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| 2004年05月31日(月) 溜息と雨と運 |
| 帰りの電車を降りて駅の出口で空を見上げた。 雨はまだ細かい粒子のようで駅に入る人々の肩や髪をうっすらと濡らしていた。これくらいの雨なら傘がないことも気にはならないだろう。街が濡れているのかどうかさえわからないほどの暗闇をくぐって、傘を持たない私は足早に家へと急いだ。 仕事に復帰してちょうど今日で2週間が過ぎた。あっという間に過ぎてしまった。 今日は月末日で、仕事の忙しさは極まっていた。復帰したばかりの私に要求されたことは、丸一ヶ月をかけて行う仕事をこの2週間のうちに終わらせること。スピードをあげてハンドルを切ってブレーキを知らない車みたいに、私はしゃにむに働いた。営業マンは月間の売上げ目標をひとりずつ与えられている。私の行動計画と読みで言えば、確かに目標は達成されるはずだった。その計画がすべてうまくいけば、私は2週間の仕事を1ヶ月で行えたことを会社や周りの人間に示すことが出来る。休職していたからと言って、仕事を離れていたからと言って、アドバンテージを与えられる隙を見せたくない。 でも、圧力をかけて無理に加熱したものはいずれショートする。私の読みが甘かったのかツメが甘かったのか、それとも押す手が強すぎたのか、結局、最後の最後で今月の売上げは未達成に終わってしまった。達成率99.87%という数字は、誰にも真似できないほどキレイな外し方だ。それでもよくやったよと上司は言ったし、2週間しかなかったんだもの仕方ないよと同僚は言ったけれど、これほど悔しいことは他には見当たらない。 あーあ、と呟いて雨が降る帰り道を仰いだ。 歩行者用の信号が青色を点滅させて、卵形の街灯が黄色を浮き上がらせていた。雨足はやがて強くなって、粒は目に見て取れるほどになった。下から見上げる雨は面白いほどスローな動きをしている。だからそうやって、ずっと雨の降るのを見上げていた。あれほど高い空から降ってくる水滴は、どうして道路をもっと強く打たないのだろう。どうして私の顔に痛みがはしるほど打たないのだろう。こんな小さな雨粒でも重力に任せて落ちてくればアスファルトでさえ穴をあけてしまいそうなのに。 そんなことを思っているうちに、もっともっと雨足は強くなり、今日の私はツイテいなかったと思うことにした。私の帰る時間を狙っていたように雨は強くなるし、この数日間、懸命にした仕事でさえ、最後の最後では落としてしまった。だから、今日の私はツイテいなかったと思うことにする。運も仕事を形成する大切な要素のひとつだから。 気負わずに仕事をしたい。 周りの目や上司を気にせず仕事をしたい。 誰のために仕事をするか。 それは自分のため。 まだ家族を持たない私にとっては、自分のためだけに生きたとしても罰は当たらないと思う。 自分のために、ただ目標に向っていきたい。 |
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