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2004年07月23日(金)  君は逸材だ
手相の勉強をさせて下さいという人が、この世の中にはたくさんいるみたいです。勉強熱心はよいことですね。池袋の東口のほうにはそういった熱心な方々がたくさんいらっしゃって、私も毎度毎度声をかけられるのですが、いつも時間がなくてお断りしております。お勉強のお役に立てなくて、大変申し訳ない。とか思ってるわけないじゃん。
で、その東口で私は友と待ち合わせをしていたある日。来た来た、「手相の勉強をさせて下さい」という人が。お断りするにもあまりにもしつこく、いや何て勉強熱心な人だろうと、そのしつこさにある意味敬服した部分もあるのですが、ま、手のひら見せるだけでしょと思って見せたのがいけなかった。

「ハッ。あっあっあなたの手相は……?!」なんて、勉強家の彼女は私の手相を見て大変驚いているわけです。なになに?生命線が短いのかしら?明日にでも死んでしまうのかしら?とか思っていたら、「あなたは10年に一度、いや50年に一度誕生するかどうかの逸材です。あなたは将来、この世の中を背負って立つ偉大な才能の持ち主です」とかなんとか、何て言ったかはもう忘れてしまったけど、勉強家の彼女は目を潤ませながら、もうそこで私に向って土下座をしながらはは〜〜と拝んでしまいそうなほどの勢いで私の手を握るのです。「こんな素晴らしい手相は見たことがない。他の仲間にも見せてあげていいですか」と聞くので、ヨロシイですよと答えると、今度はもっと勉強熱心そうな彼が来て、私の手をのぞきこんでは仰け反って驚いているのです。「あなたは素晴らしい人だ。あなたはご自分の才能にお気づきですか。」と言うので、いや、お気づきじゃないです、と答えると「それはいけない。これほどの才能をお持ちの方が何も知らずに無意味に過ごしているのはあまりにも勿体無い」とか言うのです、勉強家の彼がね。無意味とか言うなよと思いましたけど、はぁソウデスネ。と答えるしかなく、ああナンだか彼らは胡散臭いよと思い始めたときにはもう遅く、「ぜひ、私たちと一緒にあなたの将来を真剣に考えましょう」と声をあわせて言うので、ああこれは間違いなく宗教の勧誘だと思いました。

でも、ちょっと面白い。彼らは宗教にこの私を勧誘したいわけで、何だかんだと褒め称えてまつり上げては哲学のような屁理屈のような問答を私にぶつけてくるのです。で、私は言葉で攻撃するのはとても長けているので(どうかと思うけど)、そういう方々と議論を交わすのはとても好きだったりします。どんな方法で才能を開花させるか、そしてその才能をどんなふうに活用していくか、それを彼らは滔々と話し始めるわけですが、もっと詳しく聞かせてといくつか質問してみると彼らは途端に言葉に詰まってしまいます。それは多分きっと彼らがただの使いッパシリだから。マニュアルみたいなものを読まされて、それの通りに人を勧誘して来いって言われているのかな。自分たちでもよくわかっていないのに、よく言うよ。どうして、こんな質問にも答えられないあなた方にどうして私の将来を託せるんですか?と言うと「じゃあ、もっと詳しいものがおりますので、我々の事務所に来て下さいませんか」と言うわけ。何宗教ですか?って聞けばよかった。自分の将来に他人に割って入られたくないんで、結構です。と言うと「そう言わずにお願いします。私たちはあなたを救いたいのです」と、ちょっときもくなってきた。私のほうこそあなたたたちを救ってあげたいんですけど。

で、いろいろ柔軟な対応で話し合いを続けた挙句、けちょんけちょんに彼らのプライドはけなされて、退散しました。ちょっと女性のほうは目が潤んでしまっていたので、泣いていたのかもしれません。どんなふうに泣かせたかは、あまり具体的に書いていると友達を失くしそうなのでやめておきます。


というわけで、東京の街ではいろんなところで手相の勉強を熱心にやられている方々がいらっしゃいます。皆さんも、暇があるときは彼らの勉強の役に立ってみてはいかがでしょうか。
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