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| 2004年11月01日(月) 車を飛ばして |
| 自分は誰かを傷つけているなあと思うほど、 他人はそれほど傷ついたりしていない。 自分は誰かを傷つけているなあと思うのは、 自分で自分を慰めたり責めたりしている、ただの証拠だと思う。 私は、ずっと前、仙台に住む男性と知り合った。 今も知り合いのままだ。 異性として好きだったのか、ただの知り合いなのか、それすら、今でもわからない。 その人は、頻繁に東京に出張で来ていて、そこで私たちは知り合った。 その人が、私の部屋に泊まりにくるとき、東京の電車に疎い彼のために、私はいつも池袋までの乗換えを説明してやり、いつも池袋駅まで迎えに行った。 うちで眠った翌日は、彼と一緒に銀座に出かけ渋谷に出かけ、青山や赤坂を歩いて過ごした。 その人が、うちに泊まりに来たとき、決まって私がシャワーを浴びているあいだに、彼は恋人に電話をする。数分間だけ恋人同士の会話をして、おやすみと言って電話を切る。私は、その人がうちに泊まりに来るときは、決まって携帯電話をサイレントにしていた。 そういう付き合いが何ヶ月続き、何度彼がうちで眠ったのか、私はもう忘れてしまった。 ある夜、彼は私に電話をよこした。電話の向こうでは仙台の街の賑わいが聞こえていた。 どこかで会いたいと彼は言った。 今からすぐに会いたいと彼は言った。 車を飛ばせば数時間で東京に着けると彼は言った。 新幹線ならまだ間に合うと彼は言った。 宇都宮辺りまで新幹線で来てくれればすぐに迎えに行くと彼は言った。 どこかのホテルをとって、そこで一緒に過ごそうと彼は言った。 私は、ひどく冷たい仕打ちしか出来ずに、行かない、とただそれだけを答えた。 私は、彼と恋愛をするつもりはなかったし、彼のすべてを受け入れるつもりがなかったからだ。 今、その彼は、その出張先であった会社に出向した。 昨年、東京に出てきた。 だから、私たちはずっと身近になったにも関わらず、もうあの頃ほど頻繁には会っていない。 さて、誰が誰を傷つけて、誰がどれだけ悲しんだでしょう。 |
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