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| 2004年08月31日(火) 変化を遂げながら |
| 午後9時過ぎくらいに四国を通過したらしい。 母に電話をして台風の様子を聞いてみた。 昼間からすごい風と雨だったので、台風に慣れている父や母でさえ、珍しく早めに仕事を切り上げて家に帰ってきたそうだ。スーパーにも行けなかったので、今晩はカップラーメンで済ませちゃったわと母は言っていた。 今は、中国地方に再上陸したらしく、明日の朝には東北地方に抜けるということだ。 関東はきっと今夜が雨風が強くなる頃だろう。 私の実家は四国にあって、毎年毎年台風を経験する地域だ。 幼い頃は、台風の時速が50キロであるとニュースで聞いて、まるで車並みのスピードじゃないかと、台風が国道の上を駆け抜けていく想像をしてみたり、台風の目というのは地上からだと一体どんな風に見えるのだろうと、締め切られている雨戸を微かに開け、空を見上げていたものだった。 台風で学校が休校になることを夢見て、台風で仕事を早く切り上げて帰ってきた父と遊び、台風でインスタントラーメンやカップラーメンが食べられることを喜んだ。 家の中が普段とは違う空気が流れ、締め切った雨戸は外の薄暗い明かりさえ通さず、幻想的な暗さに家中が包まれていたことを思い出す。 幸いなことに我が家は、台風からそれほど大きな被害を受けたことはない。 床上浸水とか誰かが行方不明だとか、そんなことは同じ台風のニュースでもどこか別の場所の別の出来事のように聞いていた。だからこそ、私は台風が来ることをワクワクして喜び、叱られたとしても隠れて雨戸を開け、台風で狂う空を眺めることを楽しんでいたのだろう。 今年は、いくつ台風が通り過ぎていっただろうか。 最近の東京は、肌寒さと蒸し暑さが混ざったおかしな天気だけれど、それでも台風がやってくることに、今が夏であると実感せずにはいられない。 恋人は、台風を聞くたびに私の実家の人間を心配する。 私の家が四国にあるから、私の父や母は無事だろうかと心配する。 これまではきっと、台風なんて関東を通過しないでいればきっと関心もなかったことだろうに、「台風が九州で……」なんてニュースを聞くと、「四国は大丈夫だろうか」と自分のことのように熱心にテレビを見始める。 きっと、ゴールデンウィークに彼を四国に連れ帰ったから、彼にとってはとても身近な場所になったのだろうか、身近な場所と身近な人間が住む場所になっているのだろうか。恋人にせがまれて私は実家に電話をする。「台風、大丈夫だった?」と。私はこれまで、四国が被害にあったと聞いてもたいして連絡を取ろうとしていなかったのに、彼にせがまれ私は苦笑しながらも彼の横で電話をする。彼が心配するほど、父や母や私にとっては日常茶飯事でそれほど深刻ではないのにね。 台風が関東をかすめる今夜。 私は彼と並んで窓の外を眺める。雨が窓を打ち付けてどこかの風鈴がまた狂って鳴いている。風が少し冷たくなってきて、もうすぐ秋なのだと少し淋しく思う。 もうすぐ秋が始まって、だから私たちも季節が変わるように少しずつ何かを変えながらこのまま一緒にいられたらいいと思う。そう思いたい。 秋の恋愛をしようねと言うと、彼は小さく笑った。 |
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