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2004年12月04日(土)  悪魔の子
昨日、新宿の駅で電車に乗る恋人を見送る予定だったけれど、結局、仕事中にそんなことをする暇もなく、一通のメールを残して彼は行ってしまった。


最近、あまりよく眠れない。
私は、ある一定期間をおいて不眠気味になる。眠りが浅かったり、まったく眠れなかったり、その期間はだいたい一週間くらいで、一ヶ月から二カ月おきにやってくる。その動機は、ストレスとか仕事の忙しさとはあまり関係ないようだ。
まったく眠れず、仕事に行くこともある。真っ暗な部屋でちらちらと光るテレビを見ながら、冬の遅い朝を迎える。または、おかしな夢を見る。決まって不気味な夢だ。鳥肌が立つほどの怖ろしい夢だ。

人間の子供くらいの悪魔が、窓から外に飛び降りる。
彼は、地面に叩きつけられ、足が反対側に反り返っている。
骨が砕けて脳みそが飛び散っている。
体をくねくねさせながら起き上がる。
悪魔の子は、体に痛みを与えることによってその体を強くする。
再び、二階に上がってきた悪魔の子は、先ほどよりも少し体を逞しくさせていた。
何度か二階から飛び降りる。
不気味な笑みさえ浮かべ、嬉々として二階から飛び降りる。
飛び降り、骨が砕けるほど、彼の体はひとまわりふたまわりと大きくなる。
その音が、耳にこびりついて離れない。
体が重力にしたがって砕ける音。

人間たちは、そんな悪魔を遠まわしに見つめながら、耳を塞ぐ。眉をひそめる。叫び声をあげる。悪魔がそばを通り過ぎるたび、目を合わせないようにと顔を覆う。

私は、悪魔と目をあわせないようにしながらも、砕ける音がするたびに一階を見下ろす。
どれだけその体がおかしな曲がり方をしているのか、脳みそがどんな風に飛び散っているのか、割れた頭蓋骨はどんな風になっているのか、それを見たいがためだ。

私は悪魔に追いかけられる。
悪魔はゆらゆらと揺れながら、私を追いかける。
私が走ればきっと悪魔は追いつけない。
けれど、私はなぜだか悪魔の手の届く範囲をゆっくりと走っている。
故意にゆっくりと。
捕まえられてもいいとさえ思っている。


目が覚めたら午前4時で、部屋の暗闇の向こうに私を追いかける悪魔が潜んでいるような気がした。こちらを見ているような気がした。
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