ終わったものから帰っていく。 私は、スポーツはあまり得意なほうではなかったけれど、水泳だけは誰よりも速かった。 泳いでいるとき、頭の中は無心になる。 ただ指先に集中して、太ももの動きに集中して、水の抵抗に集中して、心は無心になる。その動きはルーティンなものだけれど、体は確実に前へ進む。少しでも体が乱れたならスピードはどんどんと落ちていく。 頭を下へ折り曲げたら、自分のはいた空気の泡がつま先に向って流れていく。 ちりちり、ちりちりと水の中で音がする。 水泳は孤独なスポーツだと思う。 だからこそ、私は好きなのだろうと思う。 夢の中でも私は泳ぐ。 ここは水の中なのかそれとも外なのか、それはよくわからない。 けれど、体には抵抗を感じ、それを掻き分けなければどうにも前へ進めない。 どちらが進むべき方向で、周りがどちらへ向って流れているのかさえもわからない。 だから私は、上へ上へと掻き分けることにした。 真上には、水面に太陽が反射されてきらきらと輝く美しさがあるような気がしたから。 泳いで泳いで泳ぎきったら、幼い頃よく見た風景が現れた。 私はよくそこで、ひとりでぼんやりとしていたのだ。 何をするわけでもない、友だちとも遊びたくなくて、親の顔も見たくないとき、よくその場所でひとりぼんやりとしていたのだ。 大きく肺で呼吸をして肩を上下させて私は水の中から体をすくいあげた。 泳ぎきった場所にあったのは、遠い時間の中でよく過ごした場所だった。 私は大きな樹の下に腰を下ろして、幹に背をもたせて眠る。 夢の中でも眠る。 そんな夢を見た。 |
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