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| 2004年10月04日(月) 24人のうちのひとり |
| 鉄板の上にはいくつも肉が並んでいるのに、その肉ばっかり、触っている。 落ち込んでるから付き合ってよと言われて、ふたりで焼肉屋に行った。 まあいいやと思う。 私は、焼けた肉を裏返して新しい肉を焼いて、サラダをつついてビールを飲む。 どうして私は、彼に付き合わされてしまうのだろう。 なんで、ついていってしまうんだろう、とぐるぐる考える。 久しぶりに会った彼は、半年前には入院中の私を見舞い、一年前には私を助手席に乗せて雨の江ノ島に行った。そのまた半年前は数時間も遅れてやってきた私を怒りもしなかった。 奇跡的な偶然みたいな、それとも計算したような、完璧な半年という期間を経て、私たちは再会して一日だけ一緒に過ごし、また半年後に会うだろうと予測して別れる。 新しいサンチュを持ってきた若い女の子の店員が、彼の顔をちらっと見て彼に微笑んだ。整った顔や手足の長いスタイルは女の子の目を引く。彼は自分が女性にモテることを知っている。女性にちらちらと見られていることを知っている。微笑み返せばその子が喜ぶことを知っている。 けれど私は、そんな整った彼の顔にも、着こなした格好よい服装にも、なんの魅力も感じなくなってしまった。そして、彼が周りの女の子たちに愛想を振りまくことになんの嫉妬もなく、嫌味だとも思わない。 そして私がそう思っていることさえも、きっと彼は知っている。 なんだかんだ言って、私がこうやって彼と会うのは、きっと彼の「何でも知っている、自分のことをよくわかっている」というところが気に入っているからだと思う。 彼は鉄板の上にいくつも肉があるのに、その肉ばかり箸でつついてひっくり返す。まるで、「この肉は僕のものなんだ。誰にもあげないから」と言っているようだ。そんなにひとつの肉に執着しないでさっさと食べて、いっぱい食べればいいのに、と私は思う。 彼はなにが楽しくて、半年に一度私を誘うのだろう。 ああ、そうか。彼には食事に行ったりドライブに行ったりというデートをする女の子がたくさんいて、セックスもさせてくれる女の子がたくさんいて、だからこそ私は半年に一度だけ誘われるのだな。 週に一度、誰かと会うとすれば、半年が24週だと考えると、きっと彼は遊んでくれる女性が24人はいるということになる。その、ずっと触っている肉みたいに、その週だけは半年振りに会うその女の子に執着しているのだったりして。 それはそれですごいことだ。 |
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